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集客の匠に訊く:安らぎの光は禅の光

匠が、とっておきの集客術を教えます 集客の匠に訊く

集客の匠に、お客さまを呼ぶポイントを訊くこのコーナー。
4ヶ月連続して“光の匠”が宿屋の空間演出についてお話いたします。
今回のテーマは「光と日本文化の関係」についてです。

安らぎの光は 禅の光

皆さま、こんにちは。
“光の匠” 小西美輝です

前回は、お客さまに再びお越しいただくためには
光(照明)が大きな役割を果たしているということ。
そして、光によって作られる感動の空間についての
お話をさせていただきました。

今回は具体的にお客さまにが安らぐための光のしくみについてお話いたします。

集客を左右する
2つの光

さて、皆さまが普段使用している「光(照明)」。
実は2種類に分けることができるのをご存知でしょうか。

ひとつは、オフィスなどで使われることの多い“活動の光”。
そして、もうひとつは癒しを与える“安らぎの光”です。

活動の光とは文字通り、脳を活発にする光のことです。
一般的なオフィス、または住宅に使われる白い蛍光灯の光のことで、
日本には高度経済成長あたりに広く普及しました。

日本は勤勉でまじめな人が多い国なので、
当時からこの“活動の光”いわゆる“2次元の光”を好む人もいました。

しかし、今回是非宿屋の皆さまにご紹介したいのは、
もう一方の“安らぎの光”。

こちらは人に落ち着きを与え、心や体に
癒しを与える赤味をおびた光のことをいいます。
同時に人の顔を小顔に見せたり、物を美しく見せたりする光でもあり、
いわゆる“3次元の光”とも言われています。

お客さまに選ばれる宿屋になるためには
この“3次元の光”の演出が重要になってきます。

DNAに刻まれた
日本特有の光

日本の文化のひとつである
“障子”や“ふすま”には光を和らげる効果があります。
日本人は昔から何気なくこのような安らぎの光に触れる機会があり、
どこか懐かしさ、癒しを感じるのです。

また日本には“陰影”を尊ぶ文化が古くからあります。
照らしたいものを全て照らすのではなく、
しっかりとポイントを絞ることによって
宿屋の本当のウリが表現できます。
そして、お客さまの再来店に繋がるのです。

“安らぎの光”“3次元の光”。
その光は日本文化特有の『禅』の考え方から生まれたもの。

非日常の空間で疲れた体を癒し、自分の心と向き合う時間の演出。
今の宿屋にはこのような禅の心求められているのではないでしょうか。

照明と宿、そして日本文化。
一見繋がりが薄いように見えますが、
私たち日本人のDNAには自然と
優しく、温かみのある光を好む傾向にあります。

お客さまの笑顔は「ただ照らせばいい」、「明るければいい」という
おもてなしの心からは生まれません。

しっかりと目的に応じた光の差別化、そして文化に根差した光の空間演出が
これからの宿屋には求められているのではないでしょうか。


プロフィール

小西 美輝 こにし みき

株式会社EPK専務取締役。1976年生まれ。年少の頃から照明に携わり、その魅力に感銘を受ける。日本女子大学を卒業後、一般企業に勤め、主に海外でマーケティングを学び、帰国後、株式会社EPK専務取締役に就任。現在は、建築空間をより良くするために、最新の照明器具の特注などを中心に幅広く活動している。また、光を通して人に希望や感動を与えるという視点から、社会貢献活動にも積極的に参加している。

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