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宿泊予約経営研究所所長の末吉秀典が注目の宿泊施設をご紹介するこのコーナー。
今月は、
「愛知県 南知多 知多の魚と割烹温泉宿 佐宗」さんの体験レポートをお届けします。
出張に行くビジネス客で混雑する忙しない雰囲気から、
落ち着きを取り戻した昼下がりの新横浜駅の新幹線プラットフォーム。
陽光が爽やかに射し込み、時よりそよぎ渡る風と初夏の薫りが、
これから旅路に向かう旅人たちの心を盛り上げていきます。
定刻通りに到着したのぞみ号に乗車して一路、名古屋へ。
途中、右手に雪渓を抱く堂々とした富士山を望みつつ名古屋駅に到着。
さらに名鉄名古屋駅から直通の特急に乗り換え、
約60分で目指す最寄り駅 内海に到着します。
今回は愛知県知多半島の南端の海沿いに佇む
「知多の魚と割烹温泉宿 佐宗」をご紹介させていただきます。
予約サイトにおけるお客さまのクチコミ評価において、
じゃらんnetの夕食料理では5.0の満点。
楽天トラベルでも料理4.6と非常に高い評価を得ている佐宗(5/30弊社調べ)。
その他の項目も比較的高評価ですが、
特にお料理の内容とボリュームについてお客さまが高く評価されています。
お客さまのコメントの一部を抜粋して紹介させていただくと、
・ご飯の量が本当に多く、魚好きな家族には満足出来る量でびっくりする程でした。
・夕食、朝食に関しては、今までの旅行の中でも1、2を争う感動でした。
・料理はどれもこれも美味しくて、器も素敵で、ひとつひとつを楽しむことができました。
・夕食の豪華さは勿論、朝から釜飯とは贅沢ですね。
・出された料理ひとつひとつに感激し、ボリュームもあり、
とても満足な食事の時間を過ごすことができました。
等々、料理の強みを活かし、素材の鮮度の良さ、
旬材の調理、品数、盛付の演出など宿名の通り、
地元近海で獲れる魚介を中心にした割烹旅館です。
しかしながら、佐宗の評価が高いのは
料理だけではないと考えています。
それは、ご主人自らが手がける館内外の五感の演出や
スタッフのおもてなしが料理と相まって
お客さまの高評価を引き出しているように感じるのです。
佐宗は客室が本館で7室、展望風呂付の新館の客室が3室の計10室。
天然温泉の男女別浴場と食事処という構成。
立地は内海の東浜の海岸線の道から少し奥まった所に佇んでいます。
玄関までのアプローチは、
手入れされた植栽と石畳に行灯の優しい灯りの
間接照明がお客さまの到着を迎えてくれます。
真新しい畳みとお香の香りが心地よい
和モダンのフロントは新館の増設に併せて新たに改装されました。
早速、笑顔のスタッフに迎えられ畳敷きの通路を通り、
今年5月にオープンしたばかりの
展望風呂付客室3室のひとつ「ゆり」の客室へ。
和モダンの11畳の和室。
壁面に設えられた大型液晶テレビと明かり窓が対比し、
天井の間接照明が上質な客室の空間を醸しだしています。
新館客室のウリでもある展望風呂は、
ゆったりとした空間にBGMも流れる少し大きめの素焼きのつぼ風呂。
天井の明かり取りも間接照明と共に洒落ています。
アメニティはオリエンタルなアロマで今注目されつつある
高級アジアンスパアメニティ「HARNN」が採用されていました。
この辺りもご主人のこだわりを感じさせてくれます。
その他2室の「ふじ・かえで」もそれぞれで意匠が異なっていました。
佐宗自慢の夕食のコースは全14品。
まず初めに、竹筒の梅酒、見た目も楽しめる色鮮やかな前菜、
胡麻豆腐、大ぶりの伊勢湾産の渡り蟹が一尾がテーブルに並びます。
前菜は青柳の天日干し、地元シジミの甘露煮、
自家製大根の手鞠寿司、鰆の焼き物、
初梅のワイン煮など初夏を感じさせる全部で8品。
一品一品素材を確かめながらいただきます。
渡り蟹はスタッフの方にお願いしてさばいていただきましたが、
甘みのあるたっぷりの味噌と身をかぶりつくようにしていただきました。
続いて再び地の伊勢湾産の槍烏賊のしゃぶしゃぶ。
しなやかな槍烏賊をダシ湯に潜らせ、
軽く丸みを帯びてきたところで土佐醤油につけていただきます。
向付として本鮪、槍烏賊、平目、赤貝の刺身、
つまの細かなあしらいも見事です。
陶板は肉厚の見事な飛騨牛。
牛肉特有のコクが口の中にとろけるように広がります。
そろそろ、お腹もいっぱいになりかけていますが
佐宗の自慢の料理はまだまだ続きます。
蒸し物として鰆の桜蒸し、伊勢湾産の大アサリのグラタン、
メバルの煮付け、揚げ物は大海老のフライと明日葉の天ぷら。
確かにお客さまから豪華・ボリュームがあるという声が多いのも頷けます。
最後は焼いた鯛の身を
おにぎりに包み焼きおにぎりにして出汁でいただく鯛茶漬け。
デザートは女性心をくすぐるトマトのコンポートに抹茶アイスの最中。
本当に言葉にならないくらい大満喫です。ご馳走様でした。
「内海の宿屋の中で、他の宿屋が踏み出せない
『垢抜けたことをやりたい』という想いがあります。
宿屋を経営して成功する人のタイプには2通りあると考えています。
一人は純粋にビジネスとして宿屋を経営する人。
もう一人は趣味の領域で仕事をする人。
料理が好きで、接客が好きで、働くことが苦ではない人。
そうでないと成功しないと思う。」と語るは、
ご主人の佐宗正美さん(44歳)。
ご主人自らが庭木の手入れから調理まで行うことで
気づくことも多いとお話しをいただきました。
対談の中で次なる挑戦を考えているご様子。
素朴な小さな宿と謳いながらその素朴さに
決して甘んじることのないサービスを考え続けている事が
成功の秘訣かも知れません。
ぜひ、皆様も一度訪れてみてはいかがでしょうか。
(文・写真:末吉 秀典)