宿研通信NEWS LETTER

  • 集客の匠に訊く

お土産処の売上UPを狙う!宿泊施設で明日から使える販売促進術とアイデア


宿泊施設にとって「売店」は一人当たりの付帯売上を増やすことができる重要な場所です。顧客満足度の高い売店を作ることができれば、施設全体の満足度UPにつなげられる可能性もあります。
令和元年度の日本旅館協会の「営業状況等統計調査」によると、旅館の売店売り上げは全体の5%、ホテルの場合は2%で、売店売上の比率は長期的には低下しているという結果がでています。

そこで今回は、売店の売り上げを上げるため3つの方法をご紹介します。売店に取り揃えたい商品の種類やポップの記載をはじめ、販売促進術とアイデアを詳しく解説します。明日から即実践できるものも多数ご紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。

 

ホテル・旅館の売店に対する顧客のニーズとは


宿泊施設の売店に対する顧客の主なニーズは、体験のサポートと非日常空間の体験
の二つです。それぞれのニーズについて詳しく解説します。

【ニーズ1】旅行に必要なものを補える

忘れ物をした顧客に「○○は売店にありますか?」と訊かれた経験はないでしょうか。売店は、旅行中に必要になったものを補える役目として重要です。

例えば、下着やマスク、ウェットティッシュ、充電器など、忘れ物の補完や、急な対応用の日用品のニーズは意外と高いです。また、現地で調達するつもりのモノで、お菓子や軽食にもニーズがあります。お酒のお供やお子様の補食の目的で購入する顧客がいるためです。

【ニーズ2】ここでしか手に入らないものが購入できる

非日常感を味わうための「旅行」の行程のひとつとして、訪れた土地の限定商品を買うことを目的に売店を利用する顧客も多いです。

中でも、「おいしい」体験ができたものは顧客がお土産に購入することはよくあるケースです。そのため、食事で提供した料理のレトルト商品などは一定のニーズがあります。また、宿泊施設『限定』など、場所に対する限定商品も人気が高いです。

 

 

あなたの売店をチェック!見直すべきポイント3選

 

売店で売り上げUPを狙うための秘訣とは一体何でしょうか。戦略的に見直しをかけていくために必要な三つのポイントをご紹介していきます。

 

POINT1┃来店者数を増やす

 

売上を上げるには、来店者数を増やす必要があります。より多くの人に来店のきっかけをつくるにはどのような仕掛けが必要なのでしょうか。

 

売店への導線を見直す


大前提として、館内での売店への導線は非常に重要です
。フロントでチェックインした顧客が必ず通る導線上に売店があれば、顧客が売店の存在を認知するきっかけが必ず作れます。
例えば、売店立ち寄りやすいタイミングにはいつでしょうか?比較的時間に余裕のある、お風呂あがりや夕食後、チェックアウト後などが多いでしょう。その中でも、導線としてはフロント付近(ロビー)に売店があるのが最も理想です。これは、チェックアウトした顧客を、フロントから売店に誘導しやすいためです。

売店の配置が理想とは違っていても、売店まで誘導する工夫をしてみましょう。お客様の滞在中の導線上で、迷わずに売店へ到着できるように道順を示したり、売店の場所を示す館内案内図を各部屋に置いたりしましょう。

 

おすすめ商品を「お着き菓子」として提供する


多くの宿泊施設では各部屋に「お着き菓子」を提供していたり、到着時にウェルカムドリンクを提供することがあると思います。
お着き菓子におすすめの一品をチョイスして、「おいしい」体験を提供する方法も売店への来店を増やすきっかけになります。

食べた顧客が「おいしい」と思えば、自宅に持ち帰って余韻を楽しんだり、大切な人とおいしさをシェアしたいと思うのが旅行中の顧客心理です。

また、買いたいと思った顧客の購買意欲を逃さない工夫も必要です。売店に該当商品があることや、販売場所や営業時間を案内したり、お声がけしたりといった工夫をしましょう。

 

来店きっかけの割引券を配布する


マーケティングでのフロントエンドの役割として、
売店を訪れる「きっかけ」を作ることも有効です割引券はきっかけ作りの一つで、チェックインのときにアナウンスをしながら配布するようにして、多くの顧客の耳に情報が入るようにします。最近では自社の公式LINEのお友達登録の特典として館内割引クーポンを発行する施設様も見受けられます。

