- ビジネスコラム
ビジネスコラム:小さな企業のブランディング力に学ぶ
コンサルタント中島セイジの、これからが見えるビジネスコラム。
今回は、神楽坂にある鞄工房「鮎藤革包堂」と居酒屋「椿々」をご紹介します。
“お客さまにとってどういう存在でありたいか”
ということを意識する
「ブランディングは大手の企業が行うもの」
皆さんの中には、このようなイメージを持っている方がいるかもしれません。
しかし、最近になって弊社へ中小企業からのブランディングの依頼が増えてきました。
これは、中小のお店でもブランディングの必要性を感じているという流れなのです。
私の知るブランディングで、注目に値するお店があります。
その一つが拙書『儲けないがいい』にも登場する、神楽坂にある鞄屋「鮎藤革包堂」です。
この店のオリジナル鞄はとても人気があり、
「生産が追い付かないため、2年以上お待ちいただいております」と
店頭に貼り紙がしてあるほどです。
店内(工房)は商品の鞄と、作業場が同一の空間にあり、
手仕事を主張するようなその工房や主人のしゃべり方からは、
職人のぬくもりが伝わってきます。
その雰囲気はまさに「職人のお店」といったもの。
このお店のホームページは、店の詳細と鞄の写真が数点あるだけのシンプルな構成ですが、
そのシンプルさが商品の質の良さを際立たせています。
店の主人はブランディングを意識して作ったわけではないかもしれませんが、
工房やホームページを見ていると、「職人がこだわり抜いた鞄の店、鮎藤革包堂」という
ひとつのブランドイメージが伝わってきます。
ちなみに、鮎藤革包堂のとなりにある
「椿々(ちんちん)」というユニークな店名の居酒屋があります。
ここは古民家を改造した店舗で、
一見するとただの民家、100人も収容できる居酒屋にはとても見えません。
提供される料理も手間がかかっていて美味しく、個性ある品揃えとなっています。
椿々は店構えも、料理も、スタッフの対応もそして店名や雰囲気もユニークであり、
どことなく一つのコンセプトでまとめられています。
鮎藤革包堂と椿々はどちらも一店舗のお店ですが、
商品や店構え、雰囲気が目指すイメージに合わせて演出されています。
それは、“お客さまにとってどういう存在でありたいか”ということが、
キチンと意識されているからなのです。
実は小さな企業でもブランディングを意識した展開を図ることによって、
お客さまに選ばれる確率は大きく変わってきます。
選ばれるお店になるためには、
お客さまに良いイメージを与え、個性を発揮することが必須課題です。
そのためには、自分たちがどういうお店でありたいかを常に意識し、
そのビジョンに合わせたコミュニケーションを徹底することが重要なのです。
コンサルタント プロフィール
中島 セイジ なかじま せいじ
株式会社クオーターバック代表取締役社長。見・投資(みとうし)コンサルタント。マーケティング及び広告 戦略を中心にプランニング活動を行い、コンサルタントとして数多くの企業を支援している。『非効率な会 社がうまくいく理由』(フォレスト出版)、『儲けないがいい』(アチーブメント出版)が好評発売中。