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集客の匠に訊く:お客さまに 再訪していただくために

匠が、とっておきの集客術を教えます 集客の匠に訊く

集客の匠に、お客さまを呼ぶポイントを訊くこのコーナー。
今回は価値創造の匠が、
お客さまリピートしていただくためにすべきことについてお教えします。

お客様に再訪していただくために

お見送りの瞬間から、リピートのための
マーケティングは始まっている

こんにちは、“価値創造の匠”小阪裕司です。
今回はお客さまにリピートしてもらうために必要なことをご紹介します。

まず初めに心構えとして持っていただきたいこと。
それは、お見送りした瞬間から、
次の宿泊へつなげるマーケティングは始まっているということです。

それは“アフターマーケティング”と呼ばれているもので、私はとても大事なことと考えています。

お客さまは、人間の性質上、相反したふたつの性質を持っていることをご存知でしょうか。
それは、常に新しいものを求める一方で、慣れ親しんだものから離れたくないという性質です。

ですので、1回宿泊してとても満足したとしても次第に感動は薄れ、
新規性を求める性質が勝ってしまうことになります。
3ヶ月も経てば、泊まったことをほとんど思い出さなくなることすらあるでしょう。

そんなお客さまにリピートしていただくためには忘れられないよう、
定期的にコンタクトをとらなければいけないのです。

(宿泊業界の性質として、お忍びでいらしている方に
うっかりサンキューレターを…なんてことは避けなければなりませんが)

また、せっかくコンタクトを取るならば思い出してもらうだけではもったいない。
次回宿泊の動機づけにつながるような情報を提示してあげるのが良いというのがセオリーです。

例えばこんな手紙を出すのはどうでしょう。

先日、ある旅館に行ったら当旅館に足りないものがまさにありました。
さっそく、当旅館のサービスにも取り入れてみましたので、ぜひお越しください。

ご主人の語り口調でこんな風に書かれていたら、
思わず行きたくなってしまうのではないでしょうか。
満足度の高かった施設が、さらにパワーアップしたと聞けば気にならないはずはありません。

こうやってお客さまに忘れられないようにする一方で動機づけし、
どんどんリピートしてもらうことで良い集客の環境が生まれます。

最初に夫婦でいらしたお客さまが、次は仲間たちと来る。今度はその仲間たちが夫婦で来て…。
こんな風に連鎖していくことで、新規客の獲得はぐっと楽になります。

顧客の母数がある程度大きくなれば、自然とクチコミの連鎖が起こるので
新規客の獲得に費やさなくてはいけないパワーは減っていきます。

アフターマーケティングは、即効性に乏しい反面手間もかかるため、
なかなかマンパワーをかけにくいかもしれません。
しかし、長く多くのお客さまに選ばれていく施設になるためには必須の取り組みです。

滞在中の満足度の高さは、残念ながらリピート率と比例しない傾向があります。
しっかりとアフターマーケティングを行い、顧客をどんどん増やしていきましょう。

さて、私の集客の匠は今回まで。
4回にわたり、価値創造の観点から集客の心得をお伝えいたしましたがいかがでしたでしょうか?

次回からは、“接遇の匠”山尾百合子さんにバトンを渡します。
大手モバイルメーカーの5年連続「お客様満足度NO.1」を実現させている
山尾さんの集客術をお楽しみに。

プロフィール

小阪 裕司 こさか ゆうじ

オラクルひと・しくみ研究所代表博士(情報学)
作家、コラムニスト、講演・セミナー講師、企業サポートの会主宰、行政とのジョイントプログラム、学術研究、ラジオ番組パーソナリティなどの活動を通じて、これからのビジネススタイルとその具体的実践法を語り続ける。山口大学(美学専攻)を卒業後、大手小売業にて実務を経験、広告代理店を経て、1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。また、人の「感性」と「行動」を軸にしたビジネスマネジメント理論と実践手法を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。「ビールが正価で売れる酒屋」「どこでも買える商品の売上が50倍に伸びたスーパー」など、数千件の感性価値創造実例を生み出している。日本感性工学会理事、九州大学客員教授・静岡大学客員教授・中部大学客員教授。近年、飛び級で工学院大学大学院工学研究科情報学専攻博士後期課程を修了。著書は、最新刊『お客さまの「特別」になる方法』(角川書店)はじめ、新書・文庫化・海外出版含め計30冊。実践会・事例公開等の詳細 / 講演・各種プログラム等の詳細 / 小阪裕司ツイッター @kosakayuji2010

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