フロントで渡す際も、「割引券です」とだけ伝えてお渡しするのではなく、「〇〇の限定ジュースがおすすめです」と、コミュニケーションをとることも有効なテクニックです。

 

売店出張所をつくる


売店以外で売上を作るシステムとして、売店出張所を作るというアイデアもあります。

大浴場前によくみかける牛乳の販売は、視点を変えれば「売店出張所」として機能しているともいえます。

「お風呂上りといえば牛乳(コーヒー牛乳)」という銭湯文化がある日本では、牛乳などの乳飲料を販売している宿泊施設は多いです。入浴後の飲料を顧客が売店で購入すると想定をしている宿泊施設では、大浴場近くでの飲料販売を試してみてはいかがでしょうか。販売方法は、導入のしやすさを考えると自動販売機の設置が理想です。

また、売店出張所で売店の商品紹介を行えば、売店に来店するきっかけを作れます。売店出張所の利用客は、売店へ来店する可能性を秘めた顧客です。人気商品のランキングやおすすめ商品を掲示し、売店へ誘導する工夫をすることも売店への来客数を増やす方法のひとつです。

 

 

POINT2┃滞在時間を長くする

 

第一関門の「顧客の来店」を突破したら、次は商品の購入に繋げていきます。顧客がより長い時間、売店に滞在するためにも工夫をご紹介しましょう。

 

ポップを工夫する


ポップは商品の販売促進において重要な役割を果たします。値札だけでなく、
商品にポップをつける事で、顧客はポップに目を引かれるため、滞在時間が長くなり売上アップの可能性が大きく高まります。
ポップは、顧客に購入する理由を伝えられるような内容にするのがポイントです。

 

おすすめ商品を紹介するポップ

おすすめ商品を紹介する際に、よく使われる手法が「誰が勧めているか」にフォーカスすることです。ポップに従業員の名前を書いたり、支配人の写真を貼ったりすれば、顧客の商品への親近感はぐっと上がり、購買に繋がる可能性もあります。

POP例
・支配人おススメの1品!地酒〇〇との相性がとにかく抜群です
・スタッフ人気No.1★ 地元住民でも貰ったら嬉しい〇〇団子

 

商品にまつわるエピソードを紹介するポップ

商品が陳列されるに至ったエピソードを紹介するポップは、顧客に「特別感」を伝えることができます。例えば、「人気商品」と直接伝えることと、「売切れてしまっていた事をあやまったり、そのエピソードを伝える」だと、後者の方が説得力が増します。
エピソードを織り込んで「人気であること」より具体的に想像させることで、手に取って詳しく商品を見てみたくなるため、自ずと滞在時間が長くなります。

POP例

・すぐ売り切れてしまうので、多めに仕入れました。
・お待たせしてすみません!お客様の熱い要望で○年ぶりに復活!
・地元の洋菓子工場~(企業名)と○年かけて共同制作。ここでしか買えない特別な一品。

 

 

どんな人におすすめかを紹介するポップ

商品のターゲットを明確にして、顧客に訴えるポップもおすすめです。人の脳は自分の必要な情報を無意識に選択できるように働きます。

ターゲットを絞ったポップ作成では、まずは商品のターゲットを明確に決めます。そのあとにターゲットに呼びかけるようなポップを作成するのがベストです。

たとえば、大容量のお菓子には「職場で配るお菓子を探している方向け」、個包装されたスナック菓子には「お子様のお友達へのお土産に」などと記載したポップを作成すると、顧客が「私のことだ」と思い、購入に繋がる可能性が高まります。

POP例

・個包装で配りやすいっ!会社へのお土産はこれに決まり!
・〇〇貰って嫌な女子見たことない。レディへのお土産悩んだらこれ一択です!
・変化球のお土産をお探しの方へ 喜ばれるかは分からないけど
ウケます

 

 

