【第2回】ホテル・旅館のブランド設計方法(前編)|「ブランドの核」の作り方を4つの手順と具体例で解説
2025. 11. 06
最終更新 2025. 11. 06
前回の記事「ブランディングの基本(基礎知識編)」では、ブランドとは何か、ブランディングとマーケティングの違いを解説しました。本稿はその続編となる「ブランド設計(前編)」です。まだ基礎編を読まれていない方は、先にそちらをお読みいただくと理解がより深まります。
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「皆さんの施設を一言で言うと?」
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この問いに、端的なひと言がすぐに返ってくるケースは多くありません。
ただ、強いブランドほど“核になるひと言”を持っています。
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TOYOTAなら「信頼」、メルセデス・ベンツなら「格式」、レクサスなら「高品質」、SUZUKIなら「軽快」。この「名前を聞いた時に自然に浮かぶ、ひと言イメージ」が、ブランド連想です。
そして、このブランド連想は、競合と異なる固有のひと言が消費者の頭の中に存在することが望まれ、同じ連想を持てば“同質化と価格競争”を生みます。
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本稿「設計(前編)」は、この「ブランド連想」を決めるまでのコア設計の手順を解説します。少々難しい内容も含みますので、日を分けじっくりと理解を深めていただければと思います。
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目次
ブランディング・シリーズ記事
過去記事 【第1回:基礎知識編】ブランディングとは何か。マーケティングとの違いを解説
本記事▶【第2回:設計方法(前編)】ブランディングを始めるステップ①~④
公開待ち 【第3回:設計方法(後編)】ブランディングを始めるステップ⑤~⑧
公開待ち 【第4回:管理方法】ブランディングでやってはいけないことほか
はじめに:ブランド設計はどのような手順で考えるのか
ブランド設計の手順に決まった型はありません。本稿では「分かりやすさ」を優先し、一般的な流れをシンプルに整理しました。本稿はそのうち、下記の①〜④の「コア設計」までを解説します。
では、ブランド設計の第一歩である「現状理解」から解説します。
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第1章:現状を理解する
ブランド設計の第一歩は、いまの自分たちを知ることから始まります。
もしも、現状を見ずに進めてしまうと、重要ではない印象を強めたり、すでにある強みを手放してしまうかもしれません。本来、事業戦略やマーケティング戦略といった大きな枠から整理すべきですが、ここでは実務の現場で今日から取り組める4つの視点に絞って解説します。
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①お客様の認識を理解する
前回の記事で触れたように、ブランド像は企業が決めるものではなく、日々の体験からお客様の頭の中に生まれる連想の束です。まずはお客様がどんな言葉で自分たちを語っているかを確認します。
OTAやGoogle、SNSのレビューから「〇〇な宿でした」「〇〇に感じました」といった形容詞や印象語を抜き出し、「親切:23回」「静か:18回」「初めて:10回」と数えるだけで傾向が見えます。これらの言葉は「今どう記憶されているか」を示し、ブランドの方向性を考える出発点になります。
②自分たちの認識を理解する
次は、自分たち「内側」の認識です。
スタッフに「うちの施設を一言で伝えるなら?」「日頃意識していることは?」と聞いてみましょう。多くが「料理にこだわる宿」と答えても、レビューに“こだわり”が出てこない場合、印象として残っていないサインです。そして、このギャップがブランド設計で解決すべき課題を示します。反対に、スタッフとお客様の認識が一致していれば、意図した活動が届いている証拠です。次は、それが競合にない独自性かを確かめます。
③競合の認識のされ方を理解する
