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宿泊予約経営研究所所長の末吉秀典が注目の宿泊施設をご紹介するこのコーナー。
今月は、「別邸 仙寿庵」さんの体験レポートをお届けします。
今回は、水上温泉郷にある、デザインに趣向が凝らされた「別邸 仙寿庵」さんをご紹介します。
水上温泉郷は、日本百名山の一つである三国山脈の麓にあり、
町の中心にある水上温泉をはじめ、宝川温泉、谷川温泉など、多くの温泉地が点在しています。
首都圏からは1時間半程度で行くことができ、
本格的な登山から、バンジージャンプやラフティングなどの
レジャースポーツも楽しめる温泉リゾートです。
別邸 仙寿庵さんは、谷川岳の緑豊かな自然林に囲まれ、
その自然を活かすよう造られたデザイナーズ旅館。
すべて露天風呂付きで18室の客室を備えています。
かやぶきの門をくぐり、さらさらと流れる小川に導かれて宿の扉を開けると、
ピシッと正座をした仲居さんたちが、深々とお辞儀をして私たちを迎えてくれます。
玄関の畳がいぶし銀のなんともいえない風合いなのが不思議で、
聞いてみると、なんとステンレスの細い糸を編んで作られた特別な畳だそうです。
玄関から客室へ向かう途中には、「曲面廊下」と名付けられた廊下があります。
高さが8メートルもある天井と大きな窓が開放的で、
壁面に施された様々なアートが、私たちの目を楽しませてくれます。
常務取締役の久保英弘さまにお話を伺うと、
お客さまに谷川の凛とした空気と自然の輝きを五感で感じていただきたいという想いから、
別邸 仙寿庵を開業したそうです。
そして、その想いは施設の至る所に表れています。
まずは露天風呂。湯は澄んだ谷川岳の川と同じ無色透明で、
湯船の底には15cm~20cm大の平石が敷き詰められています。
これは谷川の河原から採集した石で、湯に浸かり歩くと、
グラグラと動いて歩きにくい感覚が、川に足を入れた時のあの感覚を思い出させます。
また、離れの読書室も印象的でした。
本館から出て広々とした芝生の庭園を森に向かって進むと、
隠れ家のように読書室が佇んでいるのです。
本館から少し離れたこの場所に来るまでの道のりは、
自分がいま谷川の自然の中にいるのだということを強く感じさせてくれました。
別邸 仙寿庵には、高さの低い建物と、こぢんまりとした玄関は自然風景に調和させつつも、
中はゆったりとした贅沢な空間が広がります。
施設全体に、屋内にいながらも自然を感じていただくための創意工夫が溢れていました。
快適で過ごしやすい客室から眺望する自然も魅力的です。
しかし、多少の不便さの中に隠れた仕掛けによって感じる自然は、
日常では決して感じることのできない至福の体験かもしれません。
そこに、人が旅をする愉しみが隠されているとも言えるでしょう。
(文・写真:末吉 秀典)
別邸 仙寿庵 |
〒379-1619 群馬県利根郡みなかみ町谷川西平614
0278-20-4141 →別邸 仙寿庵公式HP |
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電車でJR上越新幹線上毛高原駅からタクシー・バスで約25分
お車で関越自動車道水上ICから国道291号経由から約10分 |