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宿泊予約経営研究所所長の末吉秀典が注目の宿泊施設をご紹介するこのコーナー。
今月は、「有馬山叢 御所別墅」さんの体験レポートをお届けします。
愛媛の道後温泉や和歌山の白浜温泉と共に、日本三古湯に数えられる兵庫の有馬温泉。
関西圏からも比較的近く、古来より湯治場、奥座敷としての役割を果たしてきました。
有馬温泉といえば、金泉・銀泉の名で呼ばれる温泉が有名ですが、豊臣秀吉がその湯を好み、
たびたび茶会を繰り広げてこの地の発展に大きく寄与したことも知られています。
近隣エリアには、避暑地としての六甲山エリアやハイカラな西洋文化を醸しだす神戸などもあり、
多くの観光客で賑わう温泉地でもあります。
今回は有馬温泉で宿泊施設やレストラン等を展開する
御所坊グループの一つ「有馬山叢 御所別墅」の宿泊レポートをしていきたいと思います。
現在、宿泊施設としては「陶泉 御所坊」を基点に、
「有馬山叢 御所別墅」「ホテル花小宿」「旅湯 アブリーゴ」「オーベルジュ花郷里(香美町)」の
5施設を経営しています。
2008年に開業した「有馬山叢 御所別墅」は、
かつて有馬で最も古い外国人ホテルがあった1,400坪の敷地に建てられました。
小鳥のさえずりが響く木々が豊かな敷地内には、
フロント、開放的なラウンジや、
有馬の山越を眺めるカウンター形式のレストランが入った本棟と、テーブル席の個室レストラン棟。
そして、温泉入浴施設やアロマルームを備えた「有馬山叢陶泉」などがあります。
客室は、ヴィラ形式とメゾネット形式の離れが各5部屋の10室。
どのお部屋も100平方メートルの間取りを有するスイートルームとなっています。
今回案内されたのは、ヴィラ形式の客室。
大型液晶TVやオーディオ設備が設えられたリビングスペースに、
プリンターまでセットされPCが備えられたデスクセット。
上質なベッドメイキングが施された寝室。
そして、人間の体温と同等の温度でじっくりと体を温め免疫力を高める、サーマルルームなど、
その充実ぶりに驚かされます。
中に入ると天井が高く、広々としたウッド調の心地良い空間が広がります。
しかし、和でもなく洋でもないこの独特の質感がなんとも不思議な感覚。
聞けば館内の書画、椅子・テーブル、カーテン、絨毯に至るまで
綿貫宏介氏のプロデュースによるとのこと。
独特の書体デザインでロゴ、パッケージなど数多くのヒット商品を生み出している方です。
その世界観のお陰か、誰をも魅了する素敵な大人の空間に仕上がっていました。
有馬山叢陶泉の湯は有馬の金泉。金泉色の暖簾をくぐると、右手側に男女別の入口があります。
脱衣所を抜け、扉を開けた先に見えてくるのが、御影石で縁取りされた湯船と赤茶色の温泉。
明治以前のサイズを復元したと言われる湯船に静かに浸かっていると、
体の中が、芯からポカポカとしてきます。
冷えたミネラルウォーターが置いてあり、これは火照った体に嬉しいサービス。
テラス席で風を感じながら、ひとときを過ごすのもいいかもしれません。
今回いただくお料理は、山家南蛮料理と称した5品のフレンチコース。
個室のテーブル席もありますが、少人数の時はカウンター席にご案内するそうです。
まず運ばれてきたのが、剣先イカと淡路島の由良ウニを用いた冷製パスタ。
今が旬の淡路島の濃厚なウニの旨みと、イカの甘みを細身のパスタに絡ませて味わいます。
2品目は初夏の魚介と夏野菜のコンソメジュレでさっぱりと。
近隣の契約農家から取り寄せた野菜を、
甘みの豊かなスイートコーンムースと共に混ぜ合わせていただきます。
3品目はフォアグラを鱧で巻き、カダイフという小麦粉でできた棒状な物で包み揚げ、
トリフソースとトリフを添えた贅沢な一品です。
4品目のメインは、但馬牛のフィレステーキと、由良産のコチのポワレの2つから選択します。
迷いながらも、今回は肉料理を選択。
さすがの但馬牛、口当たりの柔らかなフィレ肉とコクと甘みのある赤ワインのソースは、
最上の相性を見せる一品でした。
最後に清涼感溢れるスイカジュースのスープと、
ココナッツブランマンジュのデザートと焼き菓子、カプチーノをいただいて終了です。
お料理の内容は素材の状況に合わせて拵えるため、事前にメニューは決めていないとのこと。
朝食は洋食コース。メインプレートは洋風の温泉玉子に数種のハーブを練り込んだソーセージ、
虹鱒のスモークサーモンと生ハムに地野菜。
フレンチトーストなどの手作りパンに、
スープとフルーツと100%手搾りオレンジジュースという構成。
一見料理が簡素とも思えますが、パンの種類も多く楽しめるため、朝から満腹になります。
夕食も朝食もスタッフの方からお料理の説明を受け、
シェフの創造性と思いを十分に味わうことができました。
国際貿易港としての神戸。
そして、かつて外国人居留地としてハイカラ文化が栄え、多くの外国人が宿泊した有馬温泉。
日本の温泉文化と西洋文化という2つの歴史的な背景を、切り離すことはできません。
国際的な温泉リゾートエリアにふさわしい施設をめざしているという御所坊グループ。
日本の良き伝統・情緒を守りながら、西洋文化の上質な仕掛けと歴史的な背景とが相まって、
旅人の心を和ませる日本の宿屋となっています。
宿を訪れる前に有馬温泉の歴史に触れてみると、
五感が違った形で感じることができることでしょう。
(文・写真:末吉 秀典)
兵庫県 有馬温泉 有馬山叢 御所別墅 |
〒651-1401 兵庫県神戸市北区有馬町958
078-904-0554 →有馬山叢 御所別墅 公式HP |
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お車で中国自動車道西宮山口JCTから西宮山口南ICを経て有馬温泉方面へ約15分
電車で神戸市営地下鉄三宮駅から谷上駅、神戸電鉄有馬線に乗換えて有馬温泉駅まで約25分 高速バスで阪急梅田駅阪急三番街高速バス乗り場から有馬温泉まで直通運転で約60分 |