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【成功事例あり】ホテル・旅館におけるSNS マーケティングの方法や重要性について解説

近年、検索エンジンよりもSNSを利用して情報収集を行うWebユーザーが増加しており、SNSは顧客とのつながりを築くための強力なツールとなりました。様々な企業が、SNSマーケティングを実施している中、宿泊施設はSNSとどのように向き合うとよいのでしょうか。
今回は、ホテル・旅館がSNSマーケティングを活用する重要性と効果的な手法とはどのようなものなのか、実際の成功事例を交えながら探っていきます

―――――――――もくじ――――――――――――――

1.SNSマーケティングとは?簡単に解説
2.SNSマーケティングの5つの方法を解説
3.ホテル / SNSマーケティングの成功事例4選
4.旅館 / SNSマーケティングの成功事例4選
5.宿泊施設がSNSマーケティングを行う際のポイント
6.さいごに
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SNSマーケティングとは?簡単に解説

 

SNSマーケティングとは、SNSを通じて消費者とコミュニケーションを取りながらマーケティングを展開する手法です。

SNSマーケティングのメリットは、情報の伝播力の強さです。SNSのユーザーが有用と感じた投稿は”シェア”され、爆発的に情報が拡散されます。情報が拡散されると、マーケティングのターゲット層に情報が届き、購買行動に繋がります。
また、消費者とのコミュニケーションが気軽にとれる点もSNSマーケティングの特徴です。テレビCMのような一方通行のマーケティング手法ではなく、顧客のニーズをメッセージや投稿から汲み取り、リプライを利用すれば、ユーザーにマッチした情報の提供ができます。丁寧な顧客対応はSNS上で話題となる傾向にあるため、結果的に新規顧客の獲得に繋げられます。
 

 

マーケティング効果があるSNS

 

SNSマーケティングに用いられる主なSNSの基本データは以下の通りです。

SNSによって、ユーザー層や訴求方法が変わるため、どのSNSを活用すべきか考える必要があります。その為にも、まずはSNSごとのユーザー特徴を把握しておくことや、ターゲット層や自社のアピールポイントを整理し、「誰に向けての、何の為の施策か」運用の目的を明確にしておく必要があります。

SNSマーケティングの5つの方法を解説

 
宿泊施設における、SNSマーケティングの主な方法は以下の5つです。
・ソーシャルリスニング
・SNSアカウント運用
・SNS広告
・SNSキャンペーン
・インフルエンサーマーケティング

それぞれの具体的な手法を解説します。

 

 

ソーシャルリスニング

 

ソーシャルリスニングとは、自社商品のクチコミをInstagramやX(旧:Twitter)で検索し、ユーザーの意見を収集する方法です。ユーザーが自由に投稿できるSNSからは顧客のリアルな声を集められます。

また、自社に関連するハッシュタグがついた投稿や写真を客観的に分析すれば、自社のサービスに対して顧客が受けたイメージを確認できます。

ソーシャルリスニングで得た情報を基にすれば、自社ブランドやサービスの改善・消費者のニーズの把握が可能です。ソーシャルリスニングは、すべてのSNSマーケティングの基盤となります。
 
 

 

SNSアカウント運用

 
企業の公式SNSアカウントを作成・運用し、自社ブランドの情報発信を継続的に行う方法です。SNSアカウント運用の特徴は、ユーザーと直接コミュニケーションが取れる点です。

日々の投稿やユーザーとのコミュニケーションで、企業とユーザーの距離感が縮まれば、顧客ロイヤルティ(自社ブランドへの顧客の愛着)が向上が期待できます。

 

 

SNS広告

 

各SNSには独自の広告配信サービスがあります。画像や動画を使った広告は、訴求効果が高く、ユーザーが興味をもちやすい傾向にあります。

SNSのアカウント登録の際に、入力する年齢・性別・興味関心をもとに、配信する広告が自動で選定されるため、目的のターゲットへダイレクトな訴求が可能です。また、予算や配信期間、ターゲットを柔軟に設定できるSNSも多く、通常のWEB広告よりも比較的に低予算からはじめられることも魅力のひとつです。

 

 

 

SNSキャンペーン

 

