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【2023年度】宿泊業で活用できる補助金は?ホテル・旅館経営におすすめの補助金をご紹介(2023年10月更新) 

宿泊業で活用できる補助金は?

 

Withコロナが定着し、国内外の観光需要が戻ってきました。そんな中、観光庁の令和5年度予算が決定し、観光立国復活に向けた来年度の事業計画の概要が発表されました。社会の新たな価値観や消費行動に対応するために、新しい取り組みを計画されている施設様もいらっしゃると思います。

そこで今回は、2023年度実施予定の宿泊事業で活用できる国の補助金、助成金事業をいくつかピックアップ。それぞれの概要を簡単にご紹介したいと思います。尚、本記事で取り上げる事業の公募内容、支給内容は今後変更になる場合がありますので、申請時には再度ご確認ください。

※弊社での補助金申請の代行サービス等は行っておりませんので、予めご了承ください。

1.事業再構築補助金(2023年10月更新)

 


事業再構築補助金公式サイト:中小企業庁事業再構築補助金事業

公募要領2023年度版:第11回公募要領

 

 

事業再構築補助金とは、長引く新型コロナウイルス感染症の影響に加え、物価高騰等により事業環境が厳しさを増す中、中小企業等が行う「ポストコロナ」・「ウィズコロナ時代」の経済社会の変化に対応するために、強い事業への大胆な事業再構築の取り組みを支援する補助金です。


▼どんな経費が補助できる?

過去の採択内容のなかで参考になる事例を50事例抜粋し簡単な一覧にまとめました。
他の宿泊施設がどのような事業に新たに取り組んでいるのか。補助金の活用を考えていなくても、新規事業のアイディアとして参考になります。内容が気になる方は以下のダウンロードからご確認ください。

 

 

過去の採択事例一覧ダウンロードはこちら


※事業再構築補助金採択結果「事業計画の概要」宿泊業、飲食サービス業から抜粋

 

 

 

 

2.ものづくり補助金(2023年10月更新)

 

ものづくり補助事業公式サイト:ものづくり補助金総合サイト
ものづくり補助事業公募要領 : 公募要領概要版16次〆切分

 

 

 

ものづくり補助金とは、中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するために、革新的サービスの開発や試作品開発・生産プロセスの改善を行い、生産性を向上させるための設備投資等に取り組めるよう支援する制度です。
この補助金の特徴は補助金対象範囲が多岐にわたっているため、さまざまな業種にとって活用しやすい補助金です。

ただし、採択には少々ハードルが高く、補助金事業専門のコンサルティング会社からサポートを受ける事業者が多いようです。直近(2023年9月発表)の15次公募では、全国5,694事業者の申請で、採択されたのは2,861事業者で、採択率は50.2%でした。

 


どんな経費が補助できる?

 

機械装置・システム構築費
①機械・装置、工具・器具の購入、製作、借用に要する経費
②専用ソフトウェア・情報システムの購入・構築、借用に要する経費
③改良・修繕又は据付けに要する経費

専門家経費
事業遂行のために依頼した専門家に支払われる経費
①クラウドサービス利用費
②クラウドサービスの利用に関する経費

通訳・翻訳費
通訳及び翻訳を依頼する場合に支払われる経費

外注費
新製品・サービスの開発に必要な加工や設計(デザイン)・検査等の一部を外注(請負、委託等)する場合の経費など

 

 

3IT導入補助金2023(2023年10月更新)

 


IT導入補助金2023公式サイト: IT導入補助金2023(後期事務局)
IT導入補助金2023公募要領

 

IT導入補助金とは、中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革、被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイスの導入)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が生産性の向上に資するITツール(ソフトウェア、サービス等)を導入するための事業費等の一部経費を補助することにより、中小企業・小規模事業者の生産性向上を図ることを目的としています。
多くの事業者が利用する会計ソフトや決算ソフトの導入費用も補助対象となっています。
IT導入補助金2023では、2022年度の内容から補助下限額が引き下げられています。


どんな経費が補助できる?

ITツール、ソフトウェア費など

ITツール、ソフトウェア費などの導入関連費、会計システムと給与計算システムの導入、連携費。勤務管理と請求業務効率化のためツール導入費など。

 

実際の宿泊施設の活用例はこちら:IT導入補助金2022「ITツール活用事例」【宿泊業】アースルーフ

 

 

4.人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)2023年10月更新

 

事業概要:厚生労働省政策ページ 
公募要領:ガイドブック

 

 

 

人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)とは、外国人労働者の職場定着に取り組む事業者に対し、必要となった経費の一部を助成するものです。
外国人労働者は、日本の労働法制や雇用慣行などに関する知識不足や言語の違いなどから、労働条件・解雇などに関するトラブルが生じやすい傾向があります。この助成金で外国人特有の事情に配慮した就労環境の整備を事業者に行ってもらい、外国人労働者の職場定着化を推進する目的があります。


どんな経費が補助できる?


通訳費、翻訳機器導入費など
 

通訳費、翻訳機器導入費(上限10万円)、翻訳料、弁護士・社会保険労務士等への委託料(外国人労働者の就労環境整備措置に要する委託料に限る)、社内標識類の設置・改修費(多言語の標識類に限る)など

 

 

 

5.その他の補助金


キャリアアップ助成金

 

問合せ先:所轄の労働局またはハローワーク
事業概要:厚生労働省政策ページ
厚生労働省作成パンフレット:令和5年度キャリアアップ助成金制度概要

キャリアアップ助成金とは、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といった非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化、処遇改善の取り組みを実施した事業主に対して助成金を支給する制度です。

支給額はコースにより異なりますが、もっとも一般的な「正社員化コース(中小企業)」では以下の通りです。

支給額
有期雇用労働者 ⇒ 正規雇用 1人あたり57万円
無期雇用労働者 ⇒ 正規雇用 1人あたり28万5千円

 

そのほか待遇改善支援についてもあります。

 

厚生労働省作成パンフレット:「キャリアアップ助成金のご案内(概要)」

 

 

6.最後に


今回ご紹介しました内容以外にも現在、宿泊事業に関わる国の補助金、助成金はたくさんあります。
補助金・資金調達ガイド

補助金を利用するメリットは費用の補填だけではなく、新たな取り組みにチャレンジする機会を得られること。そして、自社のビジョンや事業計画を明確にできることにもあります。公募内容・公募期間のタイミングと事業計画実施のタイミングが合う場合は活用を考えてみてはいかがでしょうか。

 

最後に補助金、助成金での注意事項を2点。

補助金をもらうことが目的とならないようにすること。

 

目先の売り上げや一時的なブームに便乗するのではなく、
将来のビジョンを見据えた計画のなかで活用することが大切です。

 

補助金や助成金を利用しても投資額の約半分は自弁であること。

 

申請時やその後の報告作業に手間がかかること。
これらが将来の足かせになる場合があることを忘れてはいけません。

 

筆者としては、働く人にとって宿泊業がもっと魅力的な産業となるように、労働環境の改善やキャリアアップ計画に取り組み、その中で補助金、助成金を活用してもらいたいと切に願います。

 

 


 

 

 

 

この記事を書いた人

はまだ しゅうさく

入社後、コンサルティング営業室のコンサルタントとして全国のホテル・旅館の集客支援を行う。現在はマーケティング部署でマーケティング戦略を担当。豊富な実務経験と、データを活用したロジカルな思考で課題発見と解決を得意とする。宿泊業以外の他ビジネスからのヒントを紹介するビジネスコラムを担当することが多い。

 

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