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宿研通信 12月号

気になる宿屋レポート 末吉が行く

宿泊予約経営研究所所長の末吉秀典が注目の宿泊施設をご紹介するこのコーナー。
今月は、「伊豆大島ホテル&リゾート マシオ」さんの体験レポートをお届けします。

「伊豆大島ホテル&リゾート マシオ」

東京から約120kmの距離にある活火山の島、伊豆大島。
アクセスは空路と海路があり、今回は海路で向かいます。
ジェット高速船が東京の竹芝桟橋と島の間を毎日2便就航しており、
時速約80kmでの疾走も揺れは少なく約105分の道のりは快適に進みました。
船からはレインボーブリッジ、羽田空港の飛行機の離発着や横須賀の海軍基地などの
景色を楽しむことができます。

東京湾から太平洋へ出ると、海の色が次第に深い紺色に変化していくのがわかります。
伊豆大島には、ジェット高速船が着岸する港が元町港と岡田港の2つあり、
どちらになるかは当日の天候によって決まるということに、
初めて訪れる人はちょっとビックリするかもしれません

自然の中に佇む
客室3室のやすらぎのホテル

今回ご紹介させていただく宿は、
予約サイトのクチコミでも最高の評価を得ている「伊豆大島ホテル&リゾート マシオ」。
自然豊かな森の中腹にひっそりと佇む小さなリゾートホテルです。
離島にあり、かつ客室わずか3室というホテル経営に興味を引かれました。

客室はそれぞれ意匠が異なり、和モダンを基調としたツインベッドと、琉球畳を設える「Yroom」。
螺旋階段が目を引き、子供心をくすぐるメゾネット形式の「Mroom」。
木目調のインテリアとクリームウォールのコントラストが安らぎを与える「Kroom」。
YとMには開放感溢れるバスルームがあり、
いずれもゆったりとしたテラスで時が移ろうごとに変化する絶景が愉しめます。

琉球畳が心を癒す
和モダンのYroom
琉球畳が心を癒和モダンのYroom
螺旋階段が
夕日に染まるMroom
螺旋階段が夕日に染まるMroom

柔らかなディテール
包まれるKroom
柔らかなディテール包まれるKroom
伊豆半島を望む
雄大な伊豆大島の絶景
伊豆半島を望む雄大な伊豆大島の絶景

それ以外にも、ゲスト専用の貸切風呂や、エステルーム、ギャラリー、バーラウンジなど
3組だけのとっておきのプライベートな空間と時間を味わうことができます。

お食事前に寛ぐ
ラウンジコーナー
お食事前に寛ぐラウンジコーナー
3組だけの
バーラウンジ
3組だけの贅沢なバーラウンジ

窓を開け放って楽しむ
ゲスト専用貸切風呂
窓を開け放って楽しむゲスト専用貸切風呂
少し苦みが心地よい
伊豆大島の明日葉茶
少し苦みが心地よい伊豆大島の明日葉茶

そして特筆すべきは、
大きな一枚ガラス一面に広がる絶景のパノラマが楽しめるダイニングレストラン。
眼下には豊かな伊豆大島の自然林、
その先には太平洋の海原と伊豆半島の山々が展開しています。
普段、伊豆半島から伊豆大島を望むことが多い私にとって、
この景色は改めて伊豆大島のリゾートとしての魅力に気づかされました。

海と山の美味しさが詰まった
マシオ特製料理
夕焼けにほんのり染まる
ダイニングレストラン
夕焼けにほんのり染まるダイニングレストラン
太平洋に沈む夕陽を眺める
ラウンジテラス
太平洋に沈む夕陽を眺めるラウンジテラス

夕陽が沈み、黄金色の地平線が紺色の海原と空に挟まれる頃、
マシオ自家製の梅酒から宴は始まります。

前菜は明日葉チーズ和えと秋刀魚の燻製とマリネ、地魚のすり身揚げ、明日葉麺。
サツマイモスープに島で獲れたマグロのカルパッチョ。
オーナーの奥様、敬子さんが一品一品丁寧に説明をしてくれます。
マシオのお料理は明日葉などの葉野菜や根菜類、魚介類などを中心に地元で採れた食材を使用。
素材・器の色彩による見た目と食感が大事にされており、
華麗な創作料理を最後まで楽しむことが出来ました。

彩り鮮やかな前菜にスープ、
マグロのカルパッチョ
彩り鮮やかな前菜にスープ、マグロのカルパッチョ
牛ほほ肉のシチューに
地元金目鯛の揚げ物
牛ほほ肉のシチューに地元金目鯛の揚げ物

マシオ特製、島唐辛子と
大島乳牛のジャムのかかったデザート
マシオ特製、島唐辛子と大島乳牛のジャムのかかったデザート
山で採れた自然薯のとろろを
ご飯にかけて召し上がれ
山で採れた自然薯のとろろをご飯にかけて召し上がれ

離島の自然が教えてくれた
リゾートとしての価値

「ここ伊豆大島、特にマシオは首都圏から一番近い離島のリゾートなんですよ」と
ご主人の立島克信さんは言います。

飛行機で約35分、ジェット高速船でも約105分で来られる伊豆大島では、
様々な景色と豊かな自然を楽しむことができます。
大島出身の立島さんは東京の大学を卒業後、建築関係の仕事をしていましたが、
いつかは島に戻って何かをしたいと考えていたそうです。
たまたま知り合いに西表島で小さな宿を経営している人がいて、
このスタイルなら自分でも出来るかもしれないと思い、10年前にこのマシオを始めました。

街中から離れ、眺望豊かなこの中腹にホテルを建設することに決めたそうですが、
当時は地元の人からも酷評されたそうです。
それでも、今やリピーターのお客さまが絶えることはなく、特に30~40代の女性が多いそうです。

立島さんに5年先のホテルのビジョンをお伺いすると、
「ゲストのための畑を用意して、農業体験ができるようにしたい」とのこと。
1日3組だけに与えられる「ただ時の移ろいを眺める、という贅沢」。
離島だからこそ、訪れた人に与えられる気づきがあるのかもしれません。

笑顔が絶えない
立島克信さん・敬子さんご夫妻
笑顔が絶えない立島克信さん・敬子さんご夫妻
地元の食材を使用した
洒落たマシオオリジナルジャム
地元の食材を使用した洒落たマシオオリジナルジャム

伊豆大島は天候によっては、空路も海路も欠航することがあり、
多忙を極める人にとっては計画しづらい場所かもしれません。

しかしながら、首都圏から旅行時間では一番近い離島であり、
訪れた人たちだけがわかるリゾートの価値を提供してくれるホテルだと私は思います。
ぜひ、皆さまも一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

時の移ろい
シャンパンピンクにざわめく海
時の移ろいシャンパンピンクにざわめく海
黄金色に輝く
地平線と紫紺に染まる大空
黄金色に輝く地平線と紫紺に染まる大空


(文・写真:末吉 秀典)

今月の宿屋データ
宿屋 伊豆大島ホテル&リゾート マシオ
所在地・連絡先
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