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3年後に迫る<2025年問題>宿が社会から求められることとは?

ビジネスコラム

皆さんは「2025年問題」という言葉をご存じでしょうか。

これは2025年に日本の人口の1/3が高齢者となり、超高齢化社会となることで発生する
さまざまな問題のことです。
3年後に待ち構えるこの社会問題に対して、旅館・ホテルが求められることは何でしょうか。

今回は、今後需要が拡大されるであろう「ユニバーサルツーリズム」の概要と
宿泊施設に関わる取り組みをご紹介します。

 

今後需要が拡大される「ユニバーサルツーリズム」とは

ユニバーサルツーリズムとは、すべての人が楽しめるよう創られた旅行であり
高齢や障害等の有無にかかわらず、誰もが気兼ねなく参加できる旅行を目指したもの
(国土交通省観光庁引用)

 

2010年代から国土交通省が主導して、誰もが安心して旅行を楽しめる環境を整備するための
本格的な取り組みが始まりました。
現在も自治体やNPO、DMO等の幅広い協力のもと、バリアフリー化・多言語化対応など
旅行商品や設備対応などの普及活動が行われています。

現在、日本の人口における高齢者の方や障害者の方の割合は3割以上となっており
旅行時には家族や友人を同伴することが多いことから、市場規模は大きくなっていきます。
ユニバーサルツーリズムの市場規模を予測した調査によると、2010年の9,190億円から
2035年には1兆3,590億円と約1.5倍に拡大されると予想されています。
(出典:公益財団法人ちゅうごく産業創造センター 『高齢化社会におけるユニバーサルツーリズムを軸とした観光振興施策の検討調査』)

 

ユニバーサルツーリズムにおいて宿泊施設が求められること
ユニバーサルツーリズムが提唱している「高齢の方や、障害のある方も若者や健常者と同じように
楽しめる社会」を実現する為に、宿泊施設はその環境を提供する立場として社会的責任が求められます。

バリアフリー化と聞くと主にハード面の整備に注力するイメージが強いですが、
今後はハード面では対応できないソフト面の整備にも注力する必要があります。
そして何より、整備したことを情報発信することが重要になっていきます。
なぜならば、ハンディキャップを持つ方や同伴する方は
その宿泊施設を利用できるかどうかを事前に判断するための情報が必要となるからです。
そこで国土交通省はバリアフリー化を整備するだけでなく、情報発信まで行うよう促すために
2021年9月に「観光施設における心のバリアフリー認定制度」を創設しました。

※「心のバリアフリー」とは、様々な心身の特性や考え方を持つすべての人々が、相互に理解を深めようと
コミュニケーションをとり、支え合うことで心の壁を取り払うことを意味しています。

 

観光施設における「心のバリアフリー認定制度」の概要

この「観光施設における心のバリアフリー認定制度」はソフト面のバリアフリー対応や
情報発信に積極的に取り組んでいる観光施設を対象とした制度です。
整備した内容を申請し、基準を満たしていれば観光庁から認定の証として認定マークの使用が
許可され、観光庁のホームページ上で施設名が公表されます。(詳細は観光庁HP

観光施設における心のバリアフリー認定制度(宿泊・飲食・観光案内所)

転用元:観光庁報道資料

「観光施設における心のバリアフリー認定制度」の認定から始める将来への投資

この認定制度の審査ハードルは決して高くありません。
ソフト面で自分たちの出来ることを実践すれば認定されるものです。
観光庁の担当者さんも「認定のハードルは低いので皆さんに取り組んでほしい」と仰っていました。

 

申請方法のご紹介

申請方法は以下の3つの条件を満たしたうえで所定の申請用紙にバリアフリー対応の内容を記入し
メールまたは郵送で申請します。調査員が現地を訪れ調査することはありません。

1)バリアフリー性能を補完するための措置を3つ以上行なっている
 <一例> 

 筆談具やコミュニケーションボードを用い施設の案内を行っている
 施設内の段差を解消するために移動可能なスロープ板を準備している
 大浴場や浴室など滑りやすい箇所に転倒防止処置をする など
転用元:https://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/sangyou/innovation_00001.html

 

2)バリアフリーに関する教育訓練を年1回以上行なっている

<一例>
 観光庁の制作したマニュアルを活用し、社内勉強会を実施
 観光庁の「心のバリアフリー認定制度」ページ内にある動画で視聴研修を実施
 バリアフリーに関する資格を有する従業員を雇用 など
転用元:https://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/sangyou/innovation_00001.html

 