SNSを通じて行う、ユーザー参加型の行動喚起施策です。InstagramやX(旧:Twitter)などでプレゼントキャンペーンの開催を告知し、自社に関係するハッシュタグをつけた投稿をユーザーに促せば、フォロワーの新規獲得や自社のキャンペーン情報の拡散がされます。

さらに、ユーザーが自社ブランドに関連する写真や動画投稿をキャンペーン中に行うと、情報収集目的のユーザーに「話題のブランド」として認知してもらえる効果があります。

 

 

 

インフルエンサーマーケティング

 

インフルエンサーと呼ばれる、インスタグラマーやユーチューバーに自社ブランドの製品やサービスを体験・PRをしてもらうSNSマーケティングの手法です。

インフルエンサーマーケティングのメリットは、数百~数万人のインフルエンサーのフォロワーに対して一度に情報発信ができる点です。インフルエンサーのクチコミは、多くのユーザーに購買行動を引き起こす効果があります。

 

 

【ホテル】SNSマーケティングの成功事例4選

 

SNSマーケティングに成功したホテルと成功事例をご紹介します。ホテルが実際に行ったマーケティング手法も合わせて解説するため、自社のSNSマーケティングの参考にしてください。

┃ホテル椿山荘東京:Instagram


引用:https://www.instagram.com/hotelchinzansotokyo_official/


ホテル椿山荘東京では、InstagramのSNSアカウント運用を行っており、ホテルのフェアやブライダルの情報の他に、椿山荘の庭園で観れる四季折々の情景を発信しています。

花々やホタル観賞などの自然美に関する情報発信に対して、ユーザーから「まだ花(ホタル)は見れますか?」というアクションをもらえる投稿がホテル椿山荘のSNS運用の特徴であり、成功事例です。

 

┃スーパーホテル:X(旧:Twitter)

 

引用:https://twitter.com/SUPERHOTEL3

 

スーパーホテルは、投稿内容の切り口がユニークかつ、ネタ切れしないテーマのSNS運用が特徴です。SNSアカウント運用では、ユーザーの目に止まる機会を増やす目的で、投稿頻度を高める必要があります。しかし、日々更新をしていると投稿内容のネタ切れになってしまう経験をした企業も少なくないはずです。
スーパーホテルでは、「今日は何の日?」というテーマで、全国のホテルの中から関連するホテルを紹介しています。例えば、テーマパークの開業が間近に迫れば、近隣のホテルを。「シジミの日」にはシジミの生産地として有名な松江市のホテルをそれぞれ紹介する投稿をしています。
 

 

┃志摩地中海村:X(旧:Twitter)

引用:https://twitter.com/shimaamigo1

 

日本にいながら地中海沿岸の国の雰囲気を味わえると、マスメディアに取り上げられたことを追い風に、SNSアカウント運用で成功した事例です。

景色の美しさや異国情緒溢れる雰囲気の自社ブランドを全面に押し出したツイートを行い、顧客の獲得をしています。また、自社に関連するユーザーのツイートには「いいね」でアクションを起こし、ユーザーとのコミュニケーションも欠かさない点が成功の秘訣です。

 

┃京王プラザホテル :Instagram

京王プラザホテル

引用:https://www.instagram.com/keioplazahotel/

 

Instagramの運用では、集客を目的とした写真や画像を用いた訴求が必要です。

京王プラザホテルのアカウントでは、見栄えの良い食事やスイーツビュッフェの情報を多く投稿しています。華やかなスイーツビュッフェの写真は、アフターヌーンティー目的のユーザーの目に止まり、宿泊以外を目的とした顧客の獲得に繋がりました。

京王プラザホテルのSNSアカウントは、運用するSNSの特徴を生かして、ユーザーに訴求をした成功事例です。

 

 

 

【旅館】SNSマーケティングの成功事例4選

 

SNSマーケティングに成功した旅館と成功事例をご紹介します。マーケティング手法や成功に繋がったポイントを参考に、自社のSNSマーケティングで実践してみてください。

┃銀山荘:Instagram

引用:https://www.instagram.com/ginzanso/

 

