
【2025年夏】宿泊予約の稼働率と最新旅行トレンドを紹介|独自データで分かる集客のヒント
2025. 07. 10
最終更新 2025. 07. 10

2025年夏、旅行者の価値観は「人気の場所へ」から、「快適さを優先した、賢い旅へ」と変わりつつあるようです。この変化は、これからご紹介するJTB、HIS、Hotels.comなど、各社の調査結果にも如実に表れています。
では、実際の7月・8月の予約状況はどうなのか?
弊社が保有する独自データ(7月19日~8月31日の稼働率)からは、予約のペースが例年よりもやや遅く、予約の分散化が進んでいる様子が見えてきました。
本記事では、各社の旅行動向調査による旅行トレンドとリアルな予約状況をもとに、2025年夏の宿泊市場を読み解いていきます。さらに最後の章では、気温や天候が消費者心理に与える影響について、少しユニークな知識もご紹介します。ぜひ、最後までお付き合いください。
目次
2025年夏の旅行トレンド(各社調査結果の総評)
毎年7月上旬になると、旅行業界各社がその年の夏の旅行動向に関する調査結果を発表します。2025年も、JTB、HIS、Hotels.com、スカイスキャナーなどがそれぞれ調査を実施。そこでは、旅行者の行動や価値観に共通する変化が浮かび上がってきました。
この章では、それらの調査結果を総合的に分析し、2025年の夏に見られる旅行動向の特徴を分かりやすく整理していきます。
各社の結果を総評する
2025年の夏は、「快適に旅する賢い人」が主役に
旅行者はこれまでの「とにかく人気な場所へ行く」という発想から一歩進み、コスト・静かな環境・利便性といった要素を大切にしながら、自分達なりの最適で快適な旅を選ぶ傾向が強まっています。具体的には、以下のような動きが顕著に見られます。
人気観光地を避け、静かで自然豊かな“穴場”を選ぶ動きが拡大中。「人気」ではなく、混雑を避けて、『ゆったりと過ごせる時間』が旅行の価値として再評価されています。
早期予約や9月の旅行など、費用を抑える工夫・計画が増えています。キッチン付き客室を探す人も増え、『お得に楽しむ』ための柔軟な選択が目立つようになりました。
主な交通手段として、自家用車の利用が過半数を占め、移動の自由度や利便性を重視する動きが明確になっています。『車で行ける範囲』が行き先として選ばれやすく、宿泊施設にとっては『ドライブ観光との相性』もPRポイントになります。
宿泊施設選びの決め手として、プール・駐車場・スパなど具体的な設備条件が重視されています。『見た目に分かりやすい快適さ』が、選ばれやすさを左右する要素になっています。
暑さを避け、“涼しい場所”や“涼を感じる体験”を選ぶ人が増加。「クールケーション」という言葉にも見られるように『酷暑の中での快適性』が旅行先や宿泊先選びの基準になっています。
また、世代別ではシニア層の回復と、個人旅行では「ひとり旅」がここでも増えており、時期的にはお盆期間の分散化が進み、9月の需要も増えつつあることが示されています。
旅行者の価値観を、自施設の強みに変える
各社の調査結果が示唆するお客様の価値観の傾向を踏まえて、自施設の環境(立地・価格・サービス等)はどのような価値となり得るのか、宿泊施設は改めて解釈し直しPRする必要がありそうです。これまでの「観光地近く」だけでなく、「静寂性・アクセス性・酷暑での快適性」の総合力がこの夏の競争優位の軸となるでしょう。
参照元
JTB:2025年夏休み(7月15日~8月31日)の旅行動向
HIS:2025年夏休み旅行予約動向
Hotels.com:2025年夏の人気国内旅行先ランキング
スカイスキャナー:2025年 夏旅トレンド調査
2025年夏の稼働率推移(弊社独自データ)
この調査予測に対し、7/8(火)時点での稼働率はどのようになっているのでしょうか。
7月19日~8月31日までの予約動向を弊社の独自データをもとに解説します。
予約のペースは、やや遅い
下記は、弊社のシステムを利用されている施設様の全国平均稼働率で、直近4週間の予約推移や予約のペースを可視化しています。2025年のGWもそうでしたが、この夏も予約のペースは例年に比べ少し遅い傾向があります。
弊社データからは、以下の傾向が見て取れました。
② 7月の3連休初日は非常に高い稼働率
③ 一部地域は7月後半の平日も予約が入ってきている(祭りの影響)
④ 7月末と8月最初の休前日は良いが、変化は少ない
⑤ 8/4(月)~8/8(金)の期間は動きが鈍い
⑥ お盆期間は、前半の山(8/9・8/10)と後半の山(8/13・8/14)がありつつも、
全般的に高い需要がある。
⑦ 例年、お盆の末日は急激に落ち込むが、今年は8/15・8/16も比較的需要が残っている
⑧ 例年、お盆以降から8月末にかけ、予約数は顕著な右肩下がりだが、
現時点では、顕著な右肩下がりの傾向が見られず、比較的分散している傾向が見て取れる。
特に北海道と沖縄県は全期間を通じて好調に推移しており、訪日観光客が多い都市部の施設も上記の傾向とは関係なく高い稼働率を維持しています。また、大阪を中心とした万博関連エリアでは、10月中旬まで継続的な高需要が見込まれており、例年とは異なる動きが出てきています。
夏の販売価格はどうする?
