- ビジネスコラム
産直市場グリーンファームの逆転の発想に学ぶ
施設も立地も好条件ではないのにリピーターが多い理由
コンサルタント中島セイジの、これからが見えるビジネスコラム。
今回は、産直市場グリーンファームをご紹介します。
ビジネスの原点は“ものづくりの喜び”
石や木の葉、はたまた丸太まで。
あらゆるものが売られている産直市場が、長野県伊那市に存在しています。
先日、千葉県にある大里綜合管理のセミナーに講演者としていらしたのが、産直市場グリーンファームの創業者である小林史麿(ふみまろ)会長。
72歳とは思えない斬新な発想とパワフルさには恐れ入ります。その際、目からウロコのお話をたくさん聞かせていただきました。
グリーンファームの来場数は、なんと1日平均1,500人。立派な設備を想像していましたが、なんと、地面は土間。そして、伊那市の中心部からは3km以上も離れているといいます。農道沿いにあり、決してアクセスのいい立地とは言えません。施設が特別きれいなわけでも、立地がいいわけでもないのに、どうして多くの人が繰り返し訪れるのでしょうか?
そこには、ビジネスの原点ともいえる、「ものづくりの喜び」が深く関わっていました。
店頭に並んでいるのは会員が自分たちの畑で収穫した野菜や果物が大半ですが、中にはあけびのツルでつくった籠などがあったりします。
なんでも、農家ではなく鉄道会社を退職した人が、カゴの編み方を学んでつくっているのだとか。さらに、古くなった農具を販売する人もいるというから驚きました。「果たして売れるのか?」と思いきや、なんとすべて完売したといいます。
自分の売っているものを、誰かが喜んで買ってくださる。すると、生産する側のモチベーションは上がり、「また次もいいものをつくろう」という気持ちが生まれます。
だからこそ、グリーンファームはここまで活性化しているのでしょう。
ものであふれる現代において、人が買い物をする際に本当に求めているのは、そのものだけではなく心の満足である“感動”なのでしょう。
買う側が感動してくれれば、売る側(つくる側)も感動する。
小林会長は試行錯誤を重ねたうえで、「ものづくりの喜び」という原点に還るグリーンファームを発想したといいます。つまり、今までと同じマーケティングに頼るだけではだめだということ。
これからの時代は、逆転の発想が“仕事道”へとつながるでしょう。
コンサルタント プロフィール
中島 セイジ なかじま せいじ
株式会社クオーターバック代表取締役社長。見・投資(みとうし)コンサルタント。マーケティング及び広告 戦略を中心にプランニング活動を行い、コンサルタントとして数多くの企業を支援している。『非効率な会 社がうまくいく理由』(フォレスト出版)、『儲けないがいい』(アチーブメント出版)が好評発売中。