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宿泊予約経営研究所所長の末吉秀典が注目の宿泊施設をご紹介するこのコーナー。
今月は、「熱海温泉 古屋旅館」さんの体験レポートをお届けします。
みなさんは熱海というと、どんなイメージを思い浮かべますか?
私は、江戸時代の徳川御用達の御汲湯(おくみゆ)から始まり、
尾崎紅葉の『金色夜叉』で有名なお宮の松で記念撮影をするハネムーンカップル、
高度成長期からバブル期に団体・社員旅行で街全体が賑わっていた遊興の花園、
そしてバブル崩壊後に苦戦を強いられる商店街と宿泊施設…そんなイメージが浮かびます。
しかし熱海は、今でも年間600万人以上の観光客が訪れ、
そのうちの300万人近くが宿泊する人気の温泉観光地です。
そんな熱海の市街地に佇む古屋旅館は、
1806年に創業した200年以上の歴史を持つ老舗旅館。
歴史を感じさせる武田信玄屋形門を正確に復元した門をくぐり、
石畳と岩組みで造られた見事なツツジと松の庭を眺めながらエントランスへ向かう道は、
宿での上質なひとときを予感させてくれます。
客室は、和風数奇屋造りで12畳半と踏込床のゆったりとした一般客室18部屋と、
源泉掛け流しの露天風呂付客室8部屋の
合計26部屋で構成されています。
特に庭に面した露天風呂付客室は日本旅館特有の情緒を醸し出しており、
お客さまからも大変好評だとか。
“熱海”という土地の名前は、
地中に湧く温泉が高温で熱い海だから、ということに由来するそうです。
その名の通り、現在でも市内には源泉温度が80度を越える温泉が湧き出しています。
古屋旅館でも熱海七湯の一つ、源泉温度約90度の「清左衛門の湯」が湧き出ており、
これを100%掛け流しで提供しています。
地下水・水道水を加水して冷ますことは一切せず、
緻密に計算された配管距離で温度調節しているそうです。
私がこの古屋旅館をおすすめする一番の理由は、
熱海を感じさせる本物の温泉をそのまま提供しているところにあります。
最近は過ごしやすさ・快適さが優先され、
標準化された温度から外れるとクレームにつながることも多いと聞きます。
しかし、温泉がどこも同じような熱さになってしまっては、
その土地ならではの温泉を愉しむという旅の醍醐味は味わえません。
古屋旅館は、その一番大切な部分を守り続けているところが素晴らしいと思うのです。
本物の価値観を、本物を通してどうお客さまに伝え、気づいていただくのか。
これは、宿屋として大事な要素なはずです。
お客さまのニーズに応えることも必要ですが、
お客さまに新しい“ 気づき”を与えることも大切にしていってほしいと思います。
最後に誤解が無いように書きますが・・・
古屋旅館は熱い温泉が特長なのではなく、
ミネラル豊かな源泉をそのまま提供しているところが特長です。
ただ私の気持ちとしては、熱海温泉の施設さまは“ 熱い海”だけに、
熱い温泉をもっとウリにしてもいいのになぁと感じたりもしています。
(文・写真:末吉 秀典)
熱海温泉 古屋旅館 |
〒413-0012 静岡県熱海市東海岸5-24
0557-81-0001 →古屋旅館 公式HP |
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電車でJR東海道新幹線熱海駅から徒歩15分あるいはタクシーで約5分
お車で東京方面から、東名高速道路厚木IC・小田原厚木道路経由で熱海ビーチラインへ。 大阪方面からは東名高速道路沼津IC・熱函道路経由で熱海へ →古屋旅館への地図 |