2026年の宿泊業界を予測:「安さ」から「納得感」へ。二極化する市場で勝つための経営と表現の技術を提案

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【2026年】宿泊業界の動向 ~現状とこれから~|ホテル・旅館のマーケティングの鍵は「価格の納得感」
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【2026年】宿泊業界の動向 ~現状とこれから~|ホテル・旅館のマーケティングの鍵は「価格の納得感」

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2026. 01. 15

最終更新 2026. 02. 19

【2026年】宿泊業界の動向 ~現状とこれから~|ホテル・旅館のマーケティングの鍵は「価格の納得感」のキービジュアル

は じ め に

2026年、新たな年を迎え、皆さまはどのような展望を描かれているでしょうか。
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2025年を振り返ると、インバウンドは過去最高を記録するなど、数字の上では「好調」とされる一年でした。ただ、「売上は上がったが、利益が残りにくい」「人手不足で予約を制限せざるを得ない」。そんな「もどかしさ」が、前年以上に鮮明になった年でもありました。
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そして、迎えた2026年。
宿泊業界は「回復期」を終え、基本力が問われる「選別期」に入ります。本稿では、2025年を振り返りながら、現在の宿泊業界に関わる構造の変化を整理し、2026年の前提となる環境(景気・食品物価・観光庁の方針)や、マーケティングに必要な基本施策を解説します。

 

この記事で分かること

 昨年2025年の国内旅行市場で起きた変化の要点

 昨年のリニューアル事例に見えた共通の裏テーマ

  2026年以降も続く、日本人の旅行人口の変化

 2026年の食品物価の見通し

値上げを成功させるための見直しポイント

目次

    第1章:2025年宿泊業界の振り返り

    2025年の総評

    2025年は、好調な数字の裏で格差が広がり、運営の前提が大きく変わった一年でした。
    本章では、その背景とあわせて、今後、「稼働率」をどう捉えるべきかを解説します。

    ― 史上最高の数字とがる格差


     2025年、訪日外国人の数は史上初の年間4,000万人を突破。実際、訪日客が地方へ足を延ばす光景も増えました。また、日本人の国内旅行消費額も四半期で7兆円に迫るなど、コロナ禍前を上回る過去最高水準を記録。さらに、大阪・関西万博も追い風となり、大阪を中心に宿泊需要は大きく伸びました。

    しかし、この「好調」の恩恵は業界全体に等しく行き渡ったわけではありません。昨年同様に、インバウンドを積極的に取り込めた都市部・観光地と、そうでない地方・中小施設との間で、業績の格差が鮮明になりました。いわゆる「二極化」で、過去一番の業績をだす一方、もう一方は人手不足と物価高に苦しみ、人手不足で閉館する施設も相次ぎました。
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    ― 集客構造の転換

     日本人の国内旅行に目を向けると、需要が伸び悩む一年でした。物価高騰による節約志向の高まりを背景に、延べ宿泊者数は前年を下回る水準で推移。インバウンドに頼れない施設にとっては、厳しい環境が続きました。

    こうしたなか、2025年は「稼働率を追う経営」から「単価を上げて利益を残す経営」への転換が本格化した年でもありました。特に地方では、人手不足により全室を稼働できない施設が多く、「部屋を埋めること」よりも「一室あたりの単価を上げること」が問われる局面に入っています。そして、この流れは2026年以降も、一過性ではなく「普通の状態」として続いていくでしょう。
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    ― 宿泊施設タイプ別稼働率


     2025年の宿泊施設タイプ別の稼働率を確認してみます。自社の稼働率が全国平均と比べてどうだったか、チェックしてみてください。なお、現時点で公表されているデータは2025年12月までとなります。データは随時更新されるため、定期的にご確認ください。

    全体の平均稼働率は60%前後で推移しています。インバウンドは過去最高を記録している一方、日本人旅行者の減少により、2019年の水準 ( 62.7% ) には届いていません。ただし、この数字の背景には、もう一つ事情があります。先述の通り、現在の稼働率には、人手不足による意図的な「売り止め」や、稼働率よりも単価を重視する戦略への切り替えが、少なからず影響としていると考えられます。
    2026年、稼働率は「高かったか?」ではなく、「利益を生んだか?」で評価する必要があります。
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    第2章:宿泊業界で「いま」起こっている変化

