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宿泊予約経営研究所所長の末吉秀典が注目の宿泊施設をご紹介するこのコーナー。
今月は、宮城県遠刈田温泉にある「別邸 山風木」さんの体験レポートをお届けします。
梅雨入りを間近に感じさせる東京駅のプラットホームに、
ロングノーズが特長の東北新幹線最新型E5系が静かに入線してきました。
2011年3月5日にデビューした「はやぶさ」は、東京から新青森を最速3時間10分で結びます。
ちまたで話題となっているのが、グリーン車のさらに上のクラス「グランクラス」という
初のファーストクラス級サービスを提供する車両を連結していること。
最上位のシート空間で、お食事とアルコールを含むドリンクをフリーで提供してくれます。
鉄道旅行が時短、単一的なサービス化へと進む中、この仕掛けは旅心をくすぐります。
今回は残念ながら普通席での旅行となりましたが、いつか体験をしてみたいと思いました。
今回は宮城県遠刈田温泉にある「別邸 山風木」に宿泊。
遠刈田温泉は蔵王連峰の麓の高原地帯にあり、
足腰の病気に効くことで昔から湯治場として栄えてきました。
また、こけしの生産地としても知られており、
街の中心にある橋では、大きなこけしが旅人を迎えてくれます。
「別邸 山風木」は、温泉の街中から少し麓を下った別荘地に佇んでいます。
開業は2006年10月で敷地面積は2,300坪と広く、客室数はわずか9つの隠れ家的な湯宿です。
10畳にテラス付きのお部屋が6室、スイートルームが3室という構成。
蓮の花が咲く池を囲むように平屋建ての建物が配置されています。
客室の開放感ある大きな窓から庭園を楽しむことができ、
什器は客室によって意匠が異なります。
館内にはDVDライブラリーや、小説や雑誌などがある書庫も用意されており、
客室に備えられたDVDプレーヤーで楽しむことができます。
今回の客室は、ツインのベッドルームに6畳の和室、サンルームとテラスデッキのスイート「藍」。
特徴的なのがウッドデッキに大きな絨毯が敷かれ、
デザイナーズチェアやマッサージチェアを配置した採光が豊かなサンルーム。
デザイナーズチェアに横たわると思わずうたた寝…主人がセレクトした音楽CDを聴きながら
マッサージチェアでマッサージ…まさに至福の時間がすごせます。
ベッドルームにはスキンケアのナノケアが設えられており、
女性に対しても主人のこだわりが伝わってくるようでした。
入浴施設は、露天風呂と内風呂が対になった
「風と木々の湯」と「月と風の湯」の2タイプと、貸切風呂が一つ。
温泉は自家源泉の100%掛け流しとなっており、ほのかな硫黄の香りがする温泉です。
湯船が緑色に染まるほどに色鮮やかな庭園のつつじや広葉樹の葉緑が、
和やかな気分を演出してくれます。
湯上がりに休める空間として館内の庭園に移動すると、
そこはウッドデッキの上にテーブルと洒落たチェアが並べられた「椿ラウンジ」が。
バニラフレーバーが薫るハワイアンコーヒーやお菓子を、
自由にいただくことができます。
さらに、オリジナルカクテルや地ビールなどをオーダーできるようになっており、
ジャズの調べが流れる中、
庭園の木々のざわめきとそよ風が温泉で火照った体を心地よく冷ましてくれます。
さて、「別邸 山風木」で楽しみなのがお料理。
コンセプトが食事を楽しむための宿つまりオーベルジュであり、
宮城県産・蔵王産の鮮材を使用した創作料理がお客さまからも大変評価されています。
本日は9品のコース・前菜のお題は「蔵王からの贈り物」。
お題のその名の通り、蔵王の素材をふんだんに使った前菜は、
40cmを超えるような長皿に9品の色鮮やかな料理が盛り付けられています。
蔵王チーズの豆腐やミニトマトのチリソース添え、
蔵王油揚げとうるいの辛味噌漬け、オクラの一口寿司などなど。
蔵王産の枝豆や朝採れ野菜の旨みが詰まった冷製スープ、そして温野菜のバーニャカウダーなど、
その一口一口に思わず笑みがこぼれ、この後の料理への期待が高まります。
メインのステーキは、A5ランクの仙台牛のサーロインまたはフィレステーキ、
タラバ蟹と帆立の海鮮焼き、そして料理長オススメの焼き魚「喜知次」、
この4品目の中から選択することに。
宮城県では高級魚のキンキのことを喜知次と呼ぶそうで、
甘みのある脂ののった白身が絶品とのこと。ここは迷わず、喜知次をオーダーです。
香ばしく焼き上がった魚は、舌の上で豊潤な甘みがとろけ、なんと幸せな味わい。
食事も白石の手延べ温麺など4品目から選択することができ、
今回はオススメの鯛の釜炊き御飯をいただきました。
さらにコースとは別におばんざいと称して数種類の総菜が用意されており、
自由に食べることができるようになっています。
満足できる料理のラインアップに「別邸 山風木」の魅力を味わい尽くしました。
「食するために、お泊まりいただく2食1泊付の宿」と謳われている「別邸 山風木」。
謳い文句の通り、独創性が感じられる料理を心ゆくまで愉しめる、
大人のオーベルジュの湯宿でした。
ぜひ、皆さまもお出かけになってみてください。
(文・写真:末吉 秀典)
遠刈田温泉 別邸 山風木 |
〒989-0916 宮城県刈田郡蔵王町遠刈田温泉字小妻坂21-70
0224-34-2711 →別邸 山風木 公式HP |
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お車で東北自動車道白石ICから国道4号、県道12号を経由して約20分
電車でJR東北新幹線白石蔵王駅から無料送迎バスにて約45分 |