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近年注目が集まっている「おこもりステイ」その集客アイディアをご紹介

ここ数年の感染対策が求められる風潮の中で、少しでも非日常を味わいたいことや、海外旅行へ行けなかった代替策として、「宿に滞在する(こもる)」ことを目的とした旅行スタイルが増えました。
チェックインからチェックアウトまで、時間を目一杯使う人が多く、幅広い客層から、新しい旅の選択肢のひとつとして選ばれています。

2022年10月に実施された水際対策大幅緩和や全国旅行支援も影響し、消費者の旅行への意識も変化してきた今、おこもりステイではどんなことが求めらているのでしょうか?

今回は、最近の「おこもりステイ事情」をご紹介します。
冬の稼働が低い閑散期対策のヒントとなることも!? 是非最後までご覧ください!

目次

これまでのおこもりステイ
これからのおこもりステイ
宿が出来るおこもりユーザーへの仕掛け
さいごに

 

これまでのおこもりステイ

 

まず、これまでに定番となっていたおこもりステイは、観光地を巡るのではなく、ホテルや旅館に「滞在」し、宿の設備やサービスなどのポテンシャルを重視する傾向がありました。

 

定番!ご褒美としての非日常


オシャレで、美味しい料理が用意されている設備とサービス重視の”ホカンス(ホテルバカンス)”
 

#ラグジュアリー #手の届く贅沢 #ご褒美 #映画一気見 #スパ・エステ #料理 #おひとり様 #極上気分


各旅行会社も、今まで海外旅行にお金を使っていた「ミドル富裕層」に向けた「おこもり企画」を提案することが多く、食事やドリンク、アクティビティやイベントなどすべての費用が宿泊費に含まれているオールインクルーシブや、客室露天風呂等、まさに大人のご褒美をテーマとしたおこもりが注目を集めていました。

必然的に、館内や客室の設備・サービスなどのポテンシャルも重視され、単価も高いホテルや旅館が選ばれやすい傾向にあります。

オールインクルーシブ
スパ・エステ
露天風呂付きの客室
温水プールやジェットバス
アフタヌーンティセットを楽しむ
オリジナル体験教室
部屋食
夜景・オーシャンビュー

ところがここ最近、おこもりステイに新たなる変化がおこりつつあります。
アフターコロナでのおこもりステイではどんなことが求められているのでしょうか?

 

これからのおこもりステイ

 

今までの整った設備や充実したサービスといった宿のポテンシャルにとらわれない、各々が「自分(達)の時間」を過ごすことを重要視した2種類のおこもりスタイルが見えてきました。

 

1. 若い世代に人気!自分で演出する自由度の高い非日常


過ごし方の自由度が高く、自分好みの滞在スタイルに演出して利用するおこもり

#サプライズ #卒業パーティ #クリスマス会 #推し活 #本人不在の誕生日会 #女子会 #持ち込み #装飾 #SNS #渡韓ごっこ


若年層の女性ユーザーがメインターゲットとなりやすいこのおこもりは、ホテルのデザインや設備・サービスよりも、SNS用の写真や動画が撮れるようにいかに自分達らしく部屋をアレンジできるか、その過程を楽しめるかがポイントです。

分かりやすい例でいうと、「推し活」や「女子会」が挙げられます。
推しているキャラクターやアイドルの誕生日をホテルで祝うためのステイは、自分たちの推しのカラーやグッズを並べたり、持ち込みの装飾をしたりする方もいるので、壁やベッド、バスルーム等至る所に「余白」と「自由さ」が求められることも。

また、大画面のテレビやスクリーンがあったり、出来る限り余白があってシンプルな、コスパとタイパの両面を重視したホテルであればあるほど、選ばれやすい傾向があります。

 

2. 敢えてキラキラしない!オフな自分と向き合える脱日常


情報社会の日常から脱出して、「自分にとって贅沢な時間」を堪能する

#自然 #シェアスペース #自分と向き合える #デトックス #自分時間 #瞑想 #チルアウト #積読 #頑張らない #暮らすように過ごす #セルフ

SNSやWEB上のあふれかえる情報に追われ、タイムパフォーマンスが重要視されるこの時代。
「贅沢する」という概念が少し変化しつつあります。
ブランド物を買うといった一般的なモノ消費ではなく、「時間を贅沢に使う」といったコト消費が贅沢とされることも。

そんな人たちが選ぶ宿は「自然を感じられて、気取っていないけど上質な空間」「人が集ってくるような居心地のいいシェアスペースがある空間」が多いです。

都会の喧騒から遠ざかって、のんびりとしたスローな時間に浸り、気が向いたらシェアスペースに足を運べる等、ほどより距離感や過ごし方の選択肢がある宿を好みます。

場所は郊外の自然豊かな所やペンション、キャンプのような体験もできるログハウスなども選択されやすい傾向があります。

 

宿が出来るおこもりユーザーへの仕掛けとは

 

 