    ここでは、以下の2点について解説します。これら大きな潮流と、他施設の考えを知っておくことは、これからの経営判断を助けるヒントになります。

    宿泊・観光業界を取り巻く社会環境の変化

    この1年で進んだリニューアルや新規開業の特長と狙い

     

    ① 宿泊・観光業界を取り巻く社会環境の変化

    〇 国内旅行者で進む「二極化」とシニア層の離脱
     日本人の国内旅行者数は、じりじりと減少しています。ただ、その実態は単純な物価高騰による「旅行需要の低下」という話ではありません。いま起きているのは、旅行する人と、ほとんど旅行しない人がはっきり分かれる「二極化」です。

    公益財団法人日本交通公社(JTBF)の分析※1によると、日本人の旅行機会の減少には大きく二つの背景があります。一つは「高齢化」です。人口構成比の多い世代が年齢とともに体力や健康面から旅行回数が自然と減っている点です。これは日本の人口構造そのものがもたらす変化です。
    そして、もう一つは「世代の違い」です。現在の若い世代は、ひと昔前の若い世代と比べて、そもそもの旅行回数が少なくなってきています。

    つまり、日本人の旅行機会の減少は、「年を取ったから」だけではなく、旅行をしない若い世代が、そのまま年齢を重ねてきたこと(年齢の影響+世代の違い)が影響しています。これは、旅行以外にも手軽にリフレッシュできる余暇の選択肢が増えたことが背景にあります。

    その結果、市場は二つに分かれています。
    直近(2024年)のJTBFのデータ※2では、年に1回も旅行をしない人が50.5%まで増加(2014年は46.8%)。一方、旅行する人の年平均回数は2.37回から2.86回へ増えています。「行く人は何度も行き、行かない人は全く行かない。」そして、「行かない人」の割合が増えている。この二極化が現在の日本人の国内旅行の実態であり、今後も加速するであろう市場構造の一端です。

     特に影響が大きいのが、シニア層の離脱です。70代以上は「健康上の理由」、60代では「介護」や「ペット」の存在が旅行を控える要因として挙げられています。これまで国内旅行を支えてきた層が市場から離れ、その世代を介護する層もまた旅行機会が減っています。


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     この変化は、宿泊施設の運営に直結します。「シニア層が安定的にリピートする」という前提は成り立ちにくくなります。一方、見落としてはいけないのが若年層へのアプローチです。20代は今すぐの売上貢献は小さいものの、周囲への拡散力は高く、5年後、10年後にはファミリー層へ移行します。
    若いころの「あの宿、良かったよな」という記憶は、家族旅行の行き先として自然と浮かぶ選択肢になり、認知獲得や信頼構築といったマーケティング活動を簡略化する資産です。

     このように、宿泊業や観光業を取り巻く環境でいま起きているのは、単純な日本人の旅行需要の減少ではありません。旅行をする「主役」の入れ替わりです。この事実を受け止め、未来への種まきや、そのための新しいノウハウの習得をできるかが、5年後、10年後の経営を左右するでしょう。
    そして、この社会環境の変化に合わせるように、宿泊施設側の「つくり方」も変わり始めています。

    ※1出典元:公益財団法人日本交通公社「今後を占うAPC分析 ー日本人の旅行はなぜ減少したかー[Vol.518]」
    ※2出典元:公益財団法人日本交通公社「若年層に広がる『旅行への関心の縮小』と、高齢者層を直撃する『新たな阻害要因』。データで見る旅行意識の変化。[Vol.532]」
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    ② この1年で進んだリニューアルや新規開業の特長と狙い

     客室数を減らす
     客室を広くする
     客室に装飾を施す
     ベッドを大きくする
     水回りを独立させる
     大浴場やレストランを持たない

    この1年、リニューアルや新規開業で頻繁に目にしたこれらの選択は、3つの狙いに集約できます。

    狙い1. 「高級化」ではなく「運営が回る形態」

     近年の改装は一見「贅沢の追求」に見えますが、その本質は「人手不足でも回る形態」への作り直しです。客室数を減らして一室を広くする。ベッドや水回りの質を上げる。これは贅沢のためだけではなく、清掃や接客の負担を物理的に減らしつつ、満足度と単価を上げるための設計になります。

    人手不足で満室にしたくてもできない場面が常態化するいま、稼働率を追う経営は、価格競争や現場を疲弊させ、ブランドを傷つけるリスクにもなります。「少ない客室数でも利益が残る形態にする」これが、現在のリニューアルや新規開業でみられるトレンドの裏テーマだと考えられます。

