- ビジネスコラム
ビジネスコラム:六花亭の喜びの文化に学ぶ
コンサルタント中島セイジの、これからが見えるビジネスコラム。
今回は、北海道の「六花亭」をご紹介します。
利益よりも大切な
お客さまの“喜び”
私事ですが、先日北海道に住む、私の母が86歳の誕生日を迎えました。
そこで兄嫁から「帯広の六花亭で、誕生日の日にサービスがあるらしい」と聞いた私は、
買い物がてら母を連れて帯広の市街へいくことに。
そして、帯広の六花亭本店のカフェで母の誕生日を伝えると、
その後店内が少し薄暗くなり、3名ほどのスタッフが私の母の横に…。
いったい何が始まるのかと思っていると、
そのスタッフたちは声を揃えて「♪Happy Birthday~to~you~」と歌い出したのです!
きちんとパートを分け、美しいハーモニーを聞かせてくれる六花亭のスタッフたち。
すると、店内にいた他のお客さまも一緒に大喝采。母の誕生日を祝ってくれました。
最近は記憶があいまいになってしまった母ですが、このもてなしにはおもわず笑顔に。
母の笑顔、そしてスタッフとお客さまの笑顔を見ていると、
六花亭には、“喜びの文化”があると感じました。
実は、六花亭は拙書『非効率な会社がうまくいく理由』にも登場しており、
日刊で発行されている社内報について紹介させていただきました。
毎日、北海道のあちこちにいる、1000人以上の従業員に届けるのですから、
その作業は相当手間のかかるものでしょう。
私の記憶ではかれこれ25年以上は続いている気がしますが、
なぜそこまでして日刊にこだわるのでしょうか…?
その社内報の内容は、1000人を超す従業員一人ひとりにスポットを当てたもの。
だから従業員の誰もが「自分が載るかもしれない」と気になる存在であり、
身近な内容だからこそ楽しく読まれているとのこと。
社内報が社員のコミュニケーションとなり、結果的に社員同士の絆を強くしているのです。
バースデーサービスや、日刊社内報の取り組みなどを見ていると、
マーケティングや戦術という発想ではなく、
「人の嬉しい顔がみたい」という意識が先行していると思えました。
そのためには非常に手間がかかろうとも…いや、そもそも六花亭には
“無駄”という発想がないのかもしれません。
目の前のお客さまが本当に喜び、感動してくれるために仕事に取り組む。
利益に繋がるかではなく、まずは“喜び”が先にくる。
つまり先義後利ならぬ、“先喜後利”の精神が六花亭にはあるのです。
今や当たり前になった、購入したケーキをサイドのカフェで
無料のコーヒーと共に食べられるというサービスも、六花亭が早くに始めていたような…。
このようにお客さまの喜びをなによりも大切にしている六花亭。
六花亭を訪れた人は商品、サービスなど、様々な角度から喜びを味わうことができ、
その喜びは結果として良いブランディングへとつながります。
コンサルタント プロフィール
中島 セイジ なかじま せいじ
株式会社クオーターバック代表取締役社長。見・投資(みとうし)コンサルタント。マーケティング及び広告 戦略を中心にプランニング活動を行い、コンサルタントとして数多くの企業を支援している。『非効率な会 社がうまくいく理由』(フォレスト出版)、『儲けないがいい』(アチーブメント出版)が好評発売中。