銀山荘は、山形県尾花沢市にある人気観光地・銀山温泉の旅館の1つです。銀山荘のInstagram運用は、ユーザーの投稿をリポストする手法で成功した事例です。

銀山温泉は大正ロマンを感じられるノスタルジックな雰囲気が大人気で、SNS上にもユーザーが銀山温泉街で撮影した写真を多く投稿しています。

ユーザー目線で撮影された見栄えのよい写真のリポストで景観の美しさをPRできます。また、リポストされた投稿のユーザーにとって、宿泊施設のリポストや「いいね」、コメントなどのアクションはコミュニケーションとなります。宿泊後にも、SNSを通じて宿泊施設のファン獲得の機会ができるSNSの運用方法です。

 

┃有馬温泉 古泉閣:Instagram


引用:https://www.instagram.com/kosenkaku_official/

インフルエンサーが旅館のサービスを体験した後に、SNS上で施設内やサービスを紹介した投稿をお願いする、インフルエンサーマーケティングの成功事例です。

最近では、Instagramで情報収集を行う人が増えています。しかし、温泉の写真など一般ユーザーが撮影できない場所の情報は乏しくなりがちです。そのため、インフルエンサーが「有馬温泉 古泉閣」自慢の温泉を写真と動画で投稿すると、SNS上で温泉の情報を収集したユーザーの宿泊に繋がります。

また、位置情報タグをつけた投稿を依頼することもポイントです。位置情報タグがあれば、旅館の所在地がわかるだけでなく、位置情報をタグ付けした別のユーザーの投稿に誘導できるため、宿泊施設に魅力を感じれば予約に繋げられます。

自社のSNSアカウントの運用だけでなく、インフルエンサーによる投稿でマーケティングに成功した宿泊施設です。

 

┃鳥羽ビューホテル花真珠:TikTok

引用:https://www.tiktok.com/@tobaview?lang=ja-JP

 

SNSマーケテイングに成功した宿泊施設が利用していたSNSツールがInstagramやXである中で、鳥羽ビューホテル花真珠は、TikTokでSNSマーケティングに成功した事例です。

TikTokの人気コンテンツでスタッフが踊る動画投稿を行い、フォロワーの増加に成功しました。TikTokのユーザーの年齢層が若年層であることに着目し、旅館に訪問したユーザーが撮影できるパネルを館内に用意して、動画投稿に誘導しています。

ユーザーの動画投稿をさらなる集客に繋げたUGC(※ユーザー生成コンテンツ)のテクニックを利用したSNS運用です。

 

┃飯山温泉 元湯旅館 :X(旧:Twitter)

引用:https://twitter.com/MotoyuRyokan

 

飯山温泉 元湯旅館は、X(旧:Twitter)で旅館の内観や外観、料理を発信しています。発信する際にX(旧:Twitter)で話題になっているハッシュタグを使い、ツイートの表示回数を増やす工夫をしています。

旅館近くにある観光スポットの情報発信も魅力的です。本施設は、横浜市や川崎市から60分前後で訪れられるため、都会の喧噪や時間を忘れてゆったりとした時間を過ごしたい方が多く訪れます。旅館を使うユーザー層や旅行の目的を意識して、お花見のスポットや神社などを紹介しています。

旅館のターゲット層を考慮したSNS選びとツイート内容で、SNSマーケティングに成功した宿泊施設です。

 

 

宿泊施設がSNSマーケティングを行う際のポイント

 

SNSマーケティングは、ユーザーありきの双方向型のコミュニケーションツールであるため、そのポイントや注意点に留意してマーケティングを展開しましょう。

1. ユーザーとのコミュニケーションツールであると意識する


自社HPのようなオウンドメディアが、企業から多数のWebユーザーへ情報発信するツールである一方、SNSは企業のアカウントとユーザーの間で双方向の情報のやり取りが可能です。

自社名のハッシュタグをつけて発信された情報に「いいね」のアクションを起こしたり、リプライやコメントをしたりすれば、SNSユーザーとの関係性を深められます。
SNSマーケティングでは、ユーザー個人との積極的なコミュニケーションがマーケティング成功のコツです。
 

 

2. 目的やペルソナを絞った運用を行う

 