スローテンポなBGMを流す


スローテンポなBGMは、顧客の滞在時間を伸ばす傾向にある
ことが研究でわかっています。
スーパーマーケットにおいて、テンポの遅いBGMを流した時の顧客の移動スピードはテンポの早いBGMを流した時より17%遅くなり、売上が38%増加したというデータもあります。滞在時間を増やすために、売店内で流すBGMまでぜひこだわってみてくださいね。

 

 

POINT3┃一顧客あたりの購入意欲を上げる


最後のポイントは
顧客の購入意欲を刺激し、より多くの商品購入に繋げることです。顧客の購入意欲をあげるためにはどのような手法があるのか、チェックしていきましょう。

 

割引券の内容を工夫


来店者数を増やすために発行する割引券に一工夫加えれば、顧客の購入意欲を刺激する役割
も担います。仮に「お買い上げ合計金額3,000円以上で、1,000円OFF」の割引券であれば、3,000円の購入金額に達するように商品を購入する顧客も多くいます。
主な割引内容には「○円引き」と「○%引き」がありますが、宿泊施設の割引内容には商品の値引きが大きく感じられやすい「○円引き」がおすすめです。金額引きは、商品の実質的なコストを正確に理解できるので、購買意思決定がしやすくなる心理的効果があります。

 

商品ラインナップを工夫


商品のラインナップの工夫も、一顧客あたりの購入点数をアップさせる手法の一つとなります。取り入れるべき商品の種類を紹介します。


①伝統工芸品

伝統工芸品は、顧客が旅行の余韻を感じられる商品です。その土地特有の商品は、顧客にその観光地を旅行した思い出を想起させて、旅行の余韻を長引かせる効果があります。
伝統工芸品の購入に繋げるには客室内に商品を置いて、顧客の目に触れたり、使ったりする機会をつくるのがポイントです。箱根では、伝統技術である寄木細工でつくられたティッシュケースを客室に置き、寄木細工の商品購入の機会に繋げている事例が多くみられます。


②お土産(食品・お酒・ジュース)

宿泊施設の売店で取り扱う地元ならではのお土産(食品)には、地域の特産品や伝統的な食材を取り入れると良いでしょう。例えば、特定の地域で生産されたお菓子、漬物、等が挙げられます。更に、地域特有のお茶や珈琲、地元農家で生産されている新鮮な農産物を使用した加工品や、乾燥フルーツ、ジャム、ジュースなども人気です。
珈琲などは、工芸品(マグカップ)とセットにすることで、より魅力を引き立てることも出来ます。
お酒のお土産として、人気なのは限定品の地ビールです。瓶で販売される地酒(日本酒等)よりも持ち運びやすく、低単価で手に入るので、客室で飲んだり、お土産に買われることが多いでしょう。


④顧客が忘れがちなもの

消毒シートや、マスク、ハンカチや下着など、旅行中に忘れがちな商品は、購入される機会が意外にも多いです。ファミリー層をターゲットにした宿泊施設では、子供用のオムツやおしりふきなども重宝されます。日用品のほかに、充電器や電池、カメラのSDカード等の旅行先で必要になりそうな電気機器も重宝されます。

 

陳列を工夫


購買意欲を高める方法として、商品の魅力を最大に引き出し、顧客の注目を集めるための効果的な「配置」があります。

レジ横で「ついで買い」を誘う

レジ横の商品には「ついで買い」を誘う商品の陳列がおすすめです。ここでは、顧客がレジに向かう際に気軽に手に取りやすい商品を配置しましょう。例えば、小型のお菓子や飲み物、雑貨、季節に合った特別商品等が挙げられます。これらの商品は価格が手頃で、Impulse buying(衝動的な購買)を催促する要素があります。また、特設ディスプレイや目を引くPOPを使用することで、更に顧客の関心を引くことができます。

売りたい商品は手に取りやすい位置に陳列

商品には売れやすいとされる位置は他にもあります。高さ85cm~150cmに陳列された商品は、商品が見やすく、顧客が手に取りやすい位置にある為、よく売れる傾向にあり、このゾーンはゴールデンラインと呼ばれています。

また、日本人は右利きが多いため、売りたい商品の陳列場所に悩んだときには右手でとりやすいように右側に陳列するのもコツです。
通り道に面したディスプレイや売店の中央も、視線が集中しやすいので、季節商品や目玉商品を陳列するのにぴったりです。
売りたい商品は、顧客が手に取りやすい位置・視線が集まりやすい位置をぜひ意識して商品を陳列してみてください。


