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宿泊予約経営研究所所長の末吉秀典が注目の宿泊施設をご紹介するこのコーナー。
今月は、 「宮崎県 綾温泉 酒泉の杜 綾陽亭」さんの
体験レポートをお届けします。
3月初旬、春めいた陽光で包まれた
宮崎空港から車で約50分ほど。
宮崎県中西部に位置する水の郷 綾町を訪ねてみました。
綾町は国内最大規模の照葉樹林が広がる
九州中央山地国定公園内にあります。
“自然と生活を営む人々の共存”をテーマにしながら、
陶芸や染織、木工など多数のクラフトの振興、
積極的な有機農業の取り組みでも
今、全国的に注目を浴びています。
観光スポットとしては町のシンボルでもある綾城や
照葉大吊橋などがあります。
季節を問わず豊かな照葉樹林が生い茂る
山並みに架かる大吊り橋は、
全長250m、高さ142mと歩行者専用の吊り橋としては
国内で2番目の高さを誇ります。
また、綾町は上質な水が町内至る所で湧き出ており、
昭和60年には“名水百選”にも選ばれております。
大手焼酎酒造メーカーの雲海酒造株式会社もこの町に工場を有しており、
隣接する形で「蔵元 綾 酒泉の杜」が併設されています。
伝統工芸、特産品や温泉・宿泊施設もあり、
毎年多くの観光客で賑わっている綾町。
今回は蔵元 雲海酒造が営む純和風旅館
「酒泉の杜 綾陽亭」をご紹介させていただきます。
「酒泉の杜 綾陽亭」は、
本館と離れを併せて総客室数は16室。
本館は和室12畳タイプの客室が9室、
特別室が1室、さらに離れが6棟あります。
その他の館内施設としては、
男女別の大浴場・露天風呂に休憩所、
和食処照葉庵などのレストラン、フロント、
庭園などで構成されています。
この宿屋の注目すべき所は、
お客様からの口コミの評価が高いこと。
主な宿泊予約サイトの口コミを覗いてみると各項目に亘り、
最高点を付けているお客様が多数見受けられます。
旬刊旅行新聞社が毎年主催している
“プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選”においても、
常に高い評価を得てランクインしているほど。
実は、私自身もお気に入りの宿屋のひとつであり、
これまで何度となく宿泊をしております。
宿泊者専用の駐車場に車を停め、敷地内に入っていくと
正面にやや横長の3階建ての建物、
本館の「酒泉の杜 綾陽亭」の入口が見えてきます。
建物の中に入ってみると、左手にフロント、
右手にゆったりとしたロビーが広がっています。
早速、チェックインをして本日担当していただく
仲居さんに案内され、本館3階の客室へ。
エレベーターの扉が開くと、大きな窓ガラスに
ゆったりとした幅のある通路の空間がここでも広がっています。
本日宿泊する客室は特別室。
クイーンズサイズのツインベッドを含む
17.5畳のリビングルームに12.5畳の和室、
そして、ゆったりとした内湯の檜風呂という構成。
贅沢すぎるくらいのゆったりとした空間は
お客様の満足度を極限まで高めて行きます。
通常の本館和室でも12畳の和室に8畳のリビング、
特別室と同じ檜の内湯が設えており
こちらも十分に広々ゆったりとしております。
この辺りがお客様の口コミにも
高く評価されている要因の一つだと思います。
また、庭木を間近に眺めることができる離れは
熟練の職人が築き上げた数寄屋造りの棟となっており、
日本建築の閑静な佇まいとなっており、
よりプライベートを重視される方にはおすすめです。
仲居さんからお抹茶と酸味と香りが豊かな
宮崎特産日向夏の羊羹のもてなしを受けながら、
お酒の試飲サービスについて説明を受けます。
