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【2023年最新!】人気のホテルが導入しているVODとは?サブスク型VOD、導入の事例をご紹介

最新!人気のホテルが導入しているサブスク型のVODサービスとは?

 

快適な宿泊体験を提供する目的として、注目を集めているのが客室のTVで様々な映像コンテンツが楽しめるVOD(ビデオオンデマンド)サービスです。

ここ数年、宿泊先での「滞在」が目的として増加した旅行傾向と、VODサービスは非常に相性が良いものでした。特に客室のTVを、お茶の間で人気の「有料動画配信サービス(NetflixやHuluなど)」が楽しめるネット対応の新しいVOD環境にすることは、顧客獲得に繋がる注目のサービスと言えました。

そしてこれからは、「客室で新しいVODサービスが使えるから選ばれる」ではなく、「客室で新しいVODサービスが使えて当たり前」という流れになっていくことが予測できます。

そこで今回は、この新しい客室TV環境(新しいVODサービス導入法)にする為の方法をピックアップ。導入にはTVを買い替えないといけないのか。導入のメリットはなにか。自施設にとって適切なTV環境とはいったい何なのか。など、客室に新しいVODサービスを導入するにあたってのメリットや注意点、代表的な導入の方法をご紹介していきたいと思います。

 

——–もくじ————

1.VODとは 
2.サブスク型VODサービスを導入するメリット
3.サブスク型VODサービスを導入する際の注意点 
4.サブスク型のVODに対応した客室TVの導入方法
5.さいごに

 

VODとは 


VODとは、「Video On Demand」の略称で、ビデオオンデマンドと訳されます。
これは、インターネットやケーブルテレビ、衛星放送などのネットワークを通じて、視聴者が自分自身で映画やテレビ番組、動画コンテンツなどを選んで視聴するサービスのことを指します。

VODは、映画やドラマなどの最新コンテンツから、アニメやバラエティ番組、教育番組まで、幅広いジャンルのコンテンツが提供されており、視聴者の嗜好に合わせた自由な視聴が可能です。

また、利用者が好きな時間に視聴することができるため、テレビ番組や映画の放送時間を気にする必要がありません。中でもここ数年、各家庭で定番化しているのはAmazon primeやNetflix、Huluといったサブスクリプション型*(以下サブスク型)のビデオオンデマンドサービスです。
*サブスクリプション:定期購読、継続購入

では、ホテル業界でいうところの「VODサービス」とはいったいどういったものがあるのでしょうか。 今主流となっているのは大きく分けて以下の2種類です。 

 

1.従来のホテルVODサービス

そもそもホテル業界ではVODサービスの原型となるサービスがありました。それは、テレビカードを発券して客室のテレビで番組を見ることができるサービスです。最近の駅近のホテルでよく見るVODサービスは、それの進化系とも言え、利用方法も定額制だったり、課金制だったりと様々です。
テレビをつけると、施設の情報や周辺情報などのインフォメーション画面が表示され、その中のメニューのひとつに映画や動画の配信用ボタンがあります。 


定額制のところであれば、各フロアに券売機が設置されており、購入することでパスワードが発行されリモコンの数字を押して入力すると視聴が可能になります。

大手チェーンホテルではテレビの横にキャッシュレス決済機がついていたり、ホテルシステムと連動していて、有料作品を見ると会計時に加算されるシステムもあったりと、支払方法や使い方はどんどん進化しています。

一般的に視聴できる作品数は100〜1000本作品程度で、平均相場は1日500〜1000円で見放題。 
アパホテル等の大手企業ではコンテンツも充実しており、全部無料見放題のキャンペーンを打ち出すなど、宿泊者に人気のサービスになっています。 

この従来のVODサービスのメリットは、普段からサブスク型のVODサービスを利用していない人たちでもお金を払ったら映画を楽しむことができるところにあります。 更に、本来は課金制ということを逆手にとって「無料で見放題」というプラン特典としても使えます。

 

2.新しく注目されているホテルVODサービス

一方、ここ数年で「サブスク型」のVODに対応した新しいTV環境にするホテルも増えてきました。 
いわゆる、インターネット回線がつながる「Android型のスマートテレビ」を使って、一般家庭で人気のAmazon primeやNetflixといった動画配信サービスを見ることができる仕様のものです。 

従来のVODサービスとの圧倒的違いは「動画配信サービスとサブスク契約をしてアカウントを持っている人が、ホテルのTVを使って自宅と同様に動画配信サービスを視聴できる」という点です。つまり、最初から決められた内容の中から選ぶのではなく、ネット上の動画配信サービスを自由に視聴できることです。
※YouTube等アカウントがなくても見ることができるコンテンツもあります。 

