閑散期のグランピング集客│冬の集客アイディアを考えるための方法を分かりやすく解説!
2024. 01. 25
最終更新 2024. 07. 19
目次
この記事は7分で読めます。
グランピング経営・運営において、閑散期の集客企画やアイディアを考えないといけないけど、本格的なマーケティングの知識はない。そんな方に向け、簡易的に閑散期の集客アイディアやイベント企画を考えることができる方法をここではご紹介します。
考える手順は決して難しくありません。自社で考えるときにお役立ていただけます。
グランピング施設の閑散期は顧客をつくることを意識
グランピングは、近年人気が高まっているアウトドアアクティビティですが、冬などの閑散期には、集客が難しくなるという問題があります。そのような時期において、一般的な閑散期の事業戦略として以下の3つの選択肢が挙げられます。
1.少ない需要の中で取り合う
2.諦めて別の収入源を持つ
3.自ら需要をつくり出す
長期的に考えると、自社が競争環境の中で生き抜くためには、別の収入源を持つか、自ら需要をつくり出すことが望ましいと言えます。この記事では、新たなターゲット層を開拓したり、新たな事業領域に進出したりするためにも必要な『自ら需要をつくり出す』ことをテーマに置きます。
では、グランピング施設が自ら需要をつくりだすためのポイントには何があるのでしょうか。それは、グランピングに来る人を増やすのではなく、自社に来る人を増やすという意識を持つことです。
独自の集客アイディアを可能にする“考える手順”とは
自社に来る人を増やすための集客アイディアはどのように考えれば良いのでしょうか。
重要なことは、市場を大きく捉え、市場を再定義することです。順を追って説明します。
STEP1:自社の特徴を書き出す。
基本的なことですが、まず最初は自社の特徴や提供できる資源を書き出します。すでに書いている方は、スタッフ個人の特技にも触れ解像度高く書き出します。
そして、特徴は長所だけでなく、短所も書いておきます。
短所は意外でユニークな要素として昇華できるかもしれません。冬であれば、敷地が殺風景という短所が想像できます。
STEP2:一旦、自分たちの提供しているサービスや機能面から離れる。
次に、現在の「グランピング」や「宿泊施設」という機能面から離れ、閑散期(冬)における消費者の状態、行動動機などに焦点を当てます。例えば「冬」に着目してみることです。以下の一覧のように「冬」に関することを3~5つほどのカテゴリーと問いを立て、それぞれの内容を書き出していきます。
Point:この工程で大切なことは、競合ではなく、消費者を考える対象にすることです。カテゴリーにおける消費者の感情や状態、ニーズを考える起点にします。
イルミネーションの企画はどこでもやっていることです。ここからオリジナリティを出すためのワンステップを踏みます。
それは、常識となっていること、固定概念となっていることを書き、その逆を考えることです。
以下の図がそのフレームワークです。
集客において大切なひとつの要素として、ユニークさがあります。
購買行動を起こさせるためには、まずは興味や関心を引くこと、できればクスっと笑えるユニークさが必要です。
星野リゾートの星野氏も、とあるWEBメディアのインタビューで「私たちを覚えてもらうまでは、クスっと笑ってもらうことに注力していました」と語っていました。
そのユニークさをもたせるためには、常識・普通なことをコミュニケーションしていても情報で溢れる人々の目には止まらず、記憶にも残りません。また、自社に訪れてもらう理由にもなりません。
上記のフレームワークをユニークさを考えるためのツールとして是非ご活用ください。
これにより、大きな方向性として「イルミネーションを自分たちで作ってもらい楽しんでもらう」というコンセプトの種がつくられました。そして、コンセプトを以下のように定めてみます。
『 世界が知らないイルミネーションをつくろう 』
このように定義をすると、ここから具体的な実行アイディアが浮かんでくると思います。コンセプト出しの段階で、ユニークさが足りないと感じれば、STEP2の作業を繰り返し行います。
STEP3:具体化に向けた最後の仕上げ
最後にターゲットや提供価値の確認と提供する方法やコミュニケーションを考えます。
(例)ターゲット:WHO
ターゲットは、クリスマスの時期は自宅をイルミネーションで装飾をすることが好きな人のように、日頃からDIYや作業が好きな人、冬に家にいることが多くなりストレスが溜まっている子供をもつ親などが思い浮かびます。 成果に繋がりやすいターゲット設定のポイントは、年齢や性別、家族構成などで設定するのではなく、消費者の行動特性や嗜好性、ニーズ、状態などに着目し設定することです。
(例)提供価値:WHAT
そのようなターゲットに提供する価値として、イルミネーションを通して人とコミュニケーションを図り得られる「幸福・満足感」が考えられるかもしれません。よくありがちな誤った提供価値の設定として、提供手段が価値として設定されていることがあります。価値(WHAT)と手段(HOW)が混合しないように注意しましょう。
(例)価値の提供方法:HOW
今回の一例の場合、提供方法は「イルミネーションを自分たちで作ってもらい楽しんでもらう」ことになります。
ターゲットに提供価値を伝え、体感してもらうためにはどうすればよいか。という問いを起点に実施方法や交流の作り方、作ったコトの発信方法、PRをする媒体、方法などを考えます。(マーケティングにおけるマーケティング4P/4Cといわれる工程です。ご興味ある方は調べてみてください。)
コミュニケーションの方法として、自社の短所に着目し「殺風景な冬の敷地内を皆さんの力で、光の装飾で包んでください!」というようなコミュニケーション方法は、メディアに対しての話題性を掴むうえでは面白いかもしれません。きっとこういった話題に乗りたい人たちが集まってくることでしょう。
上記の3つの視点を整理しながら考えていくと、実施内容からPR方法まで包括的に考えていくことができます。
さいごに
この記事では一例も交えながら、閑散期(冬)の集客戦略として、顧客をつくるための独自集客アイディアの考え方を簡単にご紹介しました。繰り返しになりますが、大切なポイントは市場の再定義です。グランピングというカテゴリーや機能面ばかりに注力していると、思考が狭まり設備面の充実度が差がそのまま集客力の差になってしまうので、一度、頭を振ってみることをおすすめします。
グランピングであれば、教育市場を設定することも面白いかもしれません。学校教育の課外研修や自然体験教室。企業の社員同士の交流や研修の場として活用したりすることで、新たな事業領域を広げることができ、自社の使われる用途・機会を増やすことに繋がります。人が動きづらい閑散期(冬)に、“自社”に来てもらうための意味づくりとしてここでご紹介した手順を是非お役立てください。
どの市場で戦うのかを見定め市場を再定義することは閑散期だけでなく、そもそもの事業戦略においてもとても重要な考え方です。市場の捉え方、選び方は今後他の記事で深く掘り下げご紹介しますので、そちらもご覧ください。