こちらは雲海酒造の各蔵でつくられた本格焼酎や清酒、綾ワイン、
リキュールなどを選んでお部屋で試飲できるサービスです。
こちらも施設の強みを生かしたサービスとなっています。
大浴場「綾温泉 照葉の湯」は、
男女別ともに大浴場や露天風呂の他に
蔵元ならでの酒風呂や微弱な電気が肌を心地よく刺激する電気風呂、
温浴効果を高め血行を促進する薬湯風呂、
さらにサウナなども備わったスパ施設となっております。
綾温泉は、
湯につかると肌が少しぬるぬるとする泉質で体が温まります。
昼間の時間帯は日帰りのお客様も入浴できますが、
夕方17時からは宿泊のお客様のみとなっており、
ほぼ貸切りの感覚でお風呂を楽しむことができます。
ほのかにお酒の香りが漂うお風呂に癒やされ、
楽しみの夕食まで時を過ごします。
夕食はお部屋にていただきます。
今回は12品の弥生会席料理です。
小鉢・前菜は春の若葉を思わせる彩りの小料理。
ガラス細工の小鉢は春野菜に酢味噌を添えた一品。
前菜は手の掛けた5品の旬。
綾町の芋の田楽や唐墨大根、
蕗の蕾揚げなど試飲サービスでお願いした本格焼酎とともに
交互にお料理をいただきます。
日向灘で水揚げされたお造りは
季節を感じさせる桜色の清楚なあしらいが
新鮮な鮪、平目、間八の刺身の旨みを
さらに引き立てています。
吸い物は若布の香りが芳しいすり流し仕立て、
煮物は湯葉の茶巾蒸し料理、続いて焼物として、
地元日向灘で育った豪勢な伊勢海老の鬼殻焼に
宮崎の地鶏、地頭鶏(じとっこ)の焼物が
贅沢にも添えられ饗されます。
一品一品手の込んだお料理に
どんどん魅了されていきます。
次に、霜降りの模様が美しい宮崎牛のシャブシャブ。
大ぶりの一枚肉を箸にとり、出汁にくぐらせ、
淡い桃色になったところでポン酢をつけて
一口で一気にいただきます。
牛肉の脂の旨みが口一杯に広がり、幸福感は最高潮に。
さらに一枚、最後の一枚もあっという間にいただいてしまいました。
会席料理のシメとして宮崎産ヒノヒカリ米を土鍋で炊きあげたご飯に
蕎麦団子の汁と自家製の漬け物をいただき、
デザートは珍しい綾町のイチゴ「もういっこ」をいただきます。
地の旬材を生かした料理の構成となっており、
季節に応じて内容は変わっていくそうです。
朝食も綾町、宮崎県産、日向灘の幸が饗され、
大豆をすりつぶし味噌を合わせた呉汁も味わうことができます。
数々の魅力的な料理に、
お客様からお料理に関する評価が
一番多いことも頷けます。
さて、地域の観光活性の施策として
ご紹介させていただきたいのが、
「綾の旅札」というサービスです。
檜の間伐材を利用して輪切りにした木札を
一枚1,000円で販売しています。
首からぶら下げることができ、
木札以外にお楽しみ引換券が3枚ついています。
それは、木札は照葉大吊橋と
綾国際クラフトの城・綾城の入場券を兼ねております。
また、お楽しみ引換券は町内17ヶ所の参加店舗で
商品やサービスと引換えることができ、
その他15ヶ所の店舗でも割引などのサービスを受けられる
とてもお得な制度となっています。
まさに、弊社が目指している「良地良宿」にも通じる
町内の観光活性につながる取り組みだと思います。
良い街には良い宿屋があり、
良い宿屋がある所には良い街がある。
綾町と酒泉の杜 綾陽亭は
そんな関係にある、素敵な場所だと思います。
よろしければ皆様一度足を運んでみてはいかがでしょうか。
(文・写真:末吉 秀典)
宮崎県 綾温泉 酒泉の杜 綾陽亭 |
〒880-1303 宮崎県東諸県郡綾町南俣1800-19 0985-77-2222 →酒泉の杜 綾陽亭HP |
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