客室のテレビでしか楽しめない従来のVODサービスと違い、ネット環境があればあらゆる動画配信サービスを楽しめるので、昨日まで家で見ていた映画・ドラマの続きを客室で見ることが可能です。施設側としては、
動画配信サービス以外にも施設情報などのインフォメーション画面も表示され、お知らせや新サービスの情報を開示できます。
最近では、コテージやグランピング施設でもVODサービスの導入が進んでおり、大人数で楽しめるアイテムとして需要があります。

 

サブスク型VODサービスを導入するメリット


今人気の「サブスクリプション型VODサービス」を提供することは顧客満足度を上げると、よく言われていますが、具体的にはどんなメリットがあるのでしょうか。簡単にご紹介します。

 

圧倒的数の最新コンテンツを楽しんでもらえる


サブスクリプション型のVODは、従来のホテルが提供する独自のVODサービスと比べて、宿泊客が選べる作品数とコストパフォーマンスが圧倒的に違います。


普段から月額1000円契約して何万種類もの動画コンテンツに慣れ親しんだ宿泊客からすると、1日1000円を払うことに抵抗が出てしまうのも納得がいきます。

また、作品のフレッシュさも違います。
映画を例に出すと、映画館で上映⇒サブスクリプション型のVODで有料公開⇒通常公開⇒ホテル独自のVODサービス会社で配信。といった順番で公開されることも多く、ホテル独自のVODに比べて新しい作品を楽しむことができます。 

 

宿泊者のアカウントでログインが出来る 


サブスクリプション型のVOD
をホテルの客室で利用する際は宿泊客のアカウントでログインをするので、今まで移動中にスマホで視聴していた映画の続きをみられたり、いつか見ようとお気に入り登録をしていた作品をすぐ探し出せたりと大変便利です 。

チェックインから食事までの時間や就寝までの時間、意外と持て余してしまう客室での過ごし方も改善され、「折角だから見たかった映画でも見よう」といった有意義な時間に代わります。

 

 

宿泊先を選ぶ条件になることもある 


ここ数年で人気が出ていたおこもりステイやワーケーション利用では、旅行持ち物の1つにAmazon firestickやPCのHDMIケーブルが入ることも多く、所有している「接続アイテム」を持ち込んでサブスク型のVODを楽しむ人も多くいました。それがわざわざ持ち運ばなくても良くなる環境に出来ることになります。 


中長期の出張やワーケーション、推し活等の利用を目的に滞在するユーザーにとっては客室でVODサービスを使えるのか、自分のスマホやタブレットと繋いだり、ミラーリングができたりするのかという点は、重要視されます。 


おこもりステイの人気が落ち着いたとはいえ、予約の転換を高めるという意味でも、一部のお客様にはまだまだ集客力のあるサービスともいえます。 

 

サブスク型VODサービスを導入する際の注意点  


では、サブスク型のVODを導入するにあたって、注意すべきこととは一体何でしょうか。


1:
個人アカウントの自動ログアウト機能


個人が契約している有料のアカウント情報を入力してもらうことになるので個人情報の取り扱いには注意しなければなりません。
最近一般家庭用に売られているTVのほとんどがAndroid対応型のテレビなので、TVを買い替えるだけでインターネットを接続すれば、直ぐにVODの視聴環境を作ることができます。安易に提供することはトラブルにつながることもあるので注意が必要です。
電源を切ると自動ログアウトが出来るようなホテル用システムの導入をお勧めします。

自動ログアウト機能がないもの
✔Amazon firestick TVやGoogle Chromecastt等の一般家庭用の外付けSTB機器
✔一般家庭用のAndroid対応型TV

 

2.全てのコンテンツが視聴できるわけではない


当たり前のことですが、有料アカウントの会員になっていない宿泊者は、見られないコンテンツも存在します。例えば、「HuluやNetflixが見放題」と書くと、アカウントを持っていない宿泊客には語弊を招くことがありますので注意が必要です。
HP等で、 お部屋のサービスでVODの紹介をされる際は、『客室TVで使える一部の動画配信サービスはお客様のアカウントが必要になります』ということを必ず記載する必要があります。

 

