- ビジネスコラム
ビジネスコラム:丸亀製麺の非効率経営に学ぶ
コンサルタント中島セイジの、これからが見えるビジネスコラム。
今回は全国展開のセルフ讃岐うどんの店「丸亀製麺」をご紹介します。
非効率なビジネスこそ、
お客さまの満足につながる
今や全国に468店舗を展開し、3日に1店舗のハイペースで新規店舗をオープンし続けており、
7月には500店舗を越える予定だそうです。
先日、丸亀製麺を展開する株式会社トリドールの粟田貴也社長にお話を伺い、
その話から私が今まで丸亀製麺に注目していた理由がはっきりとわかりました。
この丸亀製麺は500に迫る店舗を展開しながら、そのすべてが直営。
日本に多くあるフランチャイズ形式の多店舗展開とは様々な点が異なるのです。
その中でもっとも特徴的な点が“非効率を優先”していること。
この規模であれば、セントラルキッチン方式で効率よく食材を供給し、
手間を省いて合理化を図るのが通常。粟田社長も当然それを分かっています。
しかし、商品の品質を高め、お客さまの満足を優先するために、
各店舗で麺を手打ちし、釜で茹で、揚げたての天ぷらを提供するというやり方を貫いています。
また、各店舗で調理を行うということは、
麺を打ち、茹でる技術を持ったスタッフの教育も行わなければならないということです。
会社の都合や効率の優先は、お客さまの不満足を生みます。
お客さまの満足の優先は、ビジネスとしては非効率に。
そのどちらを選ぶかがビジネスの大きな分岐点になります。
当時すでに多くの効率優先型のうどん・そば店が街に溢れ価格競争を繰り広げていました。
そんな状況での粟田社長の展望は
「後発の自分たちは、競合のいない領域で戦わなければならない」というもの。
ほとんどの経営者が値段や効率で戦おうとするところを、
粟田社長は非効率でも、お客さまの満足を優先する道を選んだのです。
さらにリーズナブルな値段設定がされていて、利益率は低いでしょう。
しかし、高い満足度はファンを生み出し、多くのお客さまが訪れることで利益を確保しています。
沖縄、ハワイへもついに出店。
果たしてどんな反応が…と心配していましたが、しっかりと繁盛しているそうです。
今、丸亀製麺は1,000店舗を目指し、国民的ブランドとなることを目標としています。
お客さまの満足を優先する“非効率”を大切にしていけば、
可能な目標だろと私は予測しています。
“非効率の中にこそ選ばれる理由がある”という私の理論を、丸亀製麺は証明してくれています。
コンサルタント プロフィール
中島 セイジ なかじま せいじ
株式会社クオーターバック代表取締役社長。見・投資(みとうし)コンサルタント。マーケティング及び広告 戦略を中心にプランニング活動を行い、コンサルタントとして数多くの企業を支援している。『非効率な会 社がうまくいく理由』(フォレスト出版)、『儲けないがいい』(アチーブメント出版)が好評発売中。