売れない商品は売れている商品で挟む

売り出したいが売れない商品や賞味期限、消費期限が近くなった商品は、売れている商品で挟むと顧客の目に止まりやすくなります。この戦略は「商品の相乗効果陳列」として有名で、在庫の回転率改善にもつながります。例えば、売れにくい商品と売れている商品を関連性のある組み合わせで陳列することで、顧客は違和感なくどちらの商品も手に取りやすくなります。
更に、売れにくい商品と関連性の高い人気商品をセット価格で提供することも可能です。特別価格で提供することで、本来目的としていた商品を手に入れるだけでなく、新しい商品も試せることから、お得感を感じて購入に繋がります。

 

 

 

決済方法の工夫


顧客が
「買いたい」と購入意欲を刺激された時に、支払う手段がなければ購入には至りません。買いたいと思った時にすぐに買えるように、決済方法を工夫して支払いのハードルを下げると売上アップに繋がります。おすすめの決済方法を2つご紹介します。

スマホ決済

顧客が財布を持ち合わせていなくても商品が購入できるシステムとして、スマホ決済があります。滞在中に顧客が売店に立ち寄りたくなるタイミングは「お風呂上り」と「夕食後」と「チェックインやチェックアウト後」です。特に大浴場からの帰り道や、夕食会場からの帰り道は財布は持っていないが、スマホは持っているケースも多いでしょう。もし財布が無くても、スマホで決済できるなら、アイスを買っていこう。という状況が生まれます。コロナ禍を経て、キャッシュレス化が進んだ世情を踏まえると、スマホ決済に未対応の宿泊施設は急務で取り入れたい機能の一つです。

 

 

リストバンド決済

リストバンドにICタグを埋め込むことでキャッシュレス決済も同時に担ってくれるのがリストバンド決済です。代表的な例として、スーパー銭湯やアミューズメント施設などの行楽施設で採用されている決済方法です。顧客のクレジットカードに紐付けしたり、チェックアウト時に料金と一緒に支払するのがメジャーです。リストバンド決済は、スマホ決済より更に、スピーディーにサービスを利用できるため、購入に繋がりやすくなります。

客室タブレットでの注文・取り置き

客室タブレットでの注文や取り置きができるシステムの導入もおすすめです。
コロナ禍を経て、非接触型の接客ツールとして客室タブレットを設置する施設が増加していますが、館内に売店スペースを大きく確保できない施設様でもタブレットを介して、お客様の好きなタイミングに、気になる商品を、好きなだけご覧いただくことが可能です。

峡谷に佇む隠れ宿峡泉では、客室にタブレットを導入しました。お土産の商品紹介ページは部屋でゆっくりと商品を選べると顧客から好評な上に、顧客の売店対応時間の短縮、付帯売上アップに繋がっています。

 

さいごに


いかがでしたか?宿泊施設の売店の売上を上げるための販売促進術やアイデアを解説しました。
売上アップには、自施設のターゲットを意識した商品をそろえ、商品を購入する理由を顧客に伝えることがポイントになります。また、売店の商品は顧客に旅行の余韻を感じさせる効果もあり、顧客の満足度アップに繋がります。
この機会にぜひ一度ご自身の売店をチェックしてみましょう。そして売上はもちろん、顧客満足度も高られる売店を目指して、まずは1つ取り組んでみてはいかがでしょうか。

 

 


 

 

株式会社宿研は〝日本中の宿を元気にする”宿泊施設専門のweb集客パートナーです。
創業19年、累計約5000件の実績を誇る宿研が、施設様のお悩みを一緒に解決していきます。

 

無料相談・お問合せはこちらから

 

 

 

記事監修

はしもとかな

 

2015年入社後、コンサルティング営業室のコンサルタントとして全国のホテル・旅館のWEB集客支援を行う。現在は、宿泊業界のWEBマーケティングを支援するため、宿研通信の運営を担う。施設様のお悩みに寄り添った有益な情報発信を行うべく、日々業界のトレンドや情報の収集・分析を行っている。

集客の匠に訊く一覧へ戻る