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ホテル経営者必見!IT化の第一歩、チャットボットの特徴や機能、失敗しない選び方を解説!

宿泊業界において、顧客との円滑なコミュニケーションを実現するための新たなITツールの代表格が「チャットボット」です。チャットボットを導入して、顧客とのリアルタイムな対話を可能にし、予約受付や問い合わせ対応を効率化する施設が多くなってきました。

しかし、数多くのチャットボットが市場に出回っている中で、どのような特徴や機能を考慮して、自社のホテルに最適なチャットボットを選ぶべきか頭を悩ませている経営者の方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、ホテル経営者向けにチャットボットの基本から自社に合ったサービスの選び方までを解説していきます。

 



もくじ

1.チャットボットとは
2.ホテル・旅館でチャットボットを導入するメリットとは
3.ホテル・旅館向けチャットボットの特徴
4.ホテル経営者がチャットボットを選ぶ際のポイント
5.さいごに

 


 

 

チャットボットとは


チャットボットとは、「チャット(会話)」と「ボット(ロボット)」を組み合わせた言葉で、ユーザーからの質問に自動で返答してくれる自動会話プログラムのことを指します。

主にホームページ上でチャットボットを設置することで、これまで人間が対応するしかなかったお問い合わせ対応やカスタマーサポートを自動で行ってくれます。

また、チャットボットの中でも「ホテル・旅館」に特化したチャットボットサービスがあります。宿泊施設に寄せられる問合せや、必要な機能を集中的に取り扱っているため、一般企業向けのチャットボットサービスよりも比較的安価で導入しやすいという特徴があります。

 

ホテル・旅館でチャットボットを導入するメリットとは?


宿泊業でチャットボットを導入するにあたってのメリットとは一体何でしょうか。

スタッフの業務効率化


宿泊業界では、予約の受付や一般的な問い合わせに多くの時間や労力を費やすことがあります。チャットボットの自動応答や自己学習機能を活用すれば、一般的なよくあるお問合せの単純な回答作業を自動化できます。これにより、スタッフの負担が軽減され、人的ミスのリスクも軽減でき、本来の業務に集中できるようになります。さらに、チャットボットは膨大な量のデータを高速で処理・更新するので、顧客の要望や傾向を把握することも可能です。チャットボットの収集データを基に、業務プロセス自体の改善を行っていくことも可能になります。

活用例
よくあるご質問(FAQ)の回答として活用

 

 

 顧客とのリアルタイムなコミュニケーション強化

 
チャットボットは24時間いつでも稼働し、自動的にリアルタイムなコミュニケーションを提供できます。これによって、スタッフだけでは対応が難しいことや、待ち時間が長くなってしまうような、人で対応しきれない部分を補えるようになります。例えば、予約前から滞在中のサポートまで、顧客の疑問や問題を迅速かつ効率的に解決できます。多言語に対応しているチャットボットであれば、英語が話せるスタッフが少なくても、インバウンドのお客様の情報収集に役立てることが可能になります。

活用例
✔インバウンド対応
✔ホームページ内でのコンシェルジュとしての活用

 

 

顧客満足度の向上

 
チャットボットによる顧客サポートの強化は、顧客満足度の向上にも繋がります。仮に迅速な自動応答で解決できない複雑な質問や問題については、適切なスタッフにリダイレクト(取次)することができます。

チャットボットが予約の段階でユーザーの疑問や問題を解決したり、滞在中の情報収集をよりしやすくすることで、宿泊客はよりスムーズな滞在を体験し、より良い印象を抱くことができます。

活用例
✔館内情報や周辺情報の紹介としての活用
✔おすすめの予約プランへの誘導
✔予約のキャンセルや変更処理ページへの誘導や、実際の処理

 

 

 
 

ホテル・旅館向けチャットボットの特徴

 

チャットボットの分類は、大きく2つに分けられます。AI型チャットボットとシナリオ型チャットボットです。それぞれの特徴をご紹介していきます。

 

