宿泊施設のOTA分析シリーズ(楽天トラベル編)

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宿泊施設のための予約サイト(OTA)データ分析入門(楽天トラベル編)|楽天トラベルの特徴とデータの見方を解説
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宿泊施設のための予約サイト(OTA)データ分析入門(楽天トラベル編)|楽天トラベルの特徴とデータの見方を解説

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2025. 08. 07

最終更新 2025. 08. 08

宿泊施設のための予約サイト(OTA)データ分析入門(楽天トラベル編)|楽天トラベルの特徴とデータの見方を解説のキービジュアル

「今の伝え方」がユーザーに刺さっているのかどうか。
それは、他施設と横並びで比較される予約サイトだからこそ見えてくる反応です。

 

当然ですが、どの施設様も自社サイトや予約サイト、SNSなどで同じ魅力を発信します。
つまり、自社の表現が、本当に届いているのか。どれだけ見られ、どこで離脱されているのか。その「伝わり方の実態」を知ることは、現在の競争環境において非常に重要になってきます。

 

そこで活用したいのが、楽天トラベルの管理画面で確認できる各データです。
ここに現れる数字は、単なる「数字」ではなく、他施設と比較されたうえでの「ユーザーの態度」を映し出す指標ともいえ、このような視点を持って一つの媒体での反応を深く読み解くことは、自施設のPRを見直す大きなヒントになり得るでしょう。

 

「自分たちの発信が、どこまで届いているのか」
そのヒントを探るために、本記事では楽天トラベル特有のデータの見方と改善のポイントを整理しています。皆さんのチームで「表現の届き方」を確かめるきっかけとして、ご活用ください。

目次

    楽天トラベルの基本情報と特徴


    引用元HP:楽天トラベル公式サイト

    楽天トラベルは、楽天グループが運営する総合旅行予約サイトで、国内外の宿泊施設や交通手段を幅広く取り扱っています。楽天市場や楽天カードなど70以上のサービスを展開する「楽天経済圏」の一部として、ユーザーの囲い込みが強く、旅行予約の場としても高い利用率を誇ります。

    楽天トラベルの特性

    まずは、楽天トラベルというプラットフォームがどんな特性を持ち、どのような強みがあるのかを整理しておきましょう。

    ① 楽天内外の広告展開で高い認知度

    楽天トラベルは楽天市場など「楽天経済圏」内でのプロモーションに加え、Googleなどの外部検索エンジンやSNS、TVCMなど各種広告媒体で積極的に広告を展開しています。そのため、楽天トラベル自体の露出機会や認知度は非常に高く、幅広いユーザーへのアプローチが可能です。


    また、「楽天スーパーSALE」や「お得なクーポン祭!」など定期的なイベント開催をされているため、この機会に利用するユーザーも集まりやすくなります。


    宿泊施設が活用すべき視点として、楽天トラベルの積極的な広告配信を「活用できる外部資源」と捉えることです。楽天トラベルへの流入が増えるタイミングに合わせ、リスティング広告やバナー広告、自社HPでの告知強化など、連動施策を打つことで通常以上の効果が期待できます。

    ② モバイル・アプリでの予約が主流

    楽天トラベルの予約は半数以上がモバイル・アプリです。PCだけではなくモバイル・アプリからの見え方を確認しましょう。アプリ経由からの予約はポイントが2倍になることから、PCで宿泊先探しをしたとしても、最終的な予約はアプリを使うケースが多くなっています。

    ③ テーマページで+αの情報提供ができる

    楽天トラベルでは、テーマページ(追加できる情報ページ)を使って基本ページや施設情報以外でも宿泊施設の特徴をより伝えることができます。

     

    テーマページは、宿泊施設の特徴や設備、サービスなど常設情報を掲載できる専用ページです。デザインはあらかじめ統一されており、オリジナリティのある表現をすることは難しいものの、テキストや画像を用いて施設の特徴を表現できます。さらに、スマートフォン対応がされており、PC・モバイル・アプリのすべての媒体において閲覧が可能です。

     

    また、HTMLなどの専門知識を必要とせず、ノーコードで作成・編集ができるため、情報の更新が容易で、宿泊施設からのお知らせやおすすめ情報などを、リアルタイムで手軽に発信することができます。

     

     