このように、7月中旬以降から夏の予約は本格化してくるでしょう。販売価格や方法について、どうすれば良いのか判断に迷う施設は下記を参考にしてみてください。
お盆のピーク期間は、高単価設定で利益を確保するタイミングです。8/16のみ慎重に調整を。
特に週末が重なる前半は、強気の価格でも成約率は落ちにくいでしょう。
天候によって直前予約の動きが変わるため、天気予報のチェックも重要です。
お盆期間に台風の心配がなく、予定通り需要が消化されそうなら、8月後半は稼働率優先を強めるのも選択肢です。
連泊プランを活用し、安定した稼働率確保を狙うのもひとつです。
地域ニーズを踏まえ、“もう1泊したくなる工夫”として、滞在目的に合わせた特典を盛り込めば、単なる値引きよりも連泊率の向上につながるかもしれません。
これらの判断は施設の市場環境により異なります。自社の競争環境をよく考慮しご判断ください。もしも、不安な方がいましたら弊社の無料相談会をお気軽にご活用ください。
自社は稼働率重視か、利益率重視か。把握していますか?
この夏のように、日によって需要に大きな差がある状況では、「どの日を高く売るか」「どこまで下げるか」といった判断に頭を悩ませる方も多いと思います。ただ、その判断を「需要」や「周辺施設の価格」だけに頼っていないでしょうか?
本来、販売価格戦略の基本方針は“費用構造”から考えるべきです。自施設は「稼働率を追うべき施設」なのか、それとも「利益率を追うべき施設」なのか。その基本方針がないまま価格を上下させていては、稼いでいるつもりでも利益が残らない状態に陥ってしまいます。
例えば、固定費が重い施設なら、損益分岐点の水準を把握したうえで、稼働を追う戦略の方が理にかなう場合もあります。今後の記事では、「自施設は稼働率と利益率、どちらを優先するべきか?」を判断するための考え方を、数字が苦手な方でも分かるように解説していきます。
さいごに:天候を味方にする、消費者心理のヒント
私たちの『決断』に深く関わる気候条件
心理学の研究によれば、30℃を超える暑さの中では、人は複雑な比較や判断を避け、よりシンプルな選択に頼る傾向が強まるとされています。これは「認知負荷理論」と関連しており、脳が体温調節にエネルギーを使うことで思考力が低下し、判断が単純化されやすくなることを示唆しています。
宿泊業においても、この“暑さによる判断の変化”は見逃せないヒントになります。
つまり、猛暑が続く日では、旅行者は詳細よりも“直感的な分かりやすさ”を求めることが考えられます。細かい魅力を丁寧に伝えるよりも、「ここは涼しい」「過ごしやすそう」「快適そう」とひと目で感じられる情報の方が目に留まりやすいといえます。
高温に合わせたPRや現地でのアイデア
“ひと目で伝わる涼しさ”の写真
WEBサイトやSNSでは、高原や渓流、夜風のテラスなど、見た目に「涼やかそう」と感じられる情景を掲載する。言葉よりも、写真が放つ“温度感”が判断を左右することもあります。
猛暑日の限定ルーム
来館の方や敷地内で過ごされ戻られた方たちに「冷房強化ルーム」を用意し、「わぁ、ここは天国」と感じてもらえる夏らしい幸せ空間を演出する。
いつもと違う対応
猛暑の日には、チェックインをカウンターではなく、館内で一番風通しの良い席へ案内。
「まずは、ここで涼んでからにしましょうか」など、暑さへのさりげない気遣いが、言葉以上に届くことがあります。
“待つ時間”に、ひと工夫を
「暑さは人を待てなくさせる」と言われるように、猛暑の日の“待ち時間”は、ストレスの強度が増します。予め待つことが想定される場面では、冷たい飲料、風鈴の音、扇子の貸出などに加え、新商品の冷感アイテムの試供をそっと用意するのもおすすめです。待ち時間での“ちょっとした涼”の提供が、施設のセンスを感じる演出になります。
天候は、お客様満足のヒントになる
天候自体は変えられませんが、「暑さが感情や行動を左右する」という仕組みを知るだけで、提供内容や対応、PRの切り口が見えてきます。気象データと顧客満足度アンケートを並べて分析すれば、何か面白い発見があるかもしれません。(もし何か見つかったら、ぜひ私たちにも教えてください)
ルーティンになりがちな接客の中でも、気温や天候に気を配り、その日の対応にひと工夫を添えてみる。そんな空模様に寄り添うさりげない対応が、お客様の「そこまで考えてくれていたんだ」と喜んでもらえたとき、宿泊業という仕事の面白さは、また一つ深まるのではないでしょうか。
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