    ※客室を4~6名に対応できるように広げる改装が、訪日観光客の多いエリアで増えています。訪日客の地方分散が進めば、地方でも有効な選択肢になりそうです。
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    狙い2. 地域性や個性は「語る」から「体感」へ


    「地域らしさ」の伝え方も近年変わってきています。これまでは「この土地らしさ」を文章や料理で語る施設が多かったのですが、近年は客室やラウンジなどの「空間デザイン」で伝える改装が増えています。地元の木や石を使った内装、窓からの景色を主役にした間取り、観光資源の特色を反映した客室デザインなど。説明がなくても「この土地らしさ」が直感で分かる設計です。地域性を「語る」ものから「体感する」ものへ、空間そのものが施設の個性と地域性を伝える手段になっています。

    また、地域性とは違った切り口で「独自の体験」をつくる動きも見られます。 その象徴が、人気キャラクターや異業種コンテンツとの「タイアップ」です。一部の客室をキャラクターの世界観にデザインするだけでなく、食事やお土産まで世界観を統一し、ファンや子どもがその世界にどっぷりと浸れる体験をつくり出すことで、他にはない強烈な個性を打ち出す事例が増えています。
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    狙い3. 「全部入り」をやめるという意思決定


     最後の狙いは、「やること」を増やすのではなく、「やらないこと」を決めている点です。 大浴場、レストラン、売店、宴会場など、「全部揃えれば安心」という発想は終わりを迎えています。その理由は、人手もコストも膨らみ、維持そのものが難しくなるからです。体験価値の核だけを残し、その他は外部と提携するか、最初から持たないことを選択。これはサービスを削るのではなく、守るべき品質を守り、事業を持続させるための「選択と集中」です。

     この割り切りは地方に進出する外資系ホテルに学ぶところが多く、彼らは稼働率を上げるよりも、単価とブランド価値を守ることを優先し、満点を取る領域を決めて投資します。現在の市場は「全部をよくする宿」よりも、「強みが一言で伝わる宿」の方が話題性(ビジュアル含め)も選ばれる理由もつくれます。2026年、どこに「宿泊のハイライト」をつくるか。その意思決定がより重要です。

     

    第3章:宿泊業に影響する2026年の国内環境

    ここでは、宿泊業の経営に直結する以下、3つのポイントについて解説します。
    これらは自社ではコントロールできない「外部環境」ですが、2026年の「前提条件」として、必ず押さえておくべきポイントです。

    国内景気

    食品物価の動向

    観光庁の支援方針

     

    ① 国内景気:「金利のある世界」の到来


     政府は2026年の景気を「緩やかに回復」としていますが、物価高による消費の足踏みも懸念されており、宿泊施設の体感としては「好調」と、なかなか動きがない「厳しさ」に分かれやすい一年になりそうです。

    そんな中、経営環境最大のキーワードは「金利」です。 日銀の利上げは、施設の借入コストを増やすだけでなく、お客様のローン負担も重くなり、家計の「自由に使えるお金」を削っていきます。財布の紐が固くなれば、旅行・宿泊への価格感度が増します。ここで大事なのは、値上げが嫌なのではなく、「外したくない」気持ちが強まる点です。つまり、何にお金を払うのか」が見えない価格は、選ばれにくくなります。

    「せっかくの旅行だから、失敗したくない」「お金を払うだけの価値を得たい」このようなお客様心理が、これまで以上に高まると予想され、その慎重さをさらに強めるのが、食品を中心とした物価の高止まりです。
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    ② 食品物価:原材料費の高騰は「固定条件」となる

     食品の値上げは、一時的なことではなく、高い状態が続く「固定条件」となります。帝国データバンクの調査によると、2026年1月~4月に判明している食品の値上げは約3,600品目で、これは前年同時期と比べると4割減となり、やや落ち着いています。現時点で判明している値上げ品目の中心は、冷凍食品や米製品、マヨネーズなどの鶏卵製品、酒類などで、平均15前後の値上げです。

    今年の値上げで注目すべきは、値上げ要因の変化です。原材料費の高騰に加え、今まで以上に物流費や人件費など「国内コスト」の影響が大きく、反対に「円安由来」は過去最低水準になっています。つまり、円安が解消されても価格が戻りにくい構造のため、円高に進んでも、仕入れ値は下がらないでしょう。宿泊施設にとっては、食材や飲料の原価は「下がらない前提」で、メニューと価格の設定が必要になります。
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    ③ 観光庁の重点:「一律の支援」から「稼ぐ力」への投資


