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宿研通信 10月号

匠が、とっておきの集客術を教えます 集客の匠に訊く

集客の匠に、お客さまを呼ぶポイントを訊くこのコーナー。
4ヶ月連続して“和文化の匠”が宿屋と歳時記の関係についてお話いたします。
今回のテーマは 「宿と和文化との親和性」 についてです。

宿と和文化との親和性

皆さま、はじめまして。“和文化の匠”三浦康子と申します。
今月から4回に渡り、歳時記・行事の集客力をテーマにお話ししてまいりますので、
どうぞ宜しくお願いいたします。

第1回目は、宿と和文化との親和性についてです。

宿と和文化は
親和性が高い

私があえて「日本文化」ではなく「和文化」と記しているのは、
高尚なものではなく、暮らしに息づく日本文化、
和みをもたらす日本の文化というニュアンスを表したいからです。

よく、和文化にふれると心が和むと言われ、
和のもの、和のおもてなしを宿に用いると良いとされていますが、
こうした宿と和文化の親和性の高さについては、皆さまも肌で感じ、
理屈でどうこう言わなくてもわかることだと実感されていることでしょう。

では、なぜ理屈でどうこう言わなくてもわかるのか?
それは、日本人が生きていくためのサイクルに組み込まれていたからです。

宿と「元気」の
文化背景を活かす

古来より、ハレ(晴れ)とケ(褻)という概念があるのをご存じかと思います。
ハレはお祭りなどの非日常、ケは仕事などの日常をさしていますが、
平凡な日常が続くと、だんだん気分がのらなくなってきてしまいます。

こうして気が枯れた状態がケガレ(気枯れ)であり、
邪悪なものにおかされやすくなるので、心や体が病んでしまいます。
だから、気が病むと書いて「病気」といいます。

そんなことにならないよう、「気晴らし」しないといけないと考え、
仕事を休んでごちそうを食べ、普段と違う生活をして気力を養うために、
所々で祭りや行事をするようになりました。

この非日常がハレであり、晴れの日、晴れ着などの言葉になっています。
そうすることで気が元に戻るから「元気」になる。
日本人は、ハレとケを繰り返しながら生きてきたわけです。
祭りや行事に心がときめくのも、
和文化にふれると元気になるのも、道理といえます。

それでは、宿のほうに目を向けてみると、
宿に来るお客様には必ず明日があり、
翌日元気に過ごすために、その日の疲れを癒したり、
おいしいものを食べたり、しっかり眠ったりして過ごします。
つまり、宿というのは元気になっていただくための場と捉えることができますし、
日常とは違うハレの場といえます。

旅行であれ、出張であれ、パワーダウンしたお客様の心と体を癒し、
元気に送り出す役目が宿に求められているのです。
そのために、ハード面ソフト面をととのえておもてなしをするので、
和みをもたらす和文化がとても効果的になるわけです。

ただ和文化といっても、大変幅広いものですから、
ここでは歳時記・行事にスポットをあててお話をすすめさせていただきます。
古来より元気になるしくみに組み込まれていた行事の力を取り入れると、
お客様の心をつかみ、集客につながるからです。

行事といっても、イベントをするのではありませんので、
次回は、その行事についてお伝えします。

 

 
和文化の匠 プロフィール
三浦 康子 (みうら やすこ)
和文化研究家、ライフコーディネーター。暮らしを彩る日本文化の情報発信に幅広くたずさわり、テレ
ビ、ラジオ、新聞、雑誌、ウェブ、セミナーなどの登場回数は2500を超える。All A bout「暮らしの歳時
記」、キッズgoo「こども歳時記」、NHKラジオ第1「ラジオあさいちばん」、「私の根っこプロジェクト」
などレギュラー多数。「行事育」を提唱し、来春『行事育えほん・親子で楽しむ日本の幸せ行事』(仮称)
を出版予定。著書『粋なおとなの花鳥風月』(中経出版)ほか多数。