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宿泊予約経営研究所所長の末吉秀典が注目の宿泊施設をご紹介するこのコーナー。
今月は、「小樽旅亭 藏群」さんの体験レポートをお届けします。
国内外からの大勢の観光客で賑わう小樽運河から小樽の山中へ車で20分程行くと、
石垣に囲まれた漆黒の館が現れます。
それが「小樽旅亭 藏群」です。
藏群は小樽の持つ蔵街の情緒を現代アートと融合させたラグジュアリーな旅館。
開業してから8年の重厚な建物が朝里川の山々と調和して、小樽の静けさを演出しています。
19部屋からなる客室は、それぞれ異なるデザインの空間になっており、
全ての客室に石造りの浴室が備え付けられています。チェックインした後は個々人で、
完全にプライベートな時間を過ごすことが可能。
浴室の大きな窓を開け放つと、四季を問わず、朝里川の木々が擦れ合う音や小鳥のさえずり、
山の澄んだ薫りが感じられ、旅人を癒してくれます。
私が興味を持ったのは、“オールインクルーシブ”というシステムと、
一年を通して宿泊料金が変わらない形式をとっていることです。
オールインクルーシブとは、一部の海外リゾートホテルで採用されている形態で、
滞在中の館内での飲食代が全て宿泊料金に含まれ、原則として追加料金が発生しない仕組み。
客室に備え付けのドリンク、お食事中のお酒からバーラウンジのカクテルまで、
お財布を気にすることなく好きなだけ楽しむことができます。
ドリンクに追加料金が必要な施設では、アルコールは夕食時だけに留めておく方が多いと思います。
しかし、このシステムであれば朝食時でも気軽にアルコールをオーダーすることができ、
朝にお酒を嗜むという旅ならではの非日常を味わえるのです。
また、宿泊料金も通年一定料金。混雑するお正月でも、平日でも、
藏群で過ごす時間は常に同じであるという宿屋の自信のようなものを感じます。
「旅人に藏群で過ごすことで小樽の静寂な悦びを気づきとして与えたい」と語ってくれたのは
ご主人の眞田俊之氏。
静けさを作るプライベートな空間、
心地よいアメニティと寝具、地産にこだわり抜いたお食事の提供も、
全ては静寂な空間を愉しむための心遣いです。
ご主人の心を感じたところは、室内着として用意された作務衣。
奄美大島の泥染め大島袖の作務衣は、肌触りがシルクのように優しい着心地。
珍しいサービスなのが、男女共に用意されている湯屋の休み処に置かれたフレグランス。
体を清めたお風呂上りの肌に、普段とは違う香りを纏う楽しさは男女共通のものです。
また、客室に備えられているお洒落なポストカードには、
いつでも投函できるよう、さりげなく切手が備えられているのが嬉しい気遣い。
プライベートな空間をどう愉しむかは個人の価値観と行動によって変わります。
しかし、藏群には小樽の静寂を体感できる気づきのための仕掛けが多くありました。
藏群は決して眺望豊かな山里深い立地の湯宿ではありませんが、ひとたび中に入ると、
そこには旅人が各々のプライベートな時間を愉しめる空間が広がっています。
自分の時間を過ごしたい旅人に、ぜひオススメしたい宿泊施設です。
(文・写真:末吉 秀典)
小樽旅亭 藏群 |
〒047-0154 北海道小樽市朝里川温泉2-685
0134-51-5151 →小樽旅亭 藏群公式HP |
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電車でJR函館本線小樽築港駅からタクシーで約15分
お車で道央自動車道朝里ICからゆらぎ街道(道々1号線)経由で約5分 |