【印刷用レイアウト】

気になる宿屋レポート 末吉が行く

宿泊予約経営研究所所長の末吉秀典が注目の宿泊施設をご紹介するこのコーナー。
今月は、「花仙庵 仙仁温泉 岩の湯」さんの体験レポートをお届けします。

花仙庵 仙仁温泉岩の湯

本当に日本人で良かった! と体感できる湯宿

こんにちは、宿泊予約経営研究所所長の末吉です。
今月は、長野県にある「花仙庵 仙仁温泉 岩の湯」さんをご紹介します。
 
長野県須坂市から大笹街道(国道406号)を菅平方面に向かって車を進めていくと、
仙仁川をはさんで山際に佇む、四季の彩り豊かな一軒宿にたどり着きます。
古民家と洋風モダンが調和した佇まいで、客室は18室とほどよい規模の湯宿です。
 
山肌に沿って、岩肌から滝のように勢いよく流れ出す
湯量豊かな温湯(ぬるゆ)の洞窟風呂をメインとして、貸切露天風呂が家族風呂を含め4カ所。
心身ともに癒されると、お客様に好評を得ています。
 
お食事も、四季を通じて大変評判が良く、
常にリピーターで予約は埋まり、なかなか予約が取れない秘湯の宿です。
(ちなみに公式ホームページはありません。)
 
『職業:旅人』として日本全国のいろいろな宿に出かける機会の多い私ですが、
この宿を一言で言うなら『本当に日本人で良かった! と体感できる宿』。
 
こちらを利用したのは今回で2回目ですが、初めて訪れたのは昨年でした。
前日の薄っすらと積もった雪が、陽の光を浴びて木々からポタポタと溶け落ち、
凛とした空気に包まれる初冬。
2回目は、透き通るくらい輝く薄緑の葉がはき出す、新鮮な酸素が山々を覆い尽くす5月。
 
一軒宿であるがために周りには何もなく、
どちらの季節もラウンジ、客室、渡り廊下、露天風呂、散策道…と
さまざまな場所で信州の情景を堪能することができます。

信州の山々を望むテラス テラスイメージ
 
 
 
贅沢な時間を提供する浴場

温湯の源泉洞窟風呂は、男女混浴となっており、肩までゆっくりと浸かり、
瞑想しながら1時間以上入っていても気にならないほど、大きくゆったりとした空間です。
 
貸切露天風呂は24時間利用可能で、
内鍵をかけて利用するため、特に予約などなく気軽に利用できます。
晴れた夜、瞬く星空とさざめく葉音に体を揺らしながら広い石組みの湯船に浸かる時間は、
また格別のひとときです。
 

木々に包まれた開放的な貸切露天風呂 貸切露天風呂イメージ
 
 
 
信州を感じられる山里料理

この宿で『日本人で良かった!』を感じる瞬間はこれだけではありません。
 
夕食・朝食のお料理も注目のポイント。
山里料理と称して、
その時期の産地の幸をふんだんに使った料理が
会席として出されますが、どのお料理も『うまい!』。
 
奇をてらう事なく、旬の素材を素朴な味付けで勝負しているため、
『まいった! そう、これこれ、信州の季節感を期待して旅に出かけたんだ。
今、間違いなく自分は信州・仙仁にいる』
と感じることができます。
 
胃袋と脳に伝わるこの満足感、みなさまにも伝わりますでしょうか?

旬の味をそのままに活かした山里料理 貸切露天風呂イメージ
 
 
 
朝から元気の出る自家菜園取れたて朝食 貸切露天風呂イメージ
 
 
 
スタッフ全体に行き届いたホスピタリティ

また、スタッフのホスピタリティも行き届いています。
到着から出発まで、とにかく笑顔で接してくれます。
これだけだと特に他の宿と変わりがないようですが、
感心したのは、個室の食事処に通されたときのこと。
 
板場を覗けるところがあるのですが、
料理人の方でさえ、作業を止めて笑顔で挨拶をしてくれるのです。
これには驚きました。
しっかりとスタッフ全員から、お客さまとしてもてなされているな、と感じた瞬間でした。
 
宿泊業界では、リッツカールトンが
顧客満足に秀でたホテルとしてよく取り上げられますが、
信州にも負け時劣らずの宿があります。
 
美味しい料理・新鮮な素材・癒し寛ぎの空間などは、
今や都会の中で得られる時代になってきています。
『この地に来る意味』を宿屋として伝え、
お客さまの心の感性に気づきを与えることができたとするならば、
宿屋冥利につきると言ってもよいのではないでしょうか。
 
ぜひ、一度みなさまも足を運んで体感していただき、
何かの参考にしていただければと思います。
また、その時の感想など送っていただければと思います。
 
 
(文・写真:末吉 秀典)

今月の宿屋データ
【宿屋】 花仙庵 仙仁温泉 岩の湯
【所在地・連絡先】〒382-0034 長野県須坂市仁礼3159	TEL 026-245-2453
【アクセス】電車で長野電鉄長野線須坂駅から、長野電鉄バス仙仁行き約30分、終点下車すぐお車で上信越自動車道須坂長野東ICから約20分