AI搭載型チャットボットの特徴

機械学習型のAIを搭載しているチャットボットのことを指します。過去の会話経験で取得した大量のデータを蓄積させて、そのデータを元に自発的に学習し、人間のような人工知能で自ら成長します。AI搭載型は、ユーザーのフリー入力が可能になり、「コンシェルジュ」のような広範囲の問い合わせ対応に活用することができます。

 

学習と成長が出来るので自然な対話が可能

学習した分(経験を積んだ分)だけAIが賢くなるため、幅広いジャンルの質問に対応できるようになります。新しい現象が出てきても、過去のデータを元に正しい解答を導き出せる特徴があります。これを反復していき、会話の精度を高めていくことが可能になり、対応できる範囲が広くなります。自然な会話ができるので、人との会話に近いチャットが実現します。

 

多機能性やカスタマイズ性が高い

チャットボットのカスタマイズ性が高いため、施設の特定のニーズや要件に合わせてさまざまな機能を組み合わせることが可能です。
例えば、ユーザーが希望の日時や条件を選ぶと、AIが空き状況を確認して代わりにおすすめのプランを紹介してくれる機能等があります。予約のキャンセルや変更もチャット上でできるものもあり、ユーザーの手間を省ける点がメリットです。
また、チャットボットによっては、顧客の過去の滞在履歴や好みを把握し、パーソナライズされたサービスや特典を提供したり、自社の改善点や顧客の要望を把握するフィードバック機能として活用することも可能になります。

 

導入費と設定にかかる労力

AIチャットボットに任せられる仕事は幅広い反面、導入費は比較的高い傾向があります。導入後も稼働状況を分析しながら、精度を高めるための定期的な改善やアップデートといったメンテナンスも重要になります。

コストと労力は初期投資として考慮すべきですが、一度導入してしまえば、チャットボットは24時間稼働するので、カスタマーサポートやタスクの自動化など、長期的な視点で見ると効果や利益が期待できます。

 

 

 

シナリオ型チャットボットの特徴

シナリオ型チャットボットはAIを搭載しておらず、あらかじめ人間が設定しておいたルールに従ってユーザーとの会話を行います。WEBサイト上でのFAQ(よくある質問)のページへの案内や、回答に用いる方法が一般的です。チャットボットによる質問は、ユーザーにとって電話やメールよりもハードルが低いため、顧客が質問しやすく、接点も増えやすいと言えます。おすすめ商品などもルール化して、「このページを見た人には、この商品をおすすめする」「この選択をした場合、このプランもおすすめする」などをルールとして決めておくと、レコメンド機能としてチャットボットを使うこともできます。

 

AI型に比べてシンプル

シナリオ型チャットボットは、AIを活用するよりもシンプルな形で実装される場合が多く、設定作業自体はそこまで複雑ではありません。更に、利用の目的が特定されているため、トレーニングデータの収集や更新が比較的容易です。また、ユーザーは選択肢から選ぶだけなので入力の手間が省けるというメリットもあります。
一方で、ユーザーはフリーワード入力ができないので不便に感じることがあったり、提供側にとってフリーワードを拾えないため、ユーザーの真のニーズを把握しづらいという特徴もあります。

 

 

費用面で導入しやすい

初めの設定で、色々なケースを想定した大量のシナリオを用意する必要がありますが、AI型チャットボットよりも手頃な価格で導入できます。

 

 

特定の目的に特化している

 

例えば、「質問回数の多いものを自動化することを目的とする」等、利用目的が特定されているため、パターン化されている回答はチャットボットに任せて、複雑な質問は有人対応に変更するなどの使い分けができます。問い合わせ対応の担当者は、同じ質問に何度も回答する時間を削減し、効率的に業務を進められます。

 

 

 

ホテル経営者がチャットボットを選ぶ際のポイント

 
では、沢山あるチャットボットの中から自社に最適なサービスを選ぶためには、どのような選定ポイントがあるのでしょうか。失敗しない為の基準を3つのポイントに分けてお伝えしましょう。
 