さらに次は、競合の認識を確認します。競合施設のレビューも同じように分析し、どんな言葉が多いかを比較します。自施設だけに多い言葉があれば、それは「独自性の種」です。一方で、似た言葉が並ぶ場合、「良いが、違いはない」同質化の状態かもしれません。近隣に明確な競合がいない施設様は、他エリアで価格帯や利用目的が同じ施設を比較対象にします。
日本人は他人に強く推奨する文化が薄く、レビューでは清潔さ・料理・接客など標準的な評価が多くなる傾向があります。そのため、競合と似た言葉が並んだ場合、使われる頻度や少数意見から「個性」を見極める視点も必要です。
④ブランドの階層を理解する
ブランド設計の前に、必ず確認すべきことが「ブランドの体系」です。
ブランドには、「グループ → 企業 → 事業…」といった階層構造があり、業界によってその形は異なります。宿泊業では、一般的に本部企業(親)と宿泊施設(子)の二階層が多いと思います。そして、この関係性(ブランド体系)には、大きく3つのパターンが存在します。
特にグループ企業に属する施設では、まず親会社を含めたブランド体系を確認する必要があります。
(A)統一型、(B)サブブランド型をとっている場合は、親ブランドのルールや範囲に沿って考える必要があり、(C)個別型として展開している場合は、他施設との役割分担や距離感を考慮しながらも、比較的自由度の高いブランド設計が可能です。
個人事業主や「企業=施設名」のような場合は、屋号や地名ブランドが上位階層として機能し自由度は高いものの、屋号の語感・地名の印象、サービス水準の一貫性といった見えない制約は残ります。
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第2章:ブランド構築の目的を考える
自社の環境を整理したうえで、最初に決めることは「何のためにブランドを構築するのか」の目的設定です。ブランドは作ること自体が目的ではなく、事業をどんな未来へ導くための“手段”なのかを明確にする必要があります。
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①どこに向けた活動かを整理する
ブランドを構築する際はまず、「どこに向けて効かせる活動なのか」を明確にします。
ブランドは一つでも、効かせる領域が違うと考える範囲と活動も変わります。この活動の方向性は大きく「社内」と「社外」に分かれ、さらに3つの領域に整理して考えることができます。

(A) 組織の行動変容を前提としたブランド構築
いわゆる、「インナーブランディング」と呼ばれ、外への発信より先に、社内組織を整える活動です。目的として、企業文化を強化・変更する。仕事への意欲・求心力を高める。といったものがあります。
(B)市場環境を前提としたブランド構築
これはお客様(市場)に向けた活動です。競合との独自化・特異性をつくり、「〇〇な宿だった」と狙った印象の形成と、「〇〇ならこの宿」と真っ先に思い出してもらえる状態を目指します。
(C)地域・社会を前提としたブランド構築
地域社会や取引先、株主、メディアなど、消費者以外のステークホルダーに向けた活動です。宿泊業では、地域社会の発展や地域経済への貢献を視野に、「この地域にこの宿があってよかった」と地域の顔となることで、信頼と支持が得られます。結果として、地域連携の打診が増える/金融機関からの信用が高まる/メディアがよく取り上げてくれるといった波及効果が生まれます。
ブランド構築を計画する場合、目的は必ずこのいずれかに該当し、どこに効かせるかで設計時の視野が変わります。まずは、ブランドを効かせる「領域」をしっかり定めましょう。
尚、本稿では社外(B)と(C)を対象としたブランド設計をメインに解説します。ただ、社外への一貫性を支えるのは社内の理解と実践です。組織内のブランド浸透については次回の「ブランド設計(後編)」で解説します。
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②ブランド構築の目的を言語化する
これまでの「自社環境の理解」と「ブランディングの範囲」を念頭に、「ブランド構築の目的」を言語化します。宿泊施設における社外向けブランド構築の目的は以下のようなものが考えられます。
(B)市場環境を前提としたブランド構築の目的として、
✓ (グループ展開している場合)宿泊者のグループ施設利用率の向上
✓ ブランドに合った顧客の増加(顧客層のミスマッチの減少)
✓ リピート率、再訪意向の向上
✓ 客単価の向上、追加購入率の向上
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(C)地域社会を意識したブランド構築の目的としては、
✓ 地域からの信頼の獲得
