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集客の匠に訊く:手紙と“おもてなしの心”

匠が、とっておきの集客術を教えます 集客の匠に訊く

 

集客の匠に、お客さまを呼ぶポイントを訊くこのコーナー。
4ヵ月連続して“手紙の匠”が
「心を伝える手紙のチカラ」についてお話しいたします。
今回のテーマは『手紙と“おもてなしの心”』についてです。

 

手紙と“おもてなしの心”

みなさま、はじめまして。“手紙の匠”むらかみかずこと申します。
4回にわたり、「心を伝える手紙のチカラ」についてお話ししてまいります。
どうぞよろしくお願いいたします。

初回となる第1回目は『手紙と“おもてなしの心”』についてです。

現代における手紙の役割とは?

手書きの手紙、みなさんはどんな時に送りますか?
子どもの頃には手書きの年賀状や、両親や祖父母への感謝の手紙など、
あの頃は書く機会が多かった手紙も、
すっかりご無沙汰という方も多いのではないでしょうか。

一昔前においての手紙の役割とは、
遠く離れた人と連絡をとるための道具でした。
それが時代の流れとともにFAXや電子メール、SNSへと移り変わり、
これらがコミュニケーションツールの中心となっている現代では、
“手書きの手紙”を書くこと、そして受け取る機会はそんなに多くはないのが現状です。
だからこそ、手紙をもらうということは一種のサプライズで、特別な体験となります。
また、手紙をくれた人に対して、
「わざわざ自分のために直筆で書いてくれた」ことに
驚きや嬉しさがこみあげてきて、相手へ感謝の気持ちが芽生えてきます。

つまり、現代における手紙は「情報よりも気持ちを伝えるため」の手段といえます。
「字が下手だから」といった理由で書くことを敬遠される方がいますが、
受け取る側は文字の形ではなく、
手書き文字ならではの「あたたかみ」や「伝えたい気持ち」を感じてくれます。

お客さまへの“おもてなし”を大切にする宿屋業界において、
手書きの手紙こそ、プラスワンのおもてなしを実現する最適な方法といえるでしょう。

そうはいっても、どう書けばよいのか分からない。
そんな方のためにポイントをご紹介しましょう。

むらかみさんは企業研修や講演会を通じて成果に繋がる手紙術を発信している

手紙を書く時の5つのポイント

いざ手紙を書き出そうとする時に、
書き出しのフレーズに迷ってしまったり、
気の利いた言葉が見つからないと悩む方がいます。
しかし、手書きの手紙は
文章だけで成り立っているものではありません。
具体的には、5つの要素があります。


① 紙を選ぶ
② 筆記具を選ぶ
③ 文章を考える
④ 文字を手書きする
⑤ 切手を選ぶ

たとえば、時候の挨拶が思い浮かばない時は、
季節を感じられる紙やデザインにこだわってみるといいでしょう。
「この人は動物が好きだったな」、「秋らしい便箋にしてみよう」など
送る相手のことを思い浮かべながら使う便箋を選べば、
それだけで相手を想う気持ちは伝わります。
販売されている切手にもさまざまなバリエーションがあるので、
便箋のデザインにあわせたものを貼ってみるのもよいでしょう。

また、書類を送付する時、ちょっとしたお礼を伝えたい場合は
一筆箋がおすすめです。
一筆箋は、比較的手頃な価格で購入できますし、
誰でも気軽に始められ、気持ちを伝えるためにも十分なサイズ感です。

さまざまな種類の一筆箋を見せてもらいました

大切なのは、気持ちを伝えるために送るものと意識すること。
感謝や気遣いの言葉、そしてご挨拶文くらいにとどめるのがマナーです。
必ずしも長文を書く必要はなく、
宿屋とお客さまという関係であれば、短くまとめるほうが喜ばれます。

また、「拝啓」「敬具」「平素は格別のご高配を賜り」など、
これらの慣用表現は知識や教養としておさえておきたいですが、
とらわれる必要はありません。
型にはまった表現よりも、送って喜ばれる1枚を心がけましょう。

手書きするだけで十分丁寧ですから、
まずは相手のことを想いながら、等身大の言葉で書き出してください。


プロフィール

むらかみ かずこ

(社)手紙文化振興協会 代表理事。手紙の書き方アドバイザー(R)認定講座を行い、手紙の書き方講師の育成に力を注ぐとともに、自宅で学べる通信講座『手紙の書き方講座』『仕事で差がつく!
メール・文章の書き方講座』を開発・運営。企業研修や講演会などを通して、いまの時代に合う手紙の書き方・楽しみ方や成果に繋がる文章の書き方を広く社会に発信している。近著『お客の心をつかむ売り込みゼロの3分ハガキ術』(日本経済新聞出版社)など著書多数。

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