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居心地のよい空間は配色が重要
目的に沿った環境色彩と配色バランスのポイント

匠が、とっておきの集客術を教えます 集客の匠に訊く

 

4ヵ月連続して「宿屋に求められる色彩テクニック」についてお話しいたします。
今回のテーマは『居心地のよい空間のための環境色彩と配色バランス』についてです。

居心地のよい空間のための環境色彩と配色バランス


第2回は、『居心地のよい空間のための環境色彩と配色バランス』についてです。

環境色彩とは?


色というのは単色で存在するわけではないので、心地よい空間を構成する色彩は、その目的や条件を加味し、総合的に決める必要があります。
その際に重要になるのが「環境色彩」という考え方です。

 

環境色彩とは、建築物や工作物、自然環境など私たちの生活のなかにあるさまざまな色彩のことを指します。
環境色彩では、「色」を空間の要素として捉え、家具や建物の色彩を個別に検討をするのではなく、全体の調和を考えながら色彩設計することが求められるのです。

例えば、住空間には「インテリア(屋内空間)」と「エクステリア(屋外空間)」があり、それぞれ色彩設計が異なります。インテリアの色彩は、空間における利用目的によって異なります。例えば、食事をする場所は「お客さまが楽しく・美味しく食事ができること」、寝室では「リラックスして眠れること」が基本的なニーズとなるでしょう。

それぞれの空間に対してその目的に合わせた色彩設計を行う必要があります。

一方エクステリアは、中庭や門、外壁など屋外でのさまざまなものを指します。そのため、生活の安全性を高め、周辺環境との調和を考えたものが求められます。また、インテリアに比べエクステリアは建築の外壁などスケールが大きく多くの人の目にふれるため、不快感を与えないように配慮することも重要です。

 

配色バランスが居心地のよい空間を生む


では実際に空間を構成する色彩を考える時、どのような点に注意すればよいでしょうか。
今日はその一つをご紹介させていただきます。空間における色彩の「面積」は、とても重要なポイントとなります。

人が眼で認識できる色は「可視光線」といい、波長380nm~780nm(ナノメーター)で、色そのものがエネルギーを発しています。人はただその色が視界に入るだけで、例えば本人が意識してなかったとしても、実はなんらかの影響を無意識に受けているのです。そして色彩の面積によって受ける印象も変わります。

 

≪空間の配色構成≫

●ベースカラー(基調色)
全体の約70%を占め、背景色にもなる色。イメージ全体を左右する。

(例)・インテリアの場合・・・床や壁、天井など 
   ・エクステリアの場合・・・外壁、屋根面など

 

●アソートカラー(配合色)
全体の約25%を占め、ベースカラーとアクセントカラーの間を取り持つ色。
空間に安定感を与える色が選ばれる。

(例)・インテリアの場合・・・カーテンやドア、作り付け家具など 
   ・エクステリアの場合・・・雨どい、屋根、堀垣など

 

●アクセントカラー(協調色)
全体の約5%を占め、変化をつける役割を持つ色。
誘目性の高い色を使用して全体を引き締めたり、個性的な印象を与えたりする。

(例)・インテリアの場合・・・インテリア小物などの小面積のもの
   ・エクステリアの場合・・・壁面や一部草花など

上記のような面積だけでなく、使用する素材の特徴や照明の具合などのさまざまな要素を加味して空間はつくられます。
やみくもにいろんな色を使えばいいというものではなく、宿屋のコンセプト、メッセージ、部屋ごとの目的に応じて、色彩を設計することが大切なのです。

 

 


 

▼関連する記事を読む

<宿屋に求められる色彩テクニック>
シリーズ1:人の心を動かす色彩
シリーズ2:居心地のよい空間のための環境色彩と配色バランス
シリーズ3:カラーユニバーサルデザイン
シリーズ4:色彩心理に関する事例

 

 

プロフィール

せきぐち ともえ

株式会社キュア・カラー 代表取締役。一般社団法人 日本カラーヒーリング協会理事長。ILA(世界の光と色の協会 日本支部)代表。広告代理店時代、500人以上のアーティストの広告宣伝・プロモーションを担当。1999年に「キュア・カラー」設立。色彩はもとより、前職経験を活かした企業のブランドづくりのコンサルティング、商品開発、監修などを多数行い、幅広く活動している。現在は「色の気(エネルギー)で女性性満開ワークショップ」を、鎌倉・アメリカ・パリにて開催中。主な著書『心の三原色—もっとキラキラ輝くあなたへ』。

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