これからのおこもりスタイルを見ていると自分らしさを演出可能な多様性のあるホテルや、敢えて情報社会から距離を置ける脱日常の滞在環境も新しい需要として出てきました。

では、どんなものを用意して、どんな空間やサービスを提供したら喜んでいただけるのか?
おこもりユーザーに向けた具体的な「仕掛け」についてさらに考えてみましょう。

 

ⅰ)新しい出逢いを作る仕掛け

最近のおこもりトレンドとして「居心地のいいシェアスペース」の重要性を挙げましたが、おこもりステイでの出逢いの提案は「人」に限った話ではありません。
趣味の幅を広げる・新たな価値観に出逢う仕掛けを作ることも。ある宿では、ご主人の趣味で集めたボードゲームを無料貸出したら、想像以上にお客様に喜んでいただいたという、お話もありました。
 
 
アナログのボードゲーム等を無料貸出できるコーナーを作る
本や漫画の貸出
読書などが出来る談話室のようなシェアスペース
好きなレコードを楽しめる
自分で好きな豆を選んでこだわった珈琲を淹れることが出来る

 


ⅱ)「無」や「集中」を作る仕掛け

普段忙しくて見れていなかった気になる映画を一気に見る方や、積読している本を制覇する為におこもりする人、執筆活動や制作活動のインスピレーションを求めてこもる人、さらには時間を気にせずただただ、ぼーっと過ごすということを最高の贅沢としている人たちも一定数います。

そんな人たちに向けては、「程よい距離感」「自分で選択できる」この2つがポイントになってきます。


✔部屋にこたつを置く
映画・ドラマ等のサブスクチャネルを自分のアカウントで自由に使える
ヒーリングミュージック等が自由に聞けるオーディオがある
景色がいい方向に向かって座り心地の良い椅子を置く
夜食やおつまみがセルフサービスで楽しめる
コーヒーが無料で飲めるカフェスペースを作る
スタッフが干渉しすぎない

 

ⅲ)自由度を意識した仕掛け

上述したとおり、これからのおこもりには、「自由度」が重要になってきています。
通年では無理なことでも「閑散期」だけなど、期間限定であれば実現可能というものもあるかもしれません。
更に、積極的にご案内していない「持ち込み」についての表記を思い切って書いてしまうのも、自由度をアピールできる手段のひとつでしょう。

宿の滞在時間を長く設定する(アーリーチェックイン・レイトチェックアウト)
【お持ち込みOK】の基準を明確に表示してみる
荷物預かりや配達サービスについてのご案内を提示する
館内シェアスペースの24時間解放
ナッツやチョコレート等のおつまみバー
ルームキーを返すだけでチェックアウトできる

 

ⅳ)SNSを意識した仕掛け

若い世代の「おこもりステイ」情報源は主にSNSであるということを忘れてはいけません。
どんなホテルでどんな非日常を味わえてどんな演出で写真が撮れるのかをある程度リサーチしてから動き出します。そして経験したことをほとんどの人がシェアします。
特に、誕生日や卒業パーティ等のイベントごとのおこもりステイは、SNSでのシェア率は圧倒的に多いでしょう。
そのことを見込んで、お部屋を演出しやすいアイテムとして何を用意しておくことが良いのか調査してみてください。

あくまでも彼女たちは、「自分達らしくカスタムして、演出する段階から楽しむことを求めている」ということを忘れずに・・・・!

 

 

Tik tokなどのショート動画を撮ることが当たり前になっているZ世代たちにむけては、ライト付きのスマホスタンドや、スマホ用スタビライザーなどの撮影アイテムの貸出があれば更に喜ばれるでしょう。



敢えて壁やベッドリネン等を白やグレー基調のシンプルなものにしておく

装飾時の注意事項を記載しておく
撮影アイテムの貸出を提案する
 (例)スマホの写真を印刷出来るチェキ・スタビライザー・照明スタンド・インスタントカメラetc….
自分では用意できないような装飾アイテムを貸出OKにする
 (例)BIRTHDAYと書かれたネオンライト 装飾用のストリングライト 造花の花びらetc….
おしゃれなカトラリーやグラス・ラグ等を選べるようにする
部屋の中での可愛い写真の撮り方などを提案した「HOW TO冊子」を用意する

 

さいごに


新型コロナの影響がひと段落した今、行動に制限がある中で喚起された代替手段としてのおこもり需要はピークアウトしても、おこもりステイそのものは旅行の一つの在り方として、これまでと変わらず一定の需要を保っていくと考えられます。

また、若年層女性にとってはちょっと良いレストランに行くのと同等の「ご褒美カテゴリー」として定番化したとも言えます。特に冬は暖かな室内で過ごす方の割合も増えるので、「自由度」や「脱日常」に関連付けながら館内、部屋での過ごし方を新たに提案してみてはいかがでしょうか。

 

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この記事を書いた人

はしもとかな

2015年入社後、コンサルティング営業室のコンサルタントとして全国のホテル・旅館のWEB集客支援を行う。現在は、宿泊業界のWEBマーケティングを支援するため、宿研通信の運営を担う。施設様のお悩みに寄り添った有益な情報発信を行うべく、日々業界のトレンドや情報の収集・分析を行っている。

 

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