✓ 採用力の向上
✓ 若年層の地元定着率の向上
以上のような目的が考えられますが、これらはあくまで参考です。自社の経営・集客課題を考慮し、目の前の「売上」ではなく、長期視点の収益性や信頼獲得に繋がる目的を設定することが肝心です。
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第3章:ブランドの構想を考える
目的を言語化できれば、次に考えるのはブランドの構想です。
自施設もしくは、企業が「こうなってほしい」と強く願うイメージをはっきりとした言葉にします。このブランド構想がなかったり、曖昧でぼんやりした状態では、ブランドが守る連想が雑多になってしまいます。現在考えているビジョンがある場合は、改めて書き出してみてください。
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①ブランドのビジョンを言語化する
自社ブランドがこうなってほしい姿を「ブランドビジョン」と呼びます。
この時点のビジョンは“思い”の段階で大丈夫です。ただ、このビジョンは「根拠のない思いつき」ではなく、何らかの構造をもっている必要があります。
「美味しい料理で全てのお客様を満足させたい」ではなく、
(例)旅館A:旬や見た目を超えた食感が楽しめる料理と、珍しさを軸にした小さくても新しい宿泊体験を提供し、旅慣れた人の好奇心を刺激し続ける旅館でありたい。
「ビジネス出張の人に快適な時間を届ける」ではなく、
✓ ビジネス出張の人にとって、出張経費内で最大限「地域食」を楽しめるホテルになる。
✓ (例)ホテルB:仕事の楽しみを一つ増やすために、世の中の出張をワクワクすることに変えるホテルになる。
「地域活性化に貢献する施設になる」ではなく、
✓ 宿泊施設のもつ〇〇の機能を活かし、地域の□□問題の解決と発展、維持に寄与する存在になる。
✓ 滞在を通じて地域生産者と旅行者をつなぎ、地域の一次産業に新たな販路を生み出す存在になる。
このような、ある要素と要素が組み合わされ、活動がお客様や地域社会に対して何らかの「意味」や「約束」を伴うことが望まれます。さらに、構想を考えるときは下記の要素が入っていると、構想段階として良い内容になります。
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②ブランドビジョンの構成要素を明らかにする
ブランドのビジョンが言語化できた後は、そのビジョンを構成する要素を考えます。
そもそも、「ブランド」は一つの概念や、一つの基準で説明することは困難です。事業や組織運営をする上で基盤となるいくつかの要素を明示していきます。
②―1 ブランドビジョン・エレメントをつくる
ブランドビジョンを構成する要素のことを、「ブランドビジョン・エレメント」と呼びます。細かな説明は割愛し、ブランドビジョン・エレメントがどのようなものか、ブランドビジョンの例にあげた旅館A、ホテルBの例をご覧ください。

ブランドビジョン・エレメントには、スローガンではなく、日々の行動指針となる“運用仕様”を書きます。活動内容や姿勢、振る舞い、価値観、さらには避けるべきことまでを10~15コ程度書き出すことで、組織が大切にすべき事柄が具体化されます。
ただし、すべてのエレメントを同じ重要度に並べると、焦点がぼやけてしまいます。次の作業では、「核となる要素(コア)」と「それを支える・補完する要素(拡張)」に分けて整理し、構成を立体的にすることで、連想に結びつく“個性”をより鮮明にしていきます。
②―2 ブランドビジョン・エレメントを仕分ける
先ほど書き出した各エレメントは、「コアエレメント」と「拡張エレメント」の2つに仕分けます。
◆ コアエレメント
最も訴求力があり、他社との違いを際立たせたり、価値提供の源泉になる2~5個の要素を選びます。指名買いや収益性に直結する要素が望まれます。
◇ 拡張エレメント
ブランドビジョンの達成において欠かせないけれど、他社との違い(独自性)にはなりにくい要素(例:高品質)を置きます。また、新たなビジョンエレメントを追加する際の居場所にもなります。
例に挙げた旅館A、ホテルBの仕分け例は下記のようになります。

このように、ブランドビジョンの構成要素「ビジョン・エレメント」を「コア」と「拡張(補完)」とに仕分けることでブランドの芯と輪郭、そして、方向性が見えてきます。
ブランドビジョン・エレメントを整理したら、再びビジョンを見直しましょう。エレメントを考える過程で新たな要素が見つかることもあります。理想だけが先行していないか、自社の強みで実現できる内容かも再確認し、作業を往復しながら現実性を高めます。