     この1年で国の支援のあり方も変わりました。コロナ禍のような「みんなを助ける」施策は終わり、2026年は「頑張る観光地や施設を伸ばす投資」へとシフトしています。特に注目すべきは、観光庁が「観光を稼げる産業にする(自走できる体質づくり)」を目指し、「高付加価値化×省力化」の方面へ予算を寄せている点です。
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    例えば、「人手不足対策費」は前年比6に増加。自動チェックイン機や配膳・清掃ロボ、チャットボット、PMS(宿泊管理システム)などの省力化投資に加え、特定技能人材の活用促進や採用マッチング等、採用と定着までが支援対象に含まれています。
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    さらに、「ユニバーサルツーリズム(バリアフリー化)」の予算は前年比13に急増しています。客室やトイレの改修を通じて、人口比が増える高齢者やインバウンド富裕層を呼び込むための「施設の価値向上」も強く後押しされます。
    加えて、ハード面だけでなく「経営力(ソフト面)」の強化も支援されます。
    観光庁は「観光人材育成ガイドライン」に準拠した教育プログラムの充実を掲げており、育成対象は宿泊施設で働く人材まで含まれます。観光地(DMO)向けにも、データに基づく戦略づくりや、調査・プロモーションを含むマーケティング関連費が支援対象として示されています。単に設備を整えるだけでなく、それを使いこなし、稼ぐための「ノウハウを持つ人材」への投資も重視されています。
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    国からのメッセージとしては、「安売りで消耗せず、しっかり利益を出せる強い経営体質を作りましょう」となり、これまでのハード面の補助ではなく、自力で歩んでいける経営力の強化へと舵が切られています。なお、2026年度の補助金の詳細については、別の記事で詳しくご紹介します。


     2026年は、景気、物価、人手の状況、さらには「AIを活用した予約導線」と、さまざまな要素が不透明で、どう転ぶか読みきれないのが現実です。こうした局面で大事なことは、読めない未来を考えることよりも、まずは、どんな未来に転んでも確実に効く「土台」から固めることです。それが、不確実な今の時代を生き抜く、最も賢い初手になります。
    次の章では、どんな未来に転んでも確実に効く一手を提言します。

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    第4章:2026年も選ばれる宿泊施設がやるべきこと

     2026年、価格にシビアなお客様に選ばれる鍵は、「安さ」ではなく「価格への納得感」です。
    昨年9月に公表した弊社の第2回独自アンケート調査でも、「その施設を選ばなかった理由」第1位は、『価格が腑に落ちない』ことでした。
    詳細はコチラの記事: 旅行を終えたばかりの1,000人に聞いた。2025年物価高時代の「宿泊施設選び」の行動と判断基準

    この章では、その納得感を作る土台として、ありきたりな表現(常套句)を捨て具体的な事実で「価格の根拠」を伝える取り組みを解説します。「どうすれば値上げでもうまくいくのか」への回答として、お役立てください。

    脱 常套句:「事実を具体的な言葉」で語る。

    もしも、同じ料理内容を提供している(A)と(B)の施設があったとき。どちらに「泊まりたい」と思うでしょうか。まずは理屈抜きで、直感で選んでみてください。

    おそらく、多くの方が「2,000円高いけど、(B)の方が良さそうだ」と感じたのではないでしょうか。
    これには、行動経済学の「曖昧性回避」という心理が働いています。人間は、確率や内容が不透明な(曖昧な)選択肢を本能的に避け、多少コストがかかっても、内容がはっきりしている、確実な方を選ぼうとする傾向があります。

    (A)の「厳選」「こだわり」という言葉は、書き手の主観であり、読み手にとっては基準が不明瞭な「曖昧な状態」です。人は、無意識に「ハズレるかもしれないリスク」に対して不安を感じるため、その不安を打ち消すほどのメリット(安さ等)がないと選びません。
    一方、(B)は「具体的な選ぶ基準」と「守るべきライン(〇〇は出さない)」という「事実」が示されています。中身が見えることで「曖昧性」が排除され、人は安心します。この「安心」こそが、価格差2,000円でも選ばれやすくなる正体です。

