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宿泊予約経営研究所所長の末吉秀典が注目の宿泊施設をご紹介するこのコーナー。
今月は、「小樽平磯温泉湯元 料亭旅館 銀鱗荘」さんの体験レポートをお届けします。
ノスタルジックな小樽運河や、蝦夷前の寿司屋で賑わう、北海道を代表する観光地、小樽。
今回は、そんな小樽の岬に、雄壮に佇む「料亭旅館 銀鱗荘」をご紹介します。
昭和14年に開業した銀鱗荘の特長の一つは、瓦葺の本館。
建物は北海道文化財100選にも数えられ、
創建から130余年の月日が経つ歴史的に重要な文化建築物です。
江戸時代から昭和初期まで続いたニシン漁で、
繁栄の富を築いた豪商の館、ニシン御殿そのものを、この地に移築しています。
そんな本館の望楼からは、青く果てなく広がる石狩の海や、
ヨットハーバーを携える近代的な小樽港、天狗山をはじめとする
緑豊かな山々に取り囲まれた小樽の街並みが360度見渡せます。
館内は、厳選された上質な木材を使用し、
かつての網元の贅を尽くした構造となっています。
ゆとりの中にも明治・大正期の小樽を彷彿とさせる飾り細工がされており、
歴史と伝統の重みを心地よく感じさせてくれます。
ゆったりとした眺望豊かな客室は全部で18部屋。
銀鱗荘は地下1,300mから湧き出る源泉を有しており、
湯量豊かな露天風呂からは石狩湾の開放的な眺望を楽しむことができます。
客室と浴場のどちらからも、素晴らしい小樽のロケーションを愉しめる宿屋です。
私が銀鱗荘をおすすめするポイントは2つ。
一つは、宿屋にいながら、小樽の街並み・海岸をさまざまな角度から愉しめるところです。
例えば…
他にもたくさん見どころはありますので、是非その目で確かめてみてください。
もう一つのポイントは、旅の醍醐味を実感できる会席料理。
今回いただいた会席料理は、純粋に蝦夷の魚介・野菜を中心とした、
料理長の誠実なお料理でした。
はやりの趣向を凝らし、お肉料理などが混じった和洋折衷の創作料理よりも、
北の恵みをストレートに感じ味わうことできました。
食事を終え、改めて献立をながめた時に
「あっそうか! 北の…、小樽…に、来てるんだ。」と、感じました。
私は、これを料理長のメッセージなのではないかと感じ取ったのです。
もちろん、季節によって献立も調理方法も変わってくるので
絶対という意味ではありません。
しかし、銀鱗荘は、この小樽の地を訪れたお客さまに対し、
この地のよさを伝えてくれる宿屋であることは間違いありません。
私は、色々な形で宿泊客に気づきを与えてくれる宿屋は、とても新鮮で貴重だと思います。
その地を訪れるとき、宿泊するとき、何を気づかせてくれるか。
それこそ私が、旅に求めていることなのかもしれません。
全国の施設さま、もっともっと、これからもお客さまに気づきを与えてください。
(文・写真:末吉 秀典)