    役割はカスタマイズページと似ていますが、テーマページはカスタマイズページとくらべて追加・編集作業が簡易なため、宿泊施設様ご自身で手軽に情報を発信することができます。

     

    楽天トラベルは、「楽天経済圏という存在」や「テーマページによる発信内容の自由度」など、独自の強みを持ったOTAです。これらの特徴を上手く活かしつつ、楽天が打つ施策による影響を踏まえデータを確認することで、数字の背景にある要因を正しく読み取り、より効果的な改善策を見つけることができます。

    楽天トラベルのユーザー特性

    集客を考えるうえで欠かせないのが、「誰に届けたいか」の視点です。
    予約サイトごとに異なるユーザー層の価値観や行動傾向を把握することは、施策やPRの方向性を見極めるうえで重要な判断材料となります。ここでは、楽天トラベルのユーザー像の例をご紹介します。

    ① ポイント重視やセールを狙って予約するユーザーが多い

    楽天トラベルのユーザーは、単純な価格の安さではなく総合的な「お得感」を重視します。購入額が大きくなる宿泊予約では、ポイント付与の増加ポイント活用による値引きを最大限に活用したいという意識が高まります。総合的な「お得感」で賢い予約ができたことへの満足感も重要な要素です。

     

    そのため、ポイントアップや割引が大きい「楽天スーパーSALE」「5と0のつく日」など、定期的なイベント時に予約が集中する傾向があります。データ分析では、イベント期間の有無を意識してデータを確認する視点が欠かせません。

    幅広い年代のユーザーが利用している

    楽天経済圏を利用している年代は、20代~60代と幅広い年代の方が利用しています。幅広い年代のユーザーがいるからこそ、「誰に届けたいか」を明確にした情報設計がカギです。

    ③ アフィリエイト活動を行うユーザーが多い

    ユーザーの中には、楽天アフィリエイトを活用して積極的に情報発信を行っている方が多く存在します。個人のSNSやブログ、YouTubeなどを通じて、「お得に泊まれる宿」「コスパが良かった宿」として楽天トラベル内の施設を紹介されることも多く、施設側の販促とは別の流通経路で認知が拡大するケースがあります。

    楽天トラベルのユーザーには、「価格」と「得られるポイント」のバランスを見極めて行動する特徴があります。こうしたユーザー特性を理解しておくことは、響く訴求づくりや、選ばれるプラン設計の前提となります。

    データ分析においても、「どんな価値観の人がOTAを利用しているのか」「OTA自体がいま何をしているのか」を把握しておくことが正確な分析と、効果的な改善策を導く土台となります。数字の変動を見る際は、このような背景』も理解して分析することで、楽天トラベル特有の改善ポイントを見つけ出すことができます

     

    データ分析の基本:楽天トラベル宿カルテを活用しよう

    指標の定義(宿カルテから取得可能)

    宿カルテから取得できるデータからユーザーの動きやページの状況を具体的に数値で把握できます。
    ここでは、基本指標とその定義、取得方法を確認しましょう。

    アクセス人数 施設ページ内にアクセスした人数。
    └ 同じデバイスから1日に複数回アクセスしても1回でカウント。カウントは毎日リセット。
    PV数(ページビュー数) 施設ページ内に、同日中の同デバイスから閲覧したページ数のカウント。
    └ アクセス人数との乖離が大きければ、回遊が多いことを示唆。
    転換率(CVR) アクセス人数に対しての成約率。

    【予約件数】÷【アクセス人数】×100で、転換率を計算されています。

    キャンセル率

    予約された件数のうち、キャンセルとなった割合。

    【キャンセル件数】÷【キャンセルを含む宿泊件数】×100で、キャンセル率が算出できます。

     

    各指標の取得方法
    アクセス人数・PV・転換率の確認方法

    管理画面左にある「宿カルテ」>  データダウンロード  >  抽出期間(月次)>  データ種類「予約実績」

    CSVダウンロードデータより【アクセス人数】【PV】【転換率】がご確認いただけます。

     

    キャンセル率の計算方法

    ※キャンセル率はダウンロードできる指標の中に無いため、手計算が必要になります。

    1.予約確認・キャンセル・変更から、検索期間を指定し、検索対象を「宿泊日」で検索。
     ここで表示される件数が、キャンセルを含む宿泊件数。

     

