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宿泊予約経営研究所所長の末吉秀典が注目の宿泊施設をご紹介するこのコーナー。
今月は、「真里」さんの体験レポートをお届けします。
町のいたるところから醤(ひしお)の香り漂う香川県小豆島。
首都圏からは飛行機で高松空港へ向かい、連絡バスで高松市内へ。
高松港から高速フェリーで草壁港に向かうのが便利です。
瀬戸内海に浮かぶ小豆島は、日本におけるオリーブ発祥の地として、
あるいは映画「二十四の瞳」の舞台としても有名なところです。
日本三大渓谷美とうたわれる寒霞渓や、大小さまざまな田んぼが広がる中山の千枚田など、
四季を通して雄大な風景を楽しむことができます。
産業としては400年の伝統がある醤油・素麺に加えて戦後に始まった佃煮などが有名です。
今回はこの小豆島の醤油蔵通りにある島宿「真里」をご紹介します。
小豆島の素朴な味わいが宿全体にただよう真里。こぢんまりとした、
料理の美味しい島宿があると知り、是非にと泊まりに行きました。
客室は離れに「ひし」の間、「お」の間の2室、本館に「で」の間、
「も」の間、「て」の間、「な」の間、「す」の間の5室。
ここにあるメッセージが隠されているのですが、お気づきでしょうか?
部屋の名前をつなげると「醤(ひしお)でもてなす」となるんです。
ここからわかるように、真里のおもてなしのキーワードは「醤(ひしお)」。
食事はご主人の考案した「しょうゆ会席」と真里ならではのお料理です。
醤の調味料とともに、小豆島の新鮮な魚貝と野菜を一品一品、刻をかけて堪能します。
素材の新鮮さはもちろんのこと、調味料・器・盛り方にも趣向が凝らされており、
もろ味醤油とたまり醤油の2種類でいただく瀬戸内魚介のお造りは格別。
新鮮な魚の味を倍に愉しむことができます。
はるばる小豆島までやってきた甲斐があったと感じる瞬間です。
朝食は島の採れたて野菜を使ったお惣菜を、炊き立ての土鍋ごはんと一緒にいただきます。
素朴な味わいが、島の澄んだ空気と一緒にしみわたります。
食事だけでなく、館内にも醤が息づいています。
柱や梁などは、実際の醤油蔵から移築してきており、小豆島独特の雰囲気をかもし出しています。
客室はそれぞれ異なるモダンなデザインで、お客さまを唸らせます。
私のお気に入りは、島風が湯船に注ぎ込み、窓のスリット越しに街並みが眺められる内風呂。
蔵風の重厚さと和モダンを彩る、なんともいえない陰影が、
絶妙な心地よさを感じる理由かもしれません。
館内のお風呂は全て温泉で、客室の内風呂以外にも露天風呂付きの浴場が2つあります。
けっして大きくはありませんが、時間によって鍵つきで貸しきることもでき、
ゆっくりとプライベート気分で疲れを癒すことができます。
他にもこんな気の利いたサービスがあります。
1つは小豆島で有名なオリーブを原料にした化粧品セット。
お風呂上りにオリーブオイルを顔や肌だけでなく、髪の毛にもつけるんだそうです。
サラサラでキラキラになるますよ、なんて言われると、
女性だけでなく男性も思わず使ってみたくなりませんか?
また、島の観光のために、車のレンタルサービスも行っています。
フォルクスワーゲンのニュービートルが、
保険・ガソリン込みの1時間2,500円で借りられます。
小豆島は、島といっても歩いてまわるのには
ちょっと骨の折れる広さなので、これは嬉しいサービス。
オシャレなビートルで島を楽しめます。
真里は、昨年7月に10周年を迎えたそうです。
実は私が行ったのはその前なのですが、
10周年を機にリニューアルされたそうなので、またお邪魔したいと思います。
できれば、新緑が力強さを増し、
棚田の田植えがひと段落着いた頃。
春の島風を愉しみに。
(文・写真:末吉 秀典)