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<2023年夏>国内旅行の予約動向見通し②!各エリア傾向とレベニューマネジメントのポイント

7月も後半に差し掛かり本格的に8月の集客にスパートをかける施設様も多いのではないでしょうか。前回、6月にお伝えした2023年の夏予約の動向からどのような変化が起きているのか。今回は2023年の夏の予約状況について、7月18日時点での弊社のデータから見る最新の予約動向と、今年の各エリアの傾向、集客のワンポイントアドバイスをお伝えしていきます。

 

2023年夏の予約傾向

 

2023年(令和5年)のお盆休みは?

 

2023年(令和5年)のお盆休みは、8月11日(金)から16日(水)が基本となります。
例年、お盆休みの終盤から休み明けは落ち着く傾向がありますが、今年は少し異なる動きがみられます。

7月以降のオンハンド昨年同日比較

 

まずは、7月以降の全体の予約の動きから確認していきましょう。

宿研契約施設のデータになりますが、7月18日時点でのオンハンド昨年同日比を見ると、7月は1.05倍、8月も1.08倍になっており、昨年の同日よりも若干早い動きになっています。7月後半は稼働重視、8月は昨年のリードタイムを参考にしながら、受け入れ人数・料金等の調整や緩和などの直前の追い込み対策を検討してみてください。

9月以降の動きは、2週間前のペースに比べるとやや落ち着いた傾向にありますが、昨年同日と比較すると動きは早く、予約数は伸びています。直近の夏予約も大事ですが、予約サイトの掲載順位に関わってくる先予約の積み上げも重要といえます。現在、秋・冬の季節プランや冬までのお部屋在庫が出ていない施設は早めに対応する必要があります。

 

 

2023年7月・8月の客室稼働率推移

 

続いて、7月・8月の客室稼働率*1をみながらさらに詳細の動きを見ていきましょう。
*1…弊社サイトコントローラーに割当られた在庫のうち、予約が入っている割合。

全国の予約動き(7/17時点)

全国平均でみると、7月の残りの休前日(7/22、7/29)は予約が頭打ち状態と見受けられます。この期間に価格を高値にしている施設は受け入れ条件の緩和を検討してもよいかもしれません。7/23〜7/27の平日のほうが稼働率は低いながらも動きはあります。

8月については例年と同じく、8/20以降が低調な動きとなっています。特に8月末は動きが悪いのでタイミングを見計らい休館を判断してもよいでしょう。ただ、例年と異なる動きとして、お盆明けの週も大きな落ち込みはなく、旅行日程の分散化が見受けられます。

今年も地域によっては台風や豪雨の影響により計画が大きく崩れる可能性がありますので、目の前の予約でいかに利益最大化を図るかレベニューマネジメントをしっかり計画しておく必要があります。


エリア別の直近3週間の稼働率推移が気になる方は以下の「エリア別稼働率」をご確認ください。直近
3週間で動きが少ない日程を確認していただき早めの対策を講じることをおすすめします。

エリア別在庫消化率(2023.07.17データ)

 

さらに、エリア別の動きを上記の弊社データと観光予報プラットフォームを基に簡単にまとめていますのでご覧ください。


   

 

┃北海道エリア
北海道
直近1週間で一番の動きがあったのは8/2。ただ、8/2の予約数UPは特定のエリア(釧路市阿寒湖や苫小牧市)での数字のようなので、その他のエリアでは該当しない動きです。昨年対比で最も好調なのは稚内市、釧路市(阿寒湖)、小樽市です。これらのエリアは利益最大化のチャンスがきています。

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┃東北エリア 
昨年8月上旬の台風による影響を加味すると8/26を除き、8月終盤は夏期間の底といえます。

青森県
十和田市(蔦温泉)が昨年と比べ非常に好調です。その他のエリアは昨年と同等程度となっています。

岩手県
8月のみ昨年を上回っています。盛岡市(つなぎ温泉)が牽引している様子。ただし、八幡平市(八幡平・安比高原)は昨年より弱いので早めの対策をおすすめします。

宮城県
昨年と同等程度の推移です。ただし、名取市は昨年が好調だった分、今年は少なく感じるかもしれません。

秋田県
どのエリアも昨年と同等か微増の安定傾向です。

山形県
昨年と同等程度ですが、山形市(蔵王温泉)が昨年と比べ低調です。山形市(蔵王温泉)の8月はファミリー層よりも夫婦やカップル、男女グループの割合が高いようです。この層の集客に注力が必要そうです。