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第4章:ブランド化の対象と、ブランド連想を検討する
コア設計の中でも重要な工程が、何をブランド化するかを決め、どんな連想を生み出したいかを明確にする作業です。この段階での判断が、ブランドの方向性と個性を形づくる基盤となります。
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①何をブランド化するのか検討する
ブランドを設計する際、ブランド化させる対象を考える必要があります。
ブランド化の対象は多岐に渡り、どれが正解というものはありません。前章で考えたコアビジョン・エレメントの内容を鑑みて「自社らしさ(独自性・特異性)」があるもの。そして、お客様にとって「意味」がある、もしくは、「約束ごと」を対象とします。
ブランド化の対象例として下記のようなものがあります。※あくまで参考です。
ブランド化の対象例
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A)アイデンティティや姿勢、コンセプトをブランド化
企業の思想を連想の核とする方法です。抽象度が高いため事業拡張の自由度を保ちながら、すべての顧客接点で一貫した「らしさ」を積み上げれます。時代を超えて変わらない強固な連想になることも。
― 加賀屋 :笑顔で気働きという理念(おもてなし)
― 星野リゾート :地域の個性を磨く開発姿勢(上質な地域体験)
― ザ・リッツ・カールトン:ホスピタリティへの信条(格式・紳士淑女)
― ユニクロ :実用性主義(実用)
― 例にあげたホテルB :出張をおもしろくさせる活動(出張に一つの楽しみ)
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B)技術
機能的便益を直接的に連想させる方法です。特許や独自ノウハウなど模倣困難な要素は、競合との比較を排除し、「〇〇技術・技巧といえばこの施設」という強い第一想起を獲得できます。
― アパホテル :高密度客室設計(コンパクト・リーズナブル)
― 変なホテル :ロボット技術(恐竜ロボット)
― ウェスティンホテル :ヘブンリーベッド(寝心地)
― ネスプレッソ :カプセル抽出システム(手軽な本格)
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C)特長(立地/景観/体験等)
物理的・感覚的要素を連想の入口にする方法です。五感で実感できるため記憶に定着しやすく、「あの体験」として語られやすくなります。ただ、模倣されやすいため、独自の演出や意味づけが必須です。
― アマン :少数・排他性、隠れ家のようなリゾート空間(静けさと洗練)
― 里山十帖 :デザイナーズ古民家(おしゃれ古民家・里山体験)
― OMO by星野リゾート :ご近所ガイド(街遊び)
― ドン・キホーテ :圧縮した陳列(彷徨う楽しさ)
― 例にあげた旅館A :初見がもたらす小さな感動の連続(知性と感性が磨かれる所)
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D)人物
経営者や料理長、女将など「人」の個性や技能をブランド化することで、親近感と信頼を醸成できます。経営者の発信力、料理人の名声、有名女将の存在などが該当します。宿泊施設では、「あの人の宿」として、人物そのものが想起のきっかけや、連想の対象になる場合があります。
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E)地域/地名
地域名や産地名をブランド対象にすることで、土地が持つイメージや信頼を取り込めます。確立された地域ブランドの活用から、未知の魅力を先駆けて打ち出す方法まで様々あります。観光客は「その土地らしさ」を求めるため強力な選ばれる理由になりますが、他施設も同じ地域名を使えるため「地域名×自社ならではの要素」の組み合わせが必須です。
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F)自然/歴史文化
地域独自の自然環境(原生林、星空、エメラルドグリーンの海や湖)や歴史的背景(文豪の定宿、皇族ゆかりの地、文化財建築)をブランド化対象にできます。特に日本では、龍神伝説、神が宿る森・島など「神話性」という異界要素も活用可能です。これらは理屈を超えた感情的魅力を持ち、近年は「パワースポット」「聖地」として価値ある対象になっています。ブランドに神聖さが付与されます。