3)自社サイト以外で施設のバリアフリー情報を積極的に発信している
 

<一例>
 ✔〇〇市のバリアフリーマップに記載
 ●●県の観光ポータルサイトに記載
その他、バリアフリー情報サイトとしては「全国バリアフリー旅行情報センター」などがあります。
転用元:https://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/sangyou/innovation_00001.html

 


 

バリアフリーはハードルが高そうで、何から始めればいいのか分からない・・・
そんな方に向けて⾼齢の⽅や障害のある⽅などをお迎えするための
「接遇マニュアル ~宿泊施設編~」が国土交通省から発表されています。参考にご覧ください。
接客シーンごとの対応の心得が記載されていますので、心のバリアフリーを理解する教材としての活用はもちろん、
社員教育にもおすすめのマニュアルです。

接遇マニュアル~宿泊施設編~

さいごに
この認定制度の開始から先月までの間に認定を受けている宿泊施設数は全国で267軒。
まだまだ少ない印象です。

バリアフリー化への最初の第一歩は、高齢の方、障害のある方すべてに対応できるよう
整備するのではなく、まずは特定の不自由さをもっている方に絞ったほうが良いと考えます。
認定制度に申請しなくても自分たちでできることを実践し、発信し続けることが大切です。
近い将来必ず訪れる超高齢化社会に向けて早いうちに取り組むことにデメリットはありません!

バリアフリー化への費用については補助金を用意している都道府県もあります。
また、2022/6/30には観光庁がバリアフリー化補助金の公募を開始しましたので一度ご確認ください。

【都道府県の補助金】
 検索キーワードに「バリアフリー」とご入力ください。
 補助金ポータル 
 ・ミライサポplus 
【 宿泊施設インバウンド対応支援事業(バリアフリー分野)(締切2022.07.29) 

 

この「心のバリアフリー認定制度」を集客という視点で捉えると
年齢や障害の有無に関わらず、誰もが楽しめる施設であることをアピールできます。
競合との優位性を発信する上でも、今後この認定制度はさらなる価値となるのではないでしょうか。
また、施設のページに訪れた他のユーザーに対しても、とても好印象に映るはずです。
近い将来訪れる「2025年問題」に向けて一緒に取り組んでいきましょう!

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「心のバリアフリー認定制度」申請方法、問い合わせ先はこちら

 

┃「観光施設における心のバリアフリー認定制度」申請先
 国土交通省 観光庁 観光産業課
 観光施設における心のバリアフリー認定制度担当 宛
 (メール送付先)hqt-kanko-bfnintei@mlit.go.jp
 (郵送の場合)〒100-8918 東京都千代田区霞が関2-1-2
  ※郵送の際は「観光施設における心のバリアフリー認定制度 新規申請」と朱書きください。

┃申請書ダウンロードはこちら

┃その他必要な書類
[1]下記、認定対象施設であることを証する資料のいずれか
旅館業法上の営業許可証(写し)
国家戦略特別区域法上の認定を受けていることが分かる書類等(写し)
住宅宿泊事業法上の届出を証明する自治体から発行された通知書等(写し)
食品衛生法上の営業許可証(写し)
日本政府観光局からの外国人観光案内所の認定を証明できるもの
観光案内所の実在性が分かるものおよび活動内容が分かるもの

[2]ソフト面でのバリアフリーの取り組みの具体的な内容がわかる写真・資料等
[3]教育訓練を行った日時がわかる書類(社内日誌や研修案内等)、教育訓練の内容がわかる書類
(パンフレットや使用教材等)
[4]全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会が定める「シルバースター登録制度」
の認定を受けている場合、それを証明するもの※
[5]その他、観光庁が必要と判断するもの
※[3][4]は該当資料があれば提出

┃認定された後の流れ
 ・認定施設に対し、認定通知書を交付します。
 ・認定施設名およびその所在地を、観光庁のウェブサイトにおいて公表します。
  認定を受けた施設は、認定マークを広報・PRを目的として、使用可能です。
  認定施設以外の者が認定マークの使用を希望する場合は、観光庁観光産業課に申請する必要があります。
  ( 認定マーク使用要綱 https://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/sangyou/content/001448613.pdf )

┃認定制度の問い合わせ先
 国土交通省 観光庁 観光産業課 
 観光施設における心のバリアフリー認定制度担当
 TEL:03-5253-8330(土・日・祝日・年末年始を除く10:00~12:00、13:00~17:00)
 Email:hqt-kanko-bfnintei@mlit.go.jp
 詳細は観光庁HPをご確認ください。

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