    2.絞り込み検索で、予約ステータス「キャンセル済み」で検索すると、キャンセル件数が表示されます。

    キャンセル率 = キャンセル件数÷キャンセルを含む宿泊件数×100の計算式から算出できます。
    例)30(キャンセル件数)÷ 70(キャンセルを含む宿泊件数)× 100 = 約42.8%

     

    以上のやり方で、それぞれのデータを取得することが可能になります。
    これらを表にまとめると、どの段階でユーザーの離脱があるのか、どの月に、どの程度の変化があるのかを可視化できるようになります。

     

    楽天トラベルでどのように対策できるのかを考える

    パーチェスファネルを使った分析

    前回のおさらいになりますが、パーチェスファネルとは購買行動プロセスを可視化したフレームワークです。パーチェスファネルを認知機会から宿泊に至るまでの行動の流れを段階ごとに分けて整理し、楽天トラベルより取得できるデータ指標を落とし込んでみると、下図のようになります。

     

    実際に楽天トラベルから取得したデータを表にまとめてみましょう。

    <分析の一例>
    上記の表から読み取れるのは、2025年7月において「転換率」に課題があるという点です。
    アクセス数やPV数は維持されているにも関わらず、「興味関心・比較検討」から「予約」への移行が進んでいないことから、時期的なニーズとのズレが推測されます。このようなケースでは、認知拡大のための施策を打ってもインパクトは小さく、本質的な改善には繋がりません。

    このように、データを段階ごとに分解して見ることで、「どこでユーザーが離脱しているのか」「どの部分を優先的に改善すべきか」といった判断材料を得ることができます。
    以下では、楽天トラベルの特性を加味した、段階ごとの打ち手を一部ご紹介します。

     

    楽天トラベルで出来る改善策を一部抜粋

    ここまで、ユーザーの傾向やデータの見方について整理してきました。最後に、楽天トラベルだからこそ活かせる独自の施策や機能について触れておきましょう。

    ポイントを軸にしたプラン設計や検索順位に影響を与える要素、テーマページ機能など、楽天トラベルならではの改善策があります。「楽天経済圏」を活用するユーザーにとって魅力的に映る工夫を、いくつかピックアップして紹介します。

    ① アクセスがそもそも少ない/減少傾向:認知機会・アクセスを増やす対策
    1.楽天ポイントを活かし、ポイントを意識した設定をする

    ボーナスプログラムの参加や高ポイント倍率のプランを設定しましょう

    楽天トラベルでは、検索順位に影響する要素として、在庫提供率、前月の売上実績、クチコミ点数、そして「楽天トラベルボーナスプログラム」への参加などが挙げられます。これらの要素を踏まえ、楽天経済圏を活用するユーザー層に響く施策として有効なのが「ポイント付与」に関する取り組みです。
    特に、ボーナスプログラムへの参加や高ポイント倍率の設定は、楽天トラベルの利用頻度が高いユーザーにとって魅力的に映りやすく、検索結果での視認性向上にもつながります。その結果、アクセス数の増加や予約の後押しにつながる可能性が高まります。

     

    2.交通手段もまとめて予約したいユーザーへ認知機会を増やす

    パッケージサービスの販売設定をする

    「パッケージサービス」とは、交通機関と宿泊を組み合わせて予約できるサービスです。パッケージ販売は、認知機会を増やすメリットがあります。在庫は国内単品と共通のため、在庫を分ける必要もなく、追加費用も発生しません。

    設定方法は、管理画面からパッケージ販売をしたい部屋タイプ・宿泊プラン両方にパッケージ用の公開フラグを設定し、パッケージ用の情報を記載することで販売を開始することが可能です。ポイント等のお金をかけずに、認知機会を増やすことができる施策となります。パッケージ販売ではプラン内容等に記載できないNGワードがあるため、記述内容には気を付けましょう。

     

    ② アクセスはあるがPVが減っている:興味・関心を高める対策
    テーマページを作成し、施設情報を充実させる

    通常のテンプレート以上に施設情報を伝え、興味関心を高めましょう

    楽天トラベルでは、テーマページを活用して、施設ならではの魅力や強みを伝えましょう。楽天トラベルの特徴でも触れましたが、テーマページは宿泊施設の特徴や設備、サービスなど、施設の特徴や個性をアピールできるページです。