冒頭でもお伝えした通り、「ペルソナ(誰に向けての投稿か)」「「目的(SNSで何を達成したいか)」をしっかりと定めることは非常に大切です。
不特定多数の人に好かれようとすると誰にも刺さらない内容になってしまったり、バズることばかりを意識した企画だと炎上のリスクにもなり得ます。

 

 

3. 分析・検証をしてユーザーに刺さる投稿を心掛ける

 

SNS運用をはじめてもフォロワー増加などの成果をすぐには求めず、投稿に対する閲覧の数やユーザーの反応を分析し、仮設検証を繰り返し行う必要があります。
この際、「ユーザーが知りたいことや興味があること」と、「施設が発信したいこと」は必ずしもイコールの関係ではないことを忘れてはいけません。この投稿を見た人はどう思ったのかを基準に「第三者の目線」で投稿の反応をチェックしていくことが大事です。

また、SNSはユーザーとのコミュニケーションを通じて信頼関係が構築できるツールです。SNSのタイプによっては、綺麗ごとばかりの投稿は誰にも刺さらない内容になってしまうこともあります。企業の弱みや改善すべき点を見せていくことでユーザーの共感を得られるケースもあります。

 

 

4. 炎上リスクを理解し事前に対策

 

SNSマーケティングでは、情報の良し悪しの判断をSNSのユーザーが行います。そのため、発信側の思いもよらぬ投稿で「炎上」するリスクもあります。企業の存在意義と関連性がない、例えば「バズ」狙いに偏ったキャンペーン等は一度炎上すると鎮まりにくい傾向もあります。

それを防ぐためにも、運用において「企業の存在意義」を判断軸に、SNS運用のルール策定を用意し、投稿時のチェック体制を整える必要があります。この運用方針が明確にあると、投稿内容やSNSと連携したキャンペーンを企画する際の判断基準になり、企業イメージを低下させるような炎上も防ぎやすくなります。
例えば、スープストックトーキョーは4月に離乳食提供を無料のサービスを開始しましたが、SNS上では「子供がいるとゆっくり食べられない」等の理由で一部批判の対象となりました。しかし、企業の存在意義や思いから施策の背景を丁寧に説明・発信できたことで、その対応が賞賛され騒動は鎮火されています。

また、万が一投稿が炎上した際には早期に発見し、適切な初動対応をしなければいけません。炎上のレベルに合わせて、迅速かつ適切な対応をするためには、ソーシャルリスニングを日常業務にとりいれておくことで、いち早く気付くことができます。適切な初動対応には具体的な炎上の深刻度をレベル別で分類して、「炎上の際の初動対応マニュアルをあらかじめ用意する」などの対策が効果的です。

 

5. 専任のチームで長期的に運用する

 

SNSに投稿する画像や動画などのコンテンツを作成するには、想像以上に時間が必要です。SNS運用の専任チームを立ち上げて運用していくのが成功への近道といえます。

SNS運用では、定期的な投稿、良質なコンテンツの企画、SNSごとに異なるノウハウなどが必要です。他の業務との兼任では、SNS運用の優先順位が低くなる可能性があり、運用の効果を十分に発揮できない可能性があります。

SNSマーケティングの専任チームを設置してノウハウを日々蓄積していくことが効果的です。その為にも普段からSNSを積極的に利用し、IT機器やSNSリテラシーの知見がある方をチームに加えることも大切です。

 

 

 

 

さいごに

 

今回は、宿泊施設におけるSNSマーケティングの活用方法をご紹介しました。
アカウントを作成し、日々運用していくことも勿論重要ですが、まずはマーケティングの基盤となるソーシャルリスニングのツールとして、「ユーザーは何を求めているのか」を知るために活用することから始めてみてもいいのかもしれません。例えば、Instagram内の検索でエリア名を打ってみてください。ユーザーの関心事が分かるかもしれません。
今回ご紹介した成功事例も参考にし、自社に合ったSNSでマーケティングを展開してみてください。

 

 

記事監修

はしもとかな

 

2015年入社後、コンサルティング営業室のコンサルタントとして全国のホテル・旅館のWEB集客支援を行う。現在は、宿泊業界のWEBマーケティングを支援するため、宿研通信の運営を担う。施設様のお悩みに寄り添った有益な情報発信を行うべく、日々業界のトレンドや情報の収集・分析を行っている。

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