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集客の匠に訊く:気持ちを伝える贈り物

集客の匠に、お客さまを呼ぶポイントを訊くこのコーナー。

4ヶ月連続して“贈り物の匠”が「宿屋に求められるおもてなしのギフト」についてお話しいたします。
今回のテーマは「宿屋における贈り物の役目」についてです。

気持ちを伝える贈り物

 

みなさま、はじめまして。“贈り物の匠”冨田いずみです。
今月から4回にわたり、「宿屋に求められるおもてなしのギフト」についてお話したいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

第1回目は、「宿屋における贈り物の役目」についてです。

「サービス」と「ギフト」の違い

 

宿屋で働くみなさまにとって「サービス」という言葉はよく耳にするかもしれませんが、「ギフト」という言葉はあまり聞きなれないのではないでしょうか?そもそも、「宿屋×ギフト」が想像できないという人もいるかもしれません。

一般的に「ギフト」とは、相手に自分の気持ちを伝えるために無償で贈る“モノ”のこと。
一方「サービス」は、相手を満足させるために有償で提供する“コト”のことです。
また、「サービス」と「ギフト」の大きな違いは、お客さま全体を対象にして行うか、または個人に対して行うかという点にあります。一様に同じものを贈るのではなく、個人を意識した“贈り物”だからこそ、貰った相手は特別感を感じ、よい印象を持つのです。

つまり、場所や時間に縛られることのない自由な贈り物だからこそ「贈る相手をよく知る」ことが重要だといえるでしょう。

 

 

少しの手間がおもてなしへ


では、宿屋における「ギフト」とはどのようなものでしょうか。

具体的に例を挙げるとすれば、お客様の誕生日にサプライズで贈るワインやお菓子などがあります。
他にも、接客している中で聞いた不便を解消するグッズ、宿泊中にお客様が好まれた調味料を小分けにしたものなどもあります。

つまりただ“モノ”を贈るのではなく、それをお客さまの滞在をより良いものにする「おもてなし」に昇華させることがギフトの大きな役割といえるでしょう。

また、「ギフト」の特徴としては、効率のよいものばかりではなく、むしろ非効率なものの方が多くあるかもしれません。なぜなら、あくまで「ギフト」は利益を優先するものではなく、お客さまへ宿からの気持ちを伝える“モノ”だからです。

例えばお客さまは、一様にプリントされた手紙を渡されるより、手書きの一言メッセージを貰う方が嬉しいと感じますし、大切に想われていると感じます。

このように、一見、非効率な「少しの手間」がお客さまの心に大きく影響し、宿屋全体の印象アップに繋がります。
ひと手間かけた贈り物で、お客さまは宿からの“おもてなしの心”をより感じることができるでしょう。

いかがでしたでしょうか。「ギフト」という視点を持つことは、お客さまへのより一層のおもてなしに繋がります。

そこで、次回はただの「モノ」で終わらせない、効果的な贈り物の活用方法についてお教えいたします。

 

プロフィール

冨田 いずみ とみた いずみ

ギフトコーディネーター。食品、ファッション、インテリアなどさまざまなショップを回り、自分の目で見て手にとって確かめた、感度の高いギフトをマナーとともに紹介。現在は、ライター業のみならず商品の企画宣伝、スタイリングまで幅広く携わり、TVや雑誌などマスコミへの出演も多数。

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