<Point1> 導入の目的を叶える機能があるか

 
まず、何の為に導入するのかという目的を定め、それを叶える為に必要な機能を洗い出す必要があります。
チャットボットに搭載されている代表的な機能には、業務に関わってくる管理者向けのものとお客様の満足度を左右するユーザー向けの機能に分けることが出来ます。


 

管理者向け機能
✔Excel対応 ✔テンプレート機能 ✔ログ分析・レポート機能 ✔セキュリティ機能
✔シナリオ設定方法 ✔AI機能の学習方法 ✔ブッキングシステム連動


✔Excelのアップロード、ダウンロード対応
✔ログ分析・レポート機能
✔テンプレート機能



チャットのログデータをExcelのcsvデータとしてダウンロード出来る機能は、お客様のニーズを把握し、分析や改善を行う際にとても便利です。
さらに、これらのデータは、各種対応に関する統一した回答マニュアル としても活用ができます。
データのダウンロードだけでなく、Excelデータで作ったものをアップロードして一括で登録することが出来るか、そのサポートをして貰えるか、データ作成時のテンプレートはあるか、等もチェックポイントとしてあります。ちなみに、「宿泊施設専用のチャットボットサービス」であれば、これらの機能は殆ど揃っているといわれています。

 

✔AI機能の学習方法
AI搭載型の場合、AIに経験を踏ませて学習させていく必要があり、この学習方法にはいくつか種類があります。
宿泊施設専用のチャットボットの場合、代表的なものは「施設共同学習型」と「オリジナル学習型」の2種類です。共同学習型は、チャットボット会社が契約している宿泊施設の全てのデータをAIが学習していく仕組みで、宿泊業界の一般的な問合せケースを大量に学習していくことが出来るので、自施設の問い合わせ数(ケース)が少なくても、AIのアップデートが早い傾向があります。但し、宿独自のオリジナル情報等のメンテナンスはコツコツ学習させていく必要があります。
一方のオリジナル学習型は、完全に自社のみのデータで学習させるもので、問合せが2000件~3000件程集まるような大規模施設やチェーンホテル等に向いています。完全に独自の経験の中で学習していくので、よりオリジナリティの高い回答が出来るようになる特徴があります。

 

✔シナリオ設定の方法
シナリオ型のチャットボットの場合は、質問や回答の全てを、シナリオ上で細かく設定する必要があります。そのため「1の質問が選択されたら2の答えを出す」「3の質問が選択されたら4の答えを出す」など、決められたルールに沿って答えが出てくるような形をコツコツ作成する必要があります。
このシナリオ設定も、「宿泊施設専用のチャットボットサービス」であれば、過去の実績データから代行で登録やテンプレート作成をしてくれる会社が多くあります。

 

 

ブッキングシステム連動
「宿泊施設専用のチャットボットサービス」の中には、ブッキングシステムと連動し、プラン予約まで可能なものもあります。予約対応の手間が省けるので、OTAや自社HPと同じような活用が出来るメリットもありますが、OTA同様に決済手数料もかかるので、チャットボットではおすすめプラン紹介までにとどめるのか、予約決済までできるようにするのか、の判断が必要です。

 


 

ユーザー向け機能
✔対応言語 ✔サジェスト機能(AI型) ✔有人チャット切り替え機能 ✔音声認識(AI型)✔カスタマイズ機能 ✔チャット内での決済機能(予約)

 

✔サジェスト機能
ユーザーが文字を入力した際に、関連するキーワードを予測表示する機能のことで、過去のログデータを基に、ユーザーの検索意図を掴み、それに近い回答や選択肢を用意するものです。

 

 

✔有人チャットボット切り替え機能
チャットボットで対応しきれない問合せや、定型文では返せないような複雑な質問であれば、有人の対応に切り替える機能のことです。
具体的には、「オペレーターが対応します」という表示をチャットボット上に出し、以降はオペレーターや担当者が問合せ対応を引き継げるようになります。