    さらに表示期間を設定することができるため、施設周辺のイベント情報や季節に特化したお料理の説明など期間限定の情報発信にもおすすめです。

    例)
    ・客室タイプの紹介をより丁寧に写真やテキストで伝える

    ・食事のこだわりや、地元食材の背景を掘り下げる
    ・過ごし方の提案:雨の日・連泊・家族旅などシーン別紹介

    などの活用方法があります。検索結果から施設ページへアクセスしたユーザーが、施設の特徴やおすすめのポイントを理解しやすく「ここ、いいかも」と思うきっかけになります。こうした情報の厚みは安心感になり、興味関心を高める材料となります。

     

    ③ 転換率が低い:アクセスから予約につなげる対策
    Q&Aページで“予約の不安”を取り除く

    「よくある質問」やテーマページにてQ&Aをまとめておきましょう

    ユーザーが施設を比較・検討している段階で、よくある障壁は「ちょっとした不安」です。「子ども連れでも大丈夫かな?」「送迎ってどこまで対応してくれるんだろう?」「チェックイン前やアウト後に荷物の預かりはしてもらえる?」こうした疑問が解消されると、不安を取り除くことができ、安心して予約へ進んでもらう導線がつくれます。

    「よく聞かれること」を書くことも大事ですが、「まだ聞かれてないけど、気にしている人が多そうなこと」に先回りして答えることがポイントです。

     

    ④ キャンセル率が高い:キャンセルを防ぐ対策
    ニーズにマッチした販売方法を考える

    「お任せ部屋プラン」や「ポイント●倍プラン」などユーザーのニーズを満たしましょう

    こちらは楽天トラベルに限った手法ではありませんが、キャンセル率を下げるにはユーザーのニーズを満たす販売や、期間限定の販売が効果的です。

    たとえば「お任せ部屋プラン」は、部屋タイプを選べない代わりにお得に泊まりたい層に好まれます。また、ポイント重視の方には「ポイントUPプラン」で対応するのも有効です。こうした一部ユーザーのニーズを確実に満たすことで、他施設への乗り換えを防ぐ効果も期待できます。ただし、価格やポイントで訴求する場合は、後からよりお得なプランが出さないよう注意が必要です。

    キャンセルは防げるのか?

    ユーザーがキャンセルをする理由は、決済方法を変えたい、日程を変えたい、安い施設に乗り換えるなど様々です。このため、事業者から見る外的要因によるキャンセルを防ぐことはとても困難ですが、キャンセルについて大切なことは「確定の早期化」と「再販売の最適化」です。

     

    下記、記事ではキャンセル防止策ではなく、キャンセル発生を前提とした「再販戦略」など、宿泊施設のキャンセル対策を網羅的に解説しています。ぜひご一読ください。

     

    ▶ホテル・旅館のキャンセルポリシー完全ガイド!OTA対応&再販戦略を網羅的に解説!


    楽天トラベルには、「ポイントを貯めたい」「お得なタイミングで予約をしたい」というユーザーが多く、情報の出し方・プラン設計の工夫が予約に直結しやすいプラットフォームです。楽天トラベルならではの特徴に沿ったアプローチで、自施設の魅力を最大限に伝えていく視点も大切です。

     

    さいごに

    冒頭でも述べた通り、楽天トラベルのデータに蓄積されているのは、単なる数字ではありません。そこには、皆さんの地域に泊まりたいと考えているお客様が、皆さんの施設を認知し、興味をもち、比較検討した末に、どのような態度をとったのか。その「反応」が記録されています。

    楽天トラベルという、特有のユーザー層と、他施設と横並びで比較される戦場だからこそ、そこに現れるデータは、自施設の「伝え方の実態」を正直に映し出します。

    大切なのは、数字を管理のためだけに見るのではなく、「どうすれば、もっと伝わるようになるのか」を考える材料として活用すること。そうしてお客様の反応からヒントを得て、表現やプラン、サービスを磨き続ける。その積み重ねが、選ばれる必然を生み出していきます。

    ここまでお読みいただいた方は、スタッフの皆さんと一緒に、まずは管理画面を開いて、実際の数字と向き合ってみてはいかがでしょうか。そこにはきっと、さらなる成長のヒントが存在します。


    次回の記事では、じゃらんnetの管理画面あるデータ項目の紹介を中心にご紹介します。データの見方や取得方法を、初めての方にも分かりやすく解説しますので、ぜひご覧ください。


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