    「今の時代、文章は読まれない」そう思うかもしれません。確かに、何気なく眺めている時は読みません。しかし、高額な買い物や大切な旅行の「比較検討」に入ると、行動は一変します。「失敗したくない」という心理から、最後は安心を求めて文字を読みます。この時、お客様の背中を押せるのは、雰囲気だけの美しい形容詞ではありません。「ここなら大丈夫だ、間違いない」と確信させてくれる、信頼に足る「事実情報だけです。

    よくある宣伝文句を使うほど「個性」は消える

    2026年、価格の納得感をつくる第一歩は、「曖昧な形容詞」を捨て、「具体」で語ることです。
    「厳選」や「こだわり」「おもてなし」といったよくある言葉を使いたくなったら、一度立ち止まり、「私たちは具体的に何をしているのか?」と自問してください。よくある宣伝文句(常套句)は便利ですが、使えば使うほど個性は薄れ、かけている手間ひまや、独自の取り組みが“一般化”されます。言葉を具体化し、曖昧さを消すだけで、「価格への納得」は生まれます。集客や広報の場面では、

    「美味」と書くのではなく、どう語り、どう描写すれば、「美味しいに決まっている」と思えるのか。

    「こだわり」と書くのではなく、何をどう伝えれば、「すごくこだわってるんだな」と感じ取れるのか。

    「心ほどける」と書くのではなく、どう表現すれば、「全身の力が抜けていく感覚」が蘇るのか。

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    そこに知恵を絞らないといけません。よくある宣伝文句と曖昧な形容詞を捨て、具体的な言葉で事実を語る。モノの価値は、伝え方一つで劇的に変わることを改めて認識していただきたいと思います。

    「価格の納得感」は、綺麗な言葉や新しいサービスを増やすことではなく、日々の当たり前をどう伝えるかで決まります。まずは、公式サイトとOTAの文章を「常套句から、事実(行動基準・工程・やらないこと)」に書き直すことから始めてください。

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    さいごに

    AI時代こそ「基本」が最強の戦略

     2026年は、これまで以上に「AI」が旅行計画のなかに浸透してきます。すでに、一部の予約サイトでは、ユーザーがAIに相談しながら施設を探す機能が実装され始めています。ChatGPTやGeminiのようなAIと、予約サイトに組み込まれたAI。 これらすべてに「選ばれる候補」として、ちゃんと認識されるための方法は、実は一つです。

    それは、『基本情報を常に正しく最新にし、実直な運営をすること』です。
    AIが普及する「AI時代」だからこそ、大切になるのは「基本をしっかりする」ことです。これから出てくる新しいトレンドやテクニックを追いかけることではありません。

    「基本」のチェックリスト 8つ

    1

    情報の正確性と一致
    設備や基本情報に誤りがなく、どのサイト、メディアでも同じ情報で一致している

    2

    最新の視覚情報
    写真は今の状態を正しく写し、魅力的に撮れている(AIは写真の内容も理解します)

    3

    情報の鮮度
    新しい情報は定期的に発信する(HPのブログは月2回の発信が目安)

    4

    清潔さ
    クチコミで最もチェックされる「清潔感」を守る

    5

    約束
    書いていること(期待)と、実際の体験を一致させる

    6

    独自性
    小さくてもいいので、自施設にしかないユニークな体験を提供する。
    宿泊のハイライト場面をつくり、言葉と写真(映像)で伝える。

    7

    適正価格
    その価値に似合った価格で売る

    8

    誠実さ
    お客様の声に耳を傾け、改善し、その旨を発信する

    ここに挙げた8つは、派手さはありませんが、2026年ではちゃんと効いてくる「基本」です。
    生成AIの話を少しだけすると、AIは「なんとなく〇〇な宿」のような曖昧な伝わり方では、判断の精度が上がりにくい傾向があります。逆に、「〇〇は使っていない」「窓から海が見える(写真でも分かる)」のように、具体的な事実が揃っているほど、ユーザーの希望と照合して「この宿をおすすめします」と、自信を持って提案しやすくなります。

    つまり、前章でお伝えした「具体的に語る」こと、そして「正しい情報と写真を用意する」ことは、人に伝わりやすくなるだけでなく、AIに見つけてもらうための施策にもなります。この「当たり前」を丁寧に積み重ねる運営こそが、AIにも「信頼できる施設」として評価され、何より、これから出会うお客様にも分かりやすく届いていきます。

    現代のマーケティングに、「魔法」のような近道はありません。
    2026年、人にもAIにも選ばれるのは、足元の基本を誰よりも大切にする施設です。

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