- 集客の匠に訊く
明日からできる盛りつけのキホン
基本的な盛り付け5原則を押さえて印象UP
「盛りつけの匠」が「盛りつけが持つ集客力」についてお話しいたします。
今回のテーマは『明日からできる盛りつけの基本』についてです。
みなさま、はじめまして。「盛りつけの匠」もりたとしこと申します。
3回にわたり、「盛りつけが持つ集客力」についてお話ししてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
第1回は『明日からできる盛りつけの基本』についてです。
少しの工夫で料理は変わる
料理をつくることに一生懸命で、盛りつけが二の次に…なんて経験はありませんか?
実はほんの少し、盛りつけに気を配るだけで、お客さまが料理に抱く印象はガラッと変化するのです。
ただお皿に料理をのせるのではなく、美しい見栄えを意識して盛りつけると、お料理をいただく側の喜びもちがってきます。例えばふらっと立ち寄った飲食店で、お客さまが料理の見栄えを期待していなかったとしても、丁寧に盛りつけられた料理が出てくれば嬉しく思いますよね。盛りつけには、そうしたおもてなしの力があるのです。
とはいえ、どのようにしたら料理を美しく盛りつけることができるのか…。
その疑問にお答えするために、基本的な盛りつけのルールをお教えしたいと思います。
明日から実践! 盛りつけのキホン
盛りつけに対する知識や感覚は人それぞれです。
そこで、これさえ押さえておけば、基本的な盛りつけをマスターできる盛りつけ5原則をご紹介します。
<盛りつけ5原則>
①高さを出す
②三角形を意識する
③色合いに気を配る
④料理は器に対し6~7割
⑤季節感を出す
① 高さを出す
料理は平たんに盛りつけるのではなく、高さを出して盛りつけると魅力的に見えます。
すべての料理に高さを出す必要はありませんが、テーブルに並べる際“高低感”を出し、メリハリをつけることでテーブルが華やぎます。
料理で高低感を出せない場合は、平皿と高台(コウダイ)の器を組み合わせて、高低感を出すとよいでしょう。
5品あったら2品高さを出し、あとは低く盛りつけ、(低)7対(高)3くらいの割合を意識するとバランスよく見えます。
② 三角形を意識する<図1>
<図1>のようにお皿を三角形になるように並べ、テーブルを正面にして座った時
三角形の先端の部分が自分と逆側を向くようにお皿を並べると落ち着いて食事をすることができます。
高さを出して料理を盛りつける際も、三角形を意識すると上手く盛りつけることができます。
③ 色合いに気を配る
単色で印象づけるか、カラフルにして華やかさを出すかは、お店のコンセプトやシーンによって変化します。ひとつの料理のなかにあるとよい色は<白赤緑黄黒>ですが、なかでも黒(もしくは紫)は高級感がグッと高まる影の立役者です。
例えば、サラダは緑のキャベツ一色だと素朴な印象ですし、紫の玉ねぎやキャベツを混ぜると、色味が加わることで食卓が華やぎます。必要な色の食材がない時は、食器で代用することも可能ですがかっこよさを引き立てる紫の食材は少ないので、希少な色の食材から準備するとよいでしょう。
④ 料理は器に対し6~7割
盛りつけを美しく見せる簡単なワザとして、器に対してたくさん盛りすぎないというコツがあります。
同じ器でも、たくさん盛ると学生街のようなお得感を演出でき、6~7割に抑えるとおしゃれなレストランのような雰囲気を演出できます。自分のお店がターゲットとしているお客さまをお得感を求める若い世代とするか、美しい盛りつけを重視する大人の方にするかはお店の方向性によるでしょう。
⑤ 季節感を出す
季節感やイベント性など、ちょっとした演出は日本だけでなく海外の方にも喜ばれます。
例えばお正月に、羽子板の形をした箸置きひとつを置くだけでもテーブルの雰囲気が変わります。
箸置きなど食器であれば、季節がめぐった際に再び使うこともできますので、一式揃えておいてもよいでしょう。
以上が盛りつけの基本的なルールです。一項目ずつ見てみると、明日からでも手軽に取り入れられるポイントもあったのではないかと思います。
無理をせず、できる範囲のことをひとつでも取り入れるだけで、お客さまに与える印象は向上します。
小さなことから少しずつ、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
▼関連する記事を読む
<盛りつけが持つ集客力シリーズ>
シリーズ1:明日からできる盛りつけの基本
シリーズ2:お客様が喜ぶ盛りつけ
シリーズ3:観光客の心を掴む盛りつけ
プロフィール
もりた としこ
盛りつけ師、フードスタイリスト。フリーランスでレシピ提案、料理本や商品パッケージのフードスタイリング、レストランのメニュー撮影、自宅や出張でのお料理教室や盛りつけレッスンを開催している。日々簡単でおしゃれに見える盛りつけを研究中。