ブランド化の対象は、他社との差異要素に絞り言語化することで、独自性のあるブランド連想の着想が得られます。そして、対象が明確になれば、自ずと取るべき連想の方向性も見えてきます。
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②ブランドの連想を考える
ブランド化の対象が決まったら、「お客様の頭の中でどんな言葉と結びつけたいか」を具体化します。ここで言う“連想”とは、施設名やロゴを見た瞬間に浮かぶ1〜3語のイメージです。理想は高くて構いませんが、先に定めたブランド化対象から生まれる「意味」や「約束」として、現場で実証できる言葉を選びます。連想ワードの例は、上記の「ブランド化の対象」に( )で示したワードです。
ブランド連想の例
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■ TOYOTA :信頼・耐久
■ メルセデス・ベンツ :格式・威厳
■ レクサス :洗練・高品質
■ SUZUKI :軽・街乗り
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■ 加賀屋 :おもてなし
■ ザ・リッツ・カールトン:格式
■ 変なホテル :恐竜ロボット
■ 星野リゾート界 :上質な地域体験
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例にあげた旅館AとホテルBのブランド連想例
■ 旅館A)料理の技術と小さな驚きが詰まった旅館 :知性と感性が磨かれる所
■ ホテルB)「日本の出張をおもしろくする」ホテル:出張の一つの楽しみ
連想の形は自由です。「気軽」といった利用シーンでも、「静けさ」「手の届く贅沢」といった情景や価値観でもよく、機能・感情・姿勢・属性・形容詞など、お客様の感覚に残る表現を考えます。
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大事なのは、お客様にとって「大事な価値観」と関係性があるか
ただし、どんな連想でも良いわけではありません。ターゲットの旅行・宿泊目的にとって重要な要素である必要があります。例えば、ビジネス出張が多いエリアのホテルで「チャレンジ精神」を連想に据えても、出張者にとっては響きにくいかもしれません。むしろ、「充実した備品」や「便利」を連想させるホテルの方が想起されやすいでしょう。
一方で、旅館の場合は反対です。「利便性」よりも、「手の届く贅沢」「希少な食体験」「職人気質」といった連想の方が、旅館というカテゴリーを求めるお客様にとって必要性が高く、記憶にも残りやすくなります。つまり、ブランド連想はお客様や市場の価値観と深く関係しているかどうかが重要です。そして、その連想がただの言葉で終わらないよう、接客や体験で再現できているかも問われます。
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さいごに
ブランド連想は他社との違いを示す、言葉のシンボル
ブランド連想は、皆さんの施設がどんな印象で記憶されたいかを表す言葉です。
必ずしも1つだけに絞る必要はなく、5〜10語ほど挙げて構いませんが、その中でブランドの軸となる「コア連想」を1〜3語定める必要があります。このとき大切なのは、方向の違う言葉を混ぜないことです。例えばコア連想が「のどかな時間」なのに、「先進的」「テクノロジー」「活気」「お得感」など、別のセグメントの連想を取りに行くと、ブランド像は一気にぼやけてしまいます。これはブランド管理の観点でも重要になります。
さらに、連想を決める際に意識するのは、連想の抽象度です。
「風格」「可愛らしさ」「静けさ」など、抽象的な言葉のほうが、その連想をもったまま事業の幅を広げやすく、時代の変化にも耐えられます。(具体的過ぎると事業の幅に制約がつく)
そして最後にお伝えしたいことが、『ブランド力は、連想の広がりと反比例する』というブランド論の大原則です。先述の通り、コア連想以外の雑多な連想が多くなると、ブランド力は低下していきます。連想は焦点を絞り、コア+同じ世界観の数語に留めておくことが理想です。そしてもし、勇気をもって“取りに行く連想”を一つに絞り込めたとき、それは、強いブランドを築く第一歩です。
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