 

 

✔カスタマイズ機能
チャットボットのアイコンをオリジナルのものや、親しみやすいキャラクターにカスタマイズ出来たり、定型文の会話を独自のものに変更したりできる機能です。
他にも、おすすめのプランページや情報ページ(URL)を提示する際に、写真や動画を入れることが出来るものもあります。

 

チャット内での館内サービス決済機能(予約)
大型の旅館やホテルには、宿泊以外にもスパ・エステ・プール・レストラン・レンタカー等の施設サービスもあります。チャットボットによっては、これらの決済が出来る機能も備わっています。

 

このように、自社のスタッフにとって必要な機能と、ユーザーにとって必要な機能の両面を見ながら、取捨選択していきます。目的を達成するために必要な機能が見えてくると、AI型のチャットボットが適しているのか、シナリオ型チャットボットでも応用できるのかを判断する材料にもなり得ます。

 

 

<Point2> 初期設定・運用後のサポート体制はどうか

 

優秀な機能があっても使いきれていない、上手く活用できていないという宝の持ち腐れ状態を回避するためにも、自社で運用・管理できるかどうかを想定することは大切です。
例えば、AIチャットボットの場合は、設定時の「データ」によって、チャットボットの質そのものが左右されるため、初回の設定時にある程度の知識や技術が必要になってきます。また、シナリオ型チャットボットも、シンプルな設定ではあれど、大量のシナリオルールを用意する必要があります。その為、導入時の初期設定をチャットボットの会社でどこまでフォローして貰えるのか、運用中に必要な作業をどの程度サポートして貰えるのか等を自社のリソースに合わせて確認することも大切です。

 

 

<Point3> 予算に合った価格か


チャットボットの費用相場は、AI搭載の有無で大きく変わります。サービスによってサポート・コンサル費用が初期費用に含まれるものや、別途オプションでかかるケースもあるので、相場価格と運用コストを踏まえたうえでサービスを選定すると良いでしょう。また、冒頭でご説明した通り、宿泊施設に特化したチャットボットサービスは、比較的導入費や使用料も良心的で、予約関連のシステムと連携できるものもあります。検討される際は、まず「宿泊施設」で運用実績があるチャットボットの会社サービスかどうかを判断のひとつに加えてもいいかもしれません。

 

 

▼代表的な宿泊施設対応のチャットボット5社の比較表はこちら


※表をクリックすると別タブで表示されます。

 

 

 

 

さいごに


最近話題の「ChatGPT」がAPIをオープンソース化したのをきっかけに、世界中のさまざまな企業がChatGPT搭載型のAIチャットボットやアプリケーションを開発しています。ChatGPTとの連携によって、既存のチャットボットの精度を向上させるだけでなく、より柔軟な機能を持った新しいITツールが登場してくる日も近そうです。

非人間でも実現可能な「おもてなし」をITツールが担うことで、人にしか出来ない「おもてなし」にスタッフが時間を割き、専念することができます。
宿泊業界でチャットボットを活用していくことは、深刻な人手不足の対処法としても有効な第一歩であり、最も身近で取り組みやすい「IT化」と言えるでしょう。

 


 

宿研では、株式会社CAMELが提供している宿泊施設専用のチャットボットサービス「TripEdia(トリップエディア)」をご紹介可能です。チャットボットの導入に興味がある方は、お気軽に宿研までご相談くださいませ。質問等でも大丈夫です。

 

チャットボットに関するお問合せはこちらから

 

 

記事監修

はしもとかな

 

2015年入社後、コンサルティング営業室のコンサルタントとして全国のホテル・旅館のWEB集客支援を行う。現在は、宿泊業界のWEBマーケティングを支援するため、宿研通信の運営を担う。施設様のお悩みに寄り添った有益な情報発信を行うべく、日々業界のトレンドや情報の収集・分析を行っている。

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