サブスク型のVODに対応した客室TVの導入方法


では、サブスク型VODを客室のテレビで視聴できる環境にする為には、どのような手段があるのでしょうか?代表的なものを3つご紹介します。


法人用
Android搭載型TV×TVシステムを導入する 


1番シンプルな方法としては、ハイセンスのREGZAやSONYのBRAVIAといった、法人用のAndroid搭載型TVを購入する方法があります。
必要最低限のTVシステムと連携しているものが殆どで、VODサービスだけでなく、客室インフォメーション等の情報やシステムとの連携等も可能になります。TVの購入や運用コストはかかりますが、客室にインターネット環境があれば、購入だけでサービス開始が可能なところも魅力的です。

SONY:法人向けBRAVIA

引用元:BRAVIA導入事例ページ(メズム東京)https://www.sony.jp/bravia-biz/jirei/mesm_tokyo/index.html

 

こんな施設におすすめ
TV自体を買い替えたい
インバウンド観光客のため多言語対応したい
導入と管理が出来るだけシンプルにしたい
少しずつデジタル化を進めたい(システム連携は最低限でいい)

 


更に、サービスの質やデザイン性の高さを求め、よりDX化を図りたいという場合はTVを買い替える前に
「TVシステム会社」から選ぶこともおすすめします。
例えば、「crottaTV(クロッタテレビ)」を提供している株式会社ルーツのTVシステムは、ルームサービスのオーダーや、付帯施設の予約もTVリモコン操作で簡単に操作が可能です。フロント等の遠隔地から部屋ごとのインフォメーション情報を一括で更新・追加できたり、デザイン性の高いメニュー画面も設定が可能だったりと、ホテルでのご利用に必要な機能を搭載されています。

株式会社ルーツ:crottaTV(クロッタテレビ)
 
 
 
こんな施設におすすめ
客室満足度を上げる高品質なサービス提供をしたいと思っている
設備投資でテレビの買い替えも考えている
自社のシステムと連携させて清掃管理やルームサービス等のDX化を図りたい
デザイン性の高い施設情報を提供したい
TV自体を買い替えたい
     
 

 

 

自動ログアウトが可能なSTB機器を導入する


新しいTVを買わずに、既存テレビでVODを視聴できる環境にする方法もあります。
TVのHDMIに接続して動画などのコンテンツを表示させることが出来る映像機器、セットトップボックス(STB機器)*を使う方法です。
*セットトップボックス(STB機器)・・・動画配信の事業者が発信する信号を、テレビで表示できる信号に変換する役割を担っています。

一般家庭に流通したSTB機器の代表格はGoogle Chromecast やFire TV Stick、Apple TV等がありますが、どれも個人用で、自動ログアウトが難しいので、宿泊施設にはあまりお勧めしません。

トータルサポート株式会社のApple TV for HOTELというサービスでは、Apple TVを法人用に使えるものになっています。
簡易的ではありますがインフォメーションなどのメニューも作成できて、チェックアウトの際には、自動的にログイン情報は消去されるため別の宿泊客によって利用されることもありません。レンタル契約もあるので、お試し導入もしやすいでしょう。

トータルサポート株式会社:Apple TV for HOTEL

 

画像引用元:(左)トータルサポート株式会社http://hotelapps.tv/ (右)AppleTV4K https://www.apple.com/jp/shop/buy-tv/apple-tv-4k

 

こんな施設におすすめ
新しくTVを買わずともVODサービスを提供したい。
低コストで試してみたい
施設情報は最低限提示できたらいい
ゲームを楽しんでもらいたい
全室導入の前に今のテレビでお客様の反応を見たい
ログハウス、コテージ、グランピング等のルームシアターやTV用のSTB機器を探している

 

 

さいごに

 

客室でなんとなく持て余す時間を有意義にしてくれたり、出張やワーケーション、推し活等のニーズに答えることができたりと、活躍の場が沢山あるVODサービス。
TVシステム会社と連動したAndroid対応型TVは、様々な業務効率化を助けてくれるツールにもなり得ます。 

今回ご紹介した導入方法はほんの一握りで、まだまだ様々な手段があります。
きっと施設様のお悩みや状況にぴったりのサービスがあるはずです。
新たな客室での提供サービスのひとつとして、皆様の参考になれば幸いです。

 

 

この記事を書いた人

はしもとかな

 

2015年入社後、コンサルティング営業室のコンサルタントとして全国のホテル・旅館のWEB集客支援を行う。現在は、宿泊業界のWEBマーケティングを支援するため、宿研通信の運営を担う。施設様のお悩みに寄り添った有益な情報発信を行うべく、日々業界のトレンドや情報の収集・分析を行っている。

 

 

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