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ビジネスコラム:佐市の聞き耳に学ぶ

他業種に学ぶ ビジネスコラム

コンサルタント中島セイジの、これからが見えるビジネスコラム。
今回は仙台の繁盛店スーパー佐市をご紹介します。

今月のビジネス 佐市の聞き耳に学ぶ

お客さまの声から生まれた
大人気商品

1日に5,000個も手作りおはぎを売る、仙台の繁盛店スーパー、佐市。
先日、東北に視察へ行った際に、久々に社長の佐藤氏にお会いしました。

おじゃましたのは久しぶりでしたが、その繁盛ぶりは相変わらずでした。
午前10時で既に駐車場は満車状態。
人気商品の手作りおはぎや、手作り惣菜が並ぶ陳列棚の間を、
多くの人々が右往左往しています。

佐市では、なんと手作り惣菜が売上の6~7割を占めているそうです。
なぜ、ここまで繁盛しているかの理由を佐藤氏に伺いました。
すると、とにかくお客さまの声に“聞き耳”を立てているのだとか。

実は、人気のおはぎを毎日作って販売するようになったのは、
お客さまの声に応えてのことだそうです。

ある時、「私はうまく作れないから、おはぎをつくってくれる?」という
お客さまの声に応え、おはぎを多めに作りました。
すると、おはぎを買った他のお客さまから、
「今日はおはぎを売ってないの?」という声が届きました。
お客さまの声に応えおはぎを作り続けた結果、
手作りおはぎは1日平均5,000個も売れる大人気商品になり、定期的に売ることに。

佐市

 

また、佐市には惣菜のレシピマニュアルがありません。
これもまたお客さまの声から生まれたことです。

ある日、お客さまから「昨日のきんぴらごぼう、なんだか塩辛かったわよ」
という指摘をいただいたそうです。
しかし、スタッフはレシピ通りに作ったと言います。
そこで佐藤社長と、専務である奥さんが夜を徹して話し合い、
それならば200~300種類もあったレシピは
すべて捨ててしまおうという結論に至りました。

それ以来、佐市では新人にマンツーマンでレシピを伝授し、
スタッフがみんな体でレシピを覚えて作っています。
自分の味覚や感覚で作っているからこそ、
味に対する責任を持ち、高い質を保てるのでしょう。

また、お客さまに聞耳を立てるために試食販売も行わないそうです。
試食した人は、有り体な感想しか言ってくれませんが、
お金を払って買ったお客さまは必ず本音の感想を言ってくれます。
そのお声のために、佐市では試食販売を行わないのです。

佐藤氏は、自分たちは職人ではなく素人だから
聞耳を立てるのだ、と語ってくれました。
お客さまの声に従って試行錯誤していくことで、
少しずつお客さま仕様になってきているのだろう
といいます。

お客さまの声に耳を傾けるほど、仕事の手間は増えます。
しかし、それを突き詰めることで
多くのお客さまに選んでもらえる存在になるのです。

自分たちの都合で考えるのではなく、
お客さまへの聞き耳を徹底することで、
自分たちがどこを目指すべきなのか明確に捉えることができるのです。

佐市
佐市


コンサルタント プロフィール

中島 セイジ なかじま せいじ

株式会社クオーターバック代表取締役社長。見・投資(みとうし)コンサルタント。マーケティング及び広告 戦略を中心にプランニング活動を行い、コンサルタントとして数多くの企業を支援している。『非効率な会 社がうまくいく理由』(フォレスト出版)、『儲けないがいい』(アチーブメント出版)が好評発売中。

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