福島県
全体的に5月頃から昨年よりも少ない傾向にあり、この傾向は8月も続きそうです。宿のPRだけでなく、福島県に来させるための情報発信も必要といえます。

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関東エリア 

茨城県・栃木県・神奈川県

全体的に昨年よりも若干動きが悪いです。特に神奈川県の秦野市(鶴巻温泉)と厚木市(飯山温泉)は低調です。集客には地域を巻き込んだ工夫が必要といえます。

群馬県・千葉県

ようやく動きがでてきました。昨年と同等程度は見込まれると思われます。

埼玉県・東京都

昨年と同等程度の予測です。

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┃甲信越エリア

新潟県
昨年と同等程度で推移しています。十日町市(松之山温泉)は7月末とお盆前半が非常に好調です。

長野県
松本市(白骨温泉・上高地)が昨年に比べ非常に好調です。その他は昨年と同程度ですが、8月末の低調が目立ちます。早めの対策が必須です。

山梨県
昨年と同等かエリアによっては低調な傾向にあります。

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┃北陸エリア

富山県
昨年と同じくらいの見込みです。南砺市(大牧温泉)はお盆が非常に好調です。利益最大化のチャンスです。

石川県
昨年よりも若干悪い動きです。ただし、輪島市や珠洲市は昨年と同等です。

福井県 
昨年と同等で動いています。福井市のお盆はこれから動くと思われます。

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┃東海エリア 

静岡県・愛知県・岐阜県・三重県

昨年より若干動きが悪いです。特に低調なのは以下のエリアです。該当する施設は地域の魅力発信にも力を入れる必要があります。特に低調なのは静岡市、豊橋市、鳥羽市、伊勢市二見浦です。

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┃近畿エリア 

滋賀県
現在お盆やそれ以降の予約数は昨年の5~6割程度なのでこれから動きが本格化するでしょう。

京都府
京都北部は昨年と同等か若干上回る見込みです。京都市だけでみると昨年と比べ低調に動いています。

奈良県
奈良市含めどのエリアも昨年と比べ低調に動いています。特に南部のほうは厳しい状況です。奈良県南部に来させる情報発信も必要となるでしょう。

大阪府
堺市、岸和田市の動きが低調です。その他のエリアは昨年と同等程度で動いています。

兵庫県
豊岡市(城崎温泉)は昨年と比べ若干動きが悪い傾向にあります。反対に淡路島は好調。利益最大化のチャンスです。

和歌山県
橋本市を除き昨年と同等で推移しています。加太や白浜エリアは昨年よりも上回る見込みです。

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┃中国エリア 

岡山県・広島県

昨年と同程度と見込まれますが、現在8月の動きが遅く、ようやく昨年の半分に到達した程度なのでこれから活発化してくるでしょう。特に8月の広島市の動きがいまひとつの状態です。岡山県真庭市は昨年を上回る見込みです。

鳥取県 
どのエリアも昨年と同程度と見込まれます。ただ、三朝温泉エリアの7月下旬から8月末までは昨年を下回るかもしれません。

島根県 
昨年と同程度と見込まれます。ただ、8月の出雲市の動きが低調で昨年の半分にも満たない状態です。出雲市の施設は今後の動きを小まめに見つつ、早い判断が必要と思われます。


山口県
お盆期間は昨年を上回る見込みです。ただ、それ以外の期間の動きが悪く、今年のGW明けと同じ昨対比で推移しそうです。

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┃四国エリア 

香川県・高知県

7月、8月共に既に昨年と同等の宿泊者数となっています。小まめなレベニューマネジメントが利益最大化のカギとなります。

徳島県
GW明けから昨対比をずっと上回って推移しており、この調子で7月、8月も乗り切りそうです。特にお盆は既に昨年を超えており、利益最大化のチャンスです。ただ、8月後半は動きが低調です。

愛媛県
今年の5月末から続く「昨対に届かない状態」が7月、8月も続きそうです。昨年ほどに集客は見込めない前提で判断をしたほうがよいと思われます。

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┃九州エリア  

福岡県
 
福岡市の8月の動きはまだ活発ではありません。特にお盆に至っては現在、昨年の4割程度です。柳川市もまだまだこれからの様子です。

佐賀県
佐賀市、唐津市は昨対を上回る見込みです。その他のエリアは昨年と同程度で推移しそうです。武雄市(武雄温泉)、嬉野市(嬉野温泉)ともに8月の予約はこれからの様子です。

長崎県
昨年と同等か上回る動きがあり順調と言えます。ただ、8月末の落ち込みは他の都道府県よりも急激なので8月末は対策が必要です。

熊本県
エリアによって良し悪しの格差が大きい特徴があります。温泉地は比較的良い状態ですが、熊本市内は昨年に比べ低調な動きとなっています。

大分県
各エリア、昨年を大きく上回ることは少なそうです。昨年と同等か若干悪い動きとなっています。対策が必須といえます。

宮崎県
今年の5月以降、昨年を下回る状態が続いていましたが、7月後半からお盆期間までは昨年を上回る動きがみられます。8月後半は低調なので早めの対策が必須です。

鹿児島県
鹿児島市以外は昨年と同等と見込まれます。鹿児島市、鹿屋市は8/20以降の動きが低調です。早めの対策が必須です。
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┃沖縄エリア 
沖縄県
どのエリアも既に昨年を上回る宿泊者数を記録しています。夏の期間は稼働率30%を切る日がなく、利益最大化のチャンスです。

 

 

夏のWEB集客ワンポイントアドバイス

 

7月・8月の価格は稼働率で決めてみる!

 

前回の夏の予約動向記事に続き、今回も集客ワンポイントアドバイスをひとつご紹介します。
今回は利益の最大化を目指すために必要なレベニューマネジメントについて簡単に触れてみたいと思います。

利益を最大化させるには、実際の利用状況「需要」と「供給側の事情(原材料費や人員、競合)」を鑑みて価格を変動させるダイナミックプライシングという方法があります。

宿泊業界で需要が一定期間見込まれる7月・8月においては「稼働率」を基準にした、ダイナミックプライシングの方法を考えてみてはいかがでしょうか。
この方法は受容価格帯※の範囲内で稼働率ごとにあらかじめ価格設定をしておき、稼働率が設定値を超えれば価格を上げ、反対に設定値を下回れば価格を落としていく方法です。

※受容価格帯とは消費者に受け入れられる価格帯のこと。この価格帯を調べる方法にはPSM分析が用いられます。

この方法を実施するメリットは、「残り〇部屋に到達でD設定価格にする」というように、機械的に判断できることで悩む時間がなく、また、誰でも対応できます。さらには、先に予約された方ほど安く宿泊できるという健全な供給環境が保たれます。
一方、デメリットは「競争環境」という視点が抜けていることです。この競争環境の視点は価格判断時に加味させ、ルールを明確化するとよいでしょう。
先述の予約傾向内で収益最大化のチャンスがきているエリアの施設様は是非この夏試してみてください。ご相談があればお気軽に弊社にご連絡ください。

 


 

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対策のポイントやプラン作成時のチェックリストもございますので是非ご活用ください。
 

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さいごに


夏の時期は新規顧客が多くなります。これはリピーター(ファン)獲得のチャンスの時期でもあります。新規顧客に
もう一回来てもらうためには、地域での過ごし方の提案として地域のお店やコミュニティ、夏のイベントを上手に絡めて地域に魅力を感じてもらう工夫が必要です。「良い体験ができた」「これをまた食べたい」「ここの人たちにまた会いにきたい」「この場所が好きだ」そう思ってもらえた先に『またここに来たい、この宿にもう一度泊まりたい』が待っているといえます。
宿泊予約サイトやHPの掲載情報の見直しや販売戦略に